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白人が顔を黒塗りにして演じていたミンストレルショー/wikipediaより引用

週刊武春

ガキ使「ブラックフェイス」問題は歴史アプローチでコトの本質が見えてくる

投稿日:

2018年の幕開けとともに、あるニュースが日本、いや世界を騒がせています。

「ガキ使」浜田雅功の黒塗りメイク BBCやNYタイムズはどう報じた?

「たかがジョークとしてエディ・マーフィーの真似をしただけじゃん! 何が悪いの?」
そう思う方と、反対意見で、今なおネット上で賛否両論が続いております。

そこで今回は歴史的観点から、この「ブラックフェイス」問題について考察したいと思います。

顔を黒塗りにした白人、あるいは黒人そのものが出演していた米国ミンストレル・ショー/wikipediaより引用

 

生まれつき人は違う、という思い込みをおさらい

「黒人や原住民は愚かで、それを支配するのは神に与えられた使命である!」
今からすれば一体何を言っているんだ、と思ってしまうような、そんな考え方がかつては存在しました。

アメリカ大陸に白人が上陸すると、白人にのみ免疫がある伝染病に罹患した原住民たちは、次から次へと斃れ、それを見た入植者は思ったのです。

「これも神の意志なのだ! 我々選ばれし白人種以外が死んでゆく!」

白人は優越人種だという勘違いは、こうした歴史から生まれてゆきます。

コロンブス・デーから「先住民の日」へ 銃と病原菌を携えた侵略者たちは何百・何千万人を殺した?

さらに白人の優位性は、勘違いやエセ科学によっても強化されました。

19世紀、一世を風靡したのが「骨相学」という学問です。
現在はニセ科学として、追放されておりますが、ざっとこんな考えでして。

「白人と他の人種は、生まれつき骨の構造が異なる。骨格からしても、支配者たる白人と有色人種は違うんだ!」
今なら誰にも相手にされないトンデモ科学ですね。しかし……

英事典に掲載された骨相学の図/wikipediaより引用

黒人の脳みそは少ないんだ。
生まれつき愚かなのだ。
そんなデタラメな理屈が、まかり通っていたのです。

例えば奴隷だった黒人女性が手記を出版しても、人々はこう考えました。

「黒人、しかも奴隷だった女が、こんな立派なものは書けないだろう。白人女性の作品だ」

そんな差別がまかり通った時代。
以下の記事にマトメておりますので、よろしければご覧ください。

「黒人奴隷少女は恐怖と淫らさの中で育つ」自らの地獄体験を著したハリエットの覚悟

 

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人を差別して笑おうという時代

そして19世紀に米国で誕生したのが「ミンストレルショー」です。

 

隆盛となった時期は、奴隷制度廃止運動の時期と一致。劇中の黒人たちは、愚かで滑稽で、奴隷としての生活を楽しんでいるようでした。

単純労働を楽しむ、能天気な連中。
そんな作品を見た白人は、どう思ったのでしょうか。

「黒人は奴隷としてそれなりに楽しくやってるじゃん」
「あいつらバカなんだし、やっぱ奴隷でいいよ」

いくら罪のないお笑いを装ったところで、そうしたメッセージを放っているわけです。

ミンストレルショーは一時期のあだ花で、南北戦争以降は衰退してゆきました。

それでも黒塗り=ブラックフェイス、黒人に対するステレオタイプが残されたのです。

 

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問題はブラックフェイスだけではない

ちなみにこの問題は、ブラックフェイスだけではありません。

人種ごとにステレオタイプが存在し、現在こういう描き方をすると批判対象になります。

作品評価にとって減点対象となるのです。

◆イエローフェイス:アジア人。苦力(クーリー、中国系肉体労働者)、ドラゴンレディ(強気でセクシーな悪女)、グック(ベトナム戦争時に広まった東南アジアや朝鮮系の人への蔑称)等

