『西郷どん完全版第壱集Blu-ray』/wikipediaより引用

西郷どん感想あらすじ

『西郷どん』感想あらすじ第2回「立派なお侍」

2018/01/15

こんばんは、武者震之助の大河レビューです。

念のため、もう一度断っておきますが、本作に関しては二年ぶりに厳しいレビューになる可能性が高いと思われます。

大変申し訳ありませんが……絶賛レビューをご所望でしたら、何卒、他を当たってください。

特に日刊ゲンダイさんはかなり本作に期待しておられます。

◆プラス材料がズラリ NHK大河「西郷どん」期待大のワケ(→link

日刊ゲンダイさんも、おそらくドコかへ忖度する必要性など皆無かと思われますので、本当に期待されているのでしょう。

では本編へ。

 


藩校「造士館」にも触れればいいのに

時代は弘化3年(1846年)。西郷は16才になりました。

郡方書役助(こおりかたかきやくたすけ)として、年貢の取り立てをしています。

ん、そういえば……。

薩摩の藩校「造士館(1773年に島津重豪が創立)」が出てきていませんね。

史実では、西郷の右腕負傷は、藩校からの帰り道で起きた事件でした。

藩校というのは、藩士のアイデンティティに強い影響を与えるもの。

しかも薩摩藩の場合、島津斉彬が改革に取り組み、西洋式の先進的な教育も実施されていたわけです。

あんな無理矢理なカタチで主人公と斉彬をからませるよりも(参照:『西郷どん』感想あらすじ第1回)、藩校視察に斉彬が来て西郷と出会う、という設定でよかったんじゃないでしょうか。

『西郷どん』感想あらすじ第1回「薩摩のやっせんぼ」

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BL大河を自称しているのに、実質的に男子校状態の藩校描写をスルーというのはもったいないのでは?

といっても私も専門外ですので、BLソムリエの意見をいただきたいところです。

そういえば、数年前の長州大河でも藩校「明倫館」の扱いが酷くて、愚痴を書いた記憶があります。

※編集部注:会津の藩校「日新館」については本サイトで記事にしております(以下をご参照いただければ)

授業中でもケンカ上等だぁ!会津藩校「日新館」はやはり武士の学校でした

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ますます弟妹の増える西郷家 給料は持って帰れず

話を戻しまして。

この年は天候不順で凶作ですが、それでも年貢の取り立てに猶予はありません。農民は困っています。

そこに西郷の上役・井上登場。

いかにもワルくてセコそうな男です。農民からイキナリ賄賂を受け取っておりました。

ここで貧しい農民の娘・フキの登場です。

幼いながらも目鼻立ちが整っており、借金のカタに売られそうになっております。そこで西郷は自分の金、それから井上の金を借金取りに渡して、とりあえず娘を救います。

とりあえず目の前の人を助けるわけですが、借金取りをなんのかんの理由つけて強引に逮捕するとかしないと、根本的な解決には程遠いでしょう。

なんなら「チェスト!」で敵を……って、冗談をスミマセンでした。

要は、一時しのぎというのは誰の目にも明らかなわけで。

西郷隆盛(鈴木亮平さん)

画面が切り替わると、近所の川で西郷が鰻を捕っています。

ドジっ子っぽく転んじゃったりして。も、もしかして、これはサービスシーン……ですかね?

西郷家は三男も産まれ、ますます大所帯になっています。

それなのに、西郷は人助けのために給料を全額使ってしまい、そりゃあ叱られますよね。

褌姿でやけにセクシーですが、ネットニュースやSNSなどでの話題性を狙っているのかなぁ?と思わず勘繰りたくなったり。

そんな西郷家に、大久保正助(のちの大久保利通)がやって来ます。

西郷とは対照的で、洗練された優等生タイプの大久保。

大久保利通(瑛太さん)

記録所書役助につとめることになったそうです。

 

斉彬は、輩のように調所&斉興へ詰め寄って

一方、島津本家では、斉彬が江戸から帰国しておりました。

父の島津斉興を相手に「藩士2千人を動員する大がかりな大砲の調練をやりたい」と言い出します。

莫大な費用がかかると、調所広郷が反対します。

調所の言うことはもっともだと思います。

そもそも斉彬は藩主ではなく、あくまでこの時点では世子に過ぎません。なぜこんなに威張っているのか謎。

こんな言動を続けていたら、そりゃあ藩主候補としてマズいと思われても仕方ないかなぁ。

ここで斉彬、ギロリと調所を睨んで、借金を返す過程で懐に金を入れたんじゃないか、と言い出します。

斉興の前で、冗談でもキツイ。これでは単なる脅しですよ。

島津斉彬(渡辺謙さん)

