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瀬戸内海のジャンヌ・ダルク 悲恋の女武将・鶴姫をご存知ですか

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2014年の本屋大賞は「村上海賊の娘」が選ばれました!
信長と戦った村上水軍に属する女性戦士の活躍を描いた歴史小説ですが、じつは村上水軍VS織田信長の前の時代、もう一人の「村上海賊の娘」がいました。彼女の場合は「村上水軍VS村上水軍」という戦いの中に、悲恋を育てていった実在の人物として、地元、愛媛県で語り継がれています。愛媛県在住の歴史ライター(女性)による地元・女性目線の記事です。

瀬戸内海のジャンヌ・ダルク=”海賊”兼”神官”の娘

NHK大河ドラマ「八重の桜」の山本八重は、幕末のジャンヌ・ダルクと呼ばれています。
ただし、八重は、新島襄と幸せに……。そんなのジャンヌじゃない!!!(ジャンヌ・ダルクは最期処刑されます)

瀬戸内海に浮かぶ大三島(愛媛県今治市)には、伊予国(愛媛)一の宮の大山祇(おおやまつみ)神社がありますが、この神社の宝物館には、とりわけ小さくて胴体にくびれのある異彩を放つ甲(胴丸)「紺糸裾素懸威胴丸」が展示されております。

現物を見るとあまりの小ささに驚く(CARAT5つの味より)(http://carat.sakura.ne.jp/yoroi/gallery/siryou/turu2a.jpg)

現物を見るとあまりの小ささに驚く(GARATより引用

今回はその持ち主と伝えられる乙女武将のロマンチックかつ悲劇の恋を行く末について書き記したいと思います。

 

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実在した?聖戦士少女

鶴姫は1500年代に実在した武人で、現存する重要文化財の中でも唯一無二の女性専用甲冑を残した人物です。
16世紀の四国地方はというと、豪族や海賊が入り乱れ4つの国で割拠し、そのうち伊予国(愛媛)は河野氏(越智氏)の治めていました。
鶴姫はその河野氏の部下にあたる大祝家の娘でした。

大祝家とは、大山祇神社の神主です。
兄で嫡男の安舎が戦死を遂げた後は、陣頭に立ってそんな少女が水軍との戦いに勝利を収めたのです。
しかも、当時16歳の少女。鶴姫はまさにジャンヌ・ダルクのような「聖少女」だったのです。

現在では、戦国BASARA3にも登場するほど知名度があがってきていますが、愛媛県民からみた鶴姫というのは「瀬戸内のジャンヌ・ダルク」という強い少女よりも「悲恋の女武将」というイメージが強いのです。
と、言いますのも数年前に鶴姫が主人公のミュージカルが松山市で発表され、これがかなり好評で、市民に「鶴姫=悲恋」というイメージが浸透しているのです。
もちろん創作ベースではありますが、伊予っ子に流れる「瀬戸内海のジャンヌ・ダルク」の物語は以下のようになります。

兄の安舎が戦死したために、女の身でありながら戦に赴き、そこで貴公子・越智安成と出会い恋に落ちます。
結婚まで約束した仲であったにも関わらず、彼女が出陣する直前に戦死してしまうのです。

ミュージカルではこうでした。
安成とようやく結ばれることになる結婚を前に母君が美しい着物を用意し、鶴姫はそれを見て早く彼に見せたいという思いに駆られます。しかし、その着物を試着していた矢先、安成の戦死が伝えられる……。
当時、恋愛から結婚に発展することがあったのか?
実際はもっとシビアな世界だったと思われますが、彼女の悲劇は現代の女性の心に刺さるのです。

がんばれ鶴姫(絵・くらたにゆきこ)

がんばれ鶴姫(絵・くらたにゆきこ)

 

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村上水軍VS村上水軍

戦国時代には、いわゆる村上水軍が活躍します。
村上水軍といっても一つの固まった勢力ではありませんでした。島ごとに来島、因島、能島の3勢力がひっついたり離れたりしながらしていました。

おおざっぱに、来島の水軍は鶴姫たちの河野家に、因島の水軍は山口や九州の大大名の大内家に、のちのThe村上水軍の「村上武吉」率いる能島の水軍は中国の毛利家につきます。
勝手知ったる水軍同士の戦いはそう簡単なものではありません。

現代人の私達には想像もつきませんが、当時の技術や船の模型を見る限り、人対人の戦を水上で行わなければならないのは、地上戦にまさる難しい戦だったに違いありません。

そして、彼の死に思いを寄せる暇など与えられずに鶴姫は河野氏の部下として優秀な戦績を収めていくのですが、兄をなくし、恋人も失い、終わらない戦いに何度涙を隠したことか。
鶴姫もまたジャンヌ・ダルクのように最期は戦場で散るのではなく、入水して自殺したという伝説が残っています。
辞世の句がこれまた悲恋を思わせる内容となっています。

「わが恋は 三島の浦の うつせ貝 むなしくなりて 名をぞわづらふ」

この句の意味は、諸説解釈が有りますが私としてはこう解釈しています。

「わたしの恋は海の中の空っぽの貝殻のよう…。彼の名を思い出すだけで身が引き千切られるような想いなのに」

女だてらに闘う武将として「瀬戸内のジャンヌ・ダルク」と呼ばれるようにはなった彼女ですが、私はそう思っていません。
若干16歳の少女が、戦の愚かさと、家族恋人を失う悲しみをこの世に伝承した一人の恋する女性であったと思うのです。

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春原沙菜・記(愛媛県在住)
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