◆ブラウンフェイス:ラテン系。セクシーで思慮の足りない女性、家政婦や肉体同同社、ギャング等

◆レッドフェイス:ネイティブアメリカン。野蛮な戦士、白人に従順なポカホンタスのような姫君等

◆アラブフェイス:アラブ系。テロリスト、石油王、セクシーな姫君やダンサー等

◆ジューフェイス:ユダヤ系。ドケチな守銭奴、高慢ちきな金持ち娘等

アジア系ステレオタイプの一例“ドラゴンレディ“に扮する中国系アメリカ人女優 アンナ・メイ・ウォン/wikipediaより引用

要するに、どの人種にも当てはまります。

ツケ鼻をするような、白人を揶揄する表現もいけません。

ペリーを描いた絵は、白人の特徴を揶揄気味にとらえています/wikipediaより引用

こうした表現がいけないというのは、必ずしも「バカにしているから駄目」という点でもないことです。

アジア系のステレオタイプ描写として「モデルマイノリティ」というのがあります。
他の人種に対しておとなしく、模範的な少数者という意味合いです。

一瞬、ホメているようにも見えますが、これも駄目。
馬鹿にしていようと、褒めているようであろうと、ステレオタイプ描写は偏見を助長するため、よくないのです。

つまりブラックフェイス批判に対しての、
「ミンストレルショーはアメリカのものだから、日本のコメディアンのものは無関係」
という言い訳も通じないのです。

 

21世紀にこの手の笑いはもう古いのでは?

ガキ使大晦日スペシャルにおける浜田雅功さんは、最初の着替えで毎年のように一人だけ別の格好をさせられ、「なんで浜ちゃんだけ、こんな格好なんだよwww」という笑いがあることは知っています。お約束なワケですね。

別にお約束そのものはあっていいと思いますし、実際に毎年笑いが取れているという手応えも大きいのでしょう。

しかし、今年のようにわざわざ差別的表現の危険地帯へ踏み込んでいく必要はあったのでしょうか(過去にも似たような表現があったかどうかは把握しきれておりません、申し訳ありません)。

吉本興業といえば、明治維新後に「落語」から「万歳」へ、更には「しゃべくり漫才」へと次々に新しい笑いを作り出し、常に時代の最先端を走ってきました。
時代を牽引するのは、いわば同社の伝統でもあります。

吉本興業の歴史 何がどうスゴい? 明治時代から笑いと芸人を追求してきた創業者哲学

そういう吉本であれば、ブラックフェイスのような流行遅れ、21世紀にそぐわない笑いは、率先して変えていくのもまた同社の伝統ではないでしょうか?

『ガキの使いやあらへんで!』の初回放送が1989年です。
およそ30年前。ダウンタウンにせよ、デビューから随分と時が経っているわけです。

今回の浜田さんに類するネタでは『ごっつええ感じ』のMR BATERなどもありましたね。

 

あるいは少し前、とんねるずの「保毛尾田保毛男」も炎上していましたが、その根底にあるのは差別的感情もさることながら、「時代の変化に追いついていない」ということがあるのかもしれません。

お笑いのドシロートが生意気言って申し訳ありません。
ただ、歴史の流れを見てみれば、お笑いとてドコかで変換を迎えるのが常だと思うのです。ドリフからひょうきん族へ、そしてダウンタウンへと目まぐるしく笑いの中心が移り変わったように。

古いジョーク集には、体が不自由な人を笑いものにしたり、人の不幸をあざけったりする内容のものがあります。
人を痛めつけたり、動物を虐待したりして、笑うものもあります。

イギリスの伝統的な人形劇「パンチとジュディ」は、夫が妻を殴り倒すDVがお笑い要素

そういうのを見て、『今どきこれはないだろう』と感じますよね?

先人がこういうのはやめにしようと言い続けた結果、当時はさほど意識されていなかった差別的表現が徐々に淘汰されてきたわけです。
「昔の人は、なんで、こんなもんで笑ってたんだ?」と思うほどくだらないものも多いのです。

ですから、
『不謹慎だ、差別だと言われているからやめよう』
となる前に、自発的に新しい笑いにチャレンジしていこう、という気概こそが大切なのではないでしょうか。

文:小檜山青




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【参照】Racism in early American film/wikipedia

 






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