そして突如、言うのです。

「おおっ、エゲレスの軍艦が! おおっ、おおっ! どうやら桜島があきれておるようじゃ」

う、うーん。これも脅しですよね……。

ケン・ワタナベの「渡辺斉彬」を絶賛する意見が多いのですが、私はどうにも乗れません。

草刈正雄さんの真田昌幸(2016年『真田丸』)

高橋一生さんの小野政次(2017年『おんな城主直虎』)

とは違って、役者のよさに中身が追いついていない。

役柄と役者がピタリとはまって音がするような、一足す一が十になるような、そういう絶妙さには欠けています。

役者さんのせいではなく、セリフや設定など複合的に絡み合っ……つまりは脚本のせいです。

喩えるのであれば、豪華な薩摩切り子のグラスに注がれた不味い酒と言いましょうか。

せっかく素敵な容器なのに、そこから流れ出てくる中身はデキの悪い安酒、という。

 


フェミニスト隼人たちの前で糸怒る

西郷は、フキの家を訪れております。

西郷が与えた握り飯をほおばるフキたち。フキの子役が名演技ですので、それだけでも引き込まれます。

このあとは大久保の就職祝いの宴です。

女性が同席しているように見えましたが、大丈夫でしょうか。彼女らはさっと引っ込んだのでありかな。

そこへ、鯛を持参した赤山靭負が来ました。

さらに赤山に連れられて、岩山糸がやって来ます。

糸は天保14年(1843年)生まれですので、史実ですと先週は誕生前。今年は幼児のはずですね……(彼女の生涯についてはリンク先、あるいは記事末のURLをご参照ください)。

岩山糸(黒木華さん)

まあ、年齢なんか些細な問題です。たぶん。問題は言動。

どうやら大久保は糸にズキューンとトキめいた様子。

あぁ、これは、西郷と大久保と糸で三角関係になるやつですね。

糸には妙円寺参りをぶち壊された過去があるのですが、本作の薩摩隼人はフェミニスト(誤用的な意味で)なので、ノープロブレムのようです。

糸、普通に宴会に参加しています。

しかも男どもを叱り飛ばしたりするという。

武家の女がしれっと混ざっているのは、やっぱりチョット……。

この宴の最中、西郷は弱き者を助ける武士になりたいと語っております。

そして、藩内の勢力についてをトークで解説。

島津斉彬と島津久光の兄弟や、調所広郷について。

斉興は調所と側室の由羅に操られ、斉彬ではなく久光を藩主にしようと惑わされているとか。

ここで「男は女にものをねだられたら、断れん」という話も。

有馬新七(増田修一朗さん)

有村俊斎→海江田信義(高橋光臣さん)

これが薩摩武士でいいのですかね。

 

密貿易もぜんぶ幕府にブチ撒けて!

場面が切り替わり、再び斉興と斉彬のご対面シーン。

斉彬は沿岸警備の報告書を斉興に見せます。

ココでも何故か、由羅が狆(ちん)を抱いて座っているという。

しかも不快感を示す斉興に対して、露骨に我が子を藩主にしろ、とそそのかす。

由羅(小柳ルミ子さん)

由羅の描写も残念です。

彼女は賢明な女性だったのですが、底の浅い愚か者のように見えてしまいます。

斉彬は父に対して激怒し、江戸に戻ると宣言。ついでに薩摩の密貿易を全部幕府にブチまけて、父を引きずり落とすと言い出します。

この辺、幕府(老中・阿部正弘)も巻き込んだ非常に大事な政治的駆け引きがあって、後にとても面白いシーンになるハズなんですけどね。

きちっと時間を割かないため描写が雑で、どうにも短慮気味に見えてしまいます。

もったいない。

ここで、薩摩藩の年貢事情の解説へ。

取り立てが厳しく、不正や賄賂が横行していると説明されます。

なにせ八公二民ですからキツイのは当たり前。奄美は「黒糖地獄」と呼ばれ、もっと酷かった。

薩摩藩が何故そこまで厳しいのか。

様々な理由があります。

火山灰の影響といった地理的なものもありますが、システムの問題です。

精強さで知られた薩摩藩島津家は、戦闘員である武士の割合が、他の藩より突出して高かったのです。

このいびつな構造が、問題の根底にありました。

西郷は上役のやり方に反発しますが、根本的なところをどうにかしないといけないんですよね。

ちなみに実際に西郷が最初にであった上司の迫田は、なかなかの人物で民への慈愛もありました。

いきなり一足飛びに斉彬を目指すのではなくて、そういう身近な尊敬すべき人の背中を追う展開でもよかったと思うのです。

それなら薩摩ファンをも大いに喜ばせたことでしょう(糸の描写を減らせば……)。

 

「隠し田」キタ━(゚∀゚)━!! で、Twitter盛り上がる

ここで西郷、突然調所の元に乗り込みます。

乗り込もうとしても、分厚い壁に遮られる方が、薩摩藩の身分制度の厳しさがわかったと思うんですけれども。

迫る西郷を追い返さず、話だけでも聞いてやる調所はなかなかいい人では?

調所広郷(竜雷太さん)

ここで、調所は西郷に「検見取」をやってみろと言い出します。

張り切って検見取に向かう西郷。

そのあとを糸が歩いて付いていきます。

武士の男女が屋外を、こんなふうに並んで歩くというのは無理があります。

先週私がつっこんだ「男女七歳にして席を同じゅうせず」を口にする糸。わかっていながら、そんなものは全く気に掛けていないという設定のようです。

糸は、自分の家で糸を雇うことにしたと言い出します。

フキの母は

「立派なお侍様に出会えてよかったなあ」

そう感動します。

検見取の最中、既視感のある流れに!!

うわぁ、これは昨年見た展開になりそう……。

って、案の定そうでした。西郷は「隠し田」を見つけてしまうのでした。

このせいか、何故かツイッターのトレンドには「#西郷どん」ではなく、「#おんな城主直虎」がランクインするという奇妙なことになりまして。

皆さんどんだけ直虎ロス引きずっているんですか! 流石、総集編の放送時に【トレンド世界一】を獲得しただけのことはありますね。

おんな城主 直虎・総集編がTwitter世界トレンド1位に!本編未公開のラストシーンが!

続きを見る

 

斉彬に直訴だ!と思ったら……

何度も脱線して申し訳ありません。

話を戻しまして……西郷は百姓を救いたい、しかし不正は見逃せないと、苦悩。赤山靱負に相談します。

そこで西郷、なんと斉彬に会いたい!と主張するのです。

本作は、岩山糸といい、島津斉彬といい。

西郷隆盛と運命の人を、最初から接触させすぎではないでしょうか?

(編集部注:実は林真理子氏の原作ではそこまで簡単に斉彬と接触できてません。少年時代に一度偶然遭遇して、それから西郷が出仕するようになって農政の意見書をせっせと提出してから)。

赤山もその思いを汲み、スケジュールをバラします。

だ、大丈夫でしょうか、薩摩藩のセキュリティ。

赤山靱負(沢村一樹さん)

西郷は熱心に民の窮状を訴える手紙を書きます。

大久保は止めようとしますが、西郷は昔斉彬に会ったことがあるから、と言い出します。

偶然出会っただけの世子との絆をやたらと強調するって、危険すぎやしませんか。

西郷が「こんな未熟な自分では、まだ斉彬様に会えない!」なんて悩むのであれば、納得できるのですが。

翌朝、斉彬は江戸に出立します。

一方、糸はフキを雇えないと言い出します。

理由は単純。糸の家も貧しいから。

でも、なんで彼女は事前に確認してなかったのでしょうか? 子供相手にこの梯子外しはあまりに厳しい。

そこへ借金取りが乗り込んできて、フキを連れ去ります。

糸は西郷に助けを求め、走るのでした。

 

悪辣な人買い共はチェスト!で片付ければ……

そのころ赤山は、斉彬を止めようとしています。

ここで西郷は【斉彬か、フキか】という二択を迫られます。

そして、どちらもミッション失敗という流れ。なんじゃそりゃ!

赤山が時間稼ぎをするものの、斉彬は出立し、フキは結局身売りされてしまいます。

西郷は、

「立派な侍じゃなか!」

自分の無力さに打ちひしがれ、泣き崩れるのでした。

「チェストおおおおおお~~!」

と、悪辣な人買い共をぶった斬ってから、「町人の分際で武士に刃向かった!」とか適当なことを言い出すのもアリなんじゃないかと一瞬思ったのですが。まあ、そういうワイルド薩摩はやらんようですね。

ところで、隠し田はどうなったのでしょうか。

こういうところ『直虎』を知っちゃった視聴者は曖昧にできませんぞ!

 

総評

子役から本役になっただけで、基本的にあまり必要のない回だったなぁ、と感じました。

薩摩藩の八公二民の厳しさ。藩主争いを描いてはいるのですが、全体的に薄味で、表面的になぞったものだなぁと感じてしまったのです。

風景は美しく、役者さんはがんばっていて、時折台詞に光るものもあります(斉彬とフキの桜島を眺めたときの感想とか)。

ただ、肝心の中身がよくない。

斉彬を薩摩切子に注いだ不味い酒と喩えましたが、全体的にそういう傾向があります。

食器や盛り付けは綺麗。

宣伝も熱心にしている。

しかし、どれを食べても面白みのない味。口を付けた途端、失望感をおぼえてしまうのです。

そういう意味では昨年と正反対でした。

昨年の序盤は、プラスチック製のかわいらしいおもちゃがついたお子様セットに、ハバネロを隠し味にした絶品オムライスがついてきた。

あるいは生ハムメロンにも喩えたりしましたが、とにかくそんな意外性がありました。

『真田丸』にせよ、『直虎』にせよ、実に罪深い作品です。

視聴者の目を、バリバリに鍛え上げてしまいました。

雰囲気だけは良くて中身のない作品に対し、違和感を覚える人を格段に増やしてしまった――そう思います。

先週指摘した欠点は、改善の兆しどころかさらに悪化する予感がしています。

あまり突っ込まれないのですが、糸が出しゃばるのは何なのでしょう。

糸や三角関係の描写を削って、他にいくらでも描くことがあるじゃないですか。

「政治の描写なんて退屈だから」というのだとしたら、それは単に「政治を面白く描けない」と認めちゃってるも同然かと思います。

そして今週、最大の問題は……。

斉彬を、民を困窮から救う名君候補としてしまったこと。

民を重税で苦しめる一因は、斉彬の曽祖父・島津重豪や斉彬による「蘭癖=西洋技術への傾倒」なのです。

大砲にせよ、薩摩切子にせよ、開発にはえらい金がかかるわけです。

調所や斉興が苦い思いで斉彬を見つめるのも、そういう背景があるから。

ただの父子相克ではありません。

「民を苦しめる重税はいけない」と西郷が思うのであれば、本来調所や斉興と気があうはずなのです。

斉彬や西郷のすることは全て善。

島津久光、お由羅、調所広郷……つまり西郷と斉彬に敵対する者は、全て悪。

こういう単純な構造に落とし込みそうで戦々恐々としております。

 

蛇足その1「子役時代の必要性」

さて、前回はSNS等でも高評価が目立ち、私はちょっと居心地が悪い思いがしておりました。

新年パーティをぶち壊した奴みたいな気分でして。

ただ、火曜日以降視聴率が発表されると、批判的な感想も目立ち始めました。

私が賛同するのは、こちらの記事です。

◆西郷どん 視聴率ワースト2位に(→link

この記事の指摘に同意します。

もうひとつ、先週を振り返って考えたのは、時代考証の甘さとはまた別の問題でした。

子役時代を描く意味についてです。

「子供のすることなんて見たくない。大人の政治劇を見せろ」

という意見もありますが、これには私は賛同しかねます。

例えば前作の『おんな城主直虎』は、子供時代にかなり長い時間を割きました。

流石に長すぎるとは思いましたが、脚本の森下氏が山田風太郎を参考にしたというインタビューを読んで気がつきました。

山田風太郎の作品に『室町少年倶楽部』というものがあります。

本作は前半、主人公たちの少年時代が、お伽話のようにのんびりとした文体で描かれます。この前半部はちょっと退屈で、児童書のようなのですが、後半作風ががらりと変わるのです。

後半は、あの少年たちが成長して、ギスギスドロドロ、人の浅ましく哀しい業が渦巻く政治劇を繰り広げます。

ここに来て、前半のかったるいほどの展開がわかるのです。

あの無邪気で純粋な少年時代があるからこそ、後半の展開が胸に突き刺さり、息苦しくすらなるのです。

『おんな城主直虎』も、これと似た技法を用いていました。

小野政次が直虎の手によって処刑された回のラストシーンは、無邪気に微笑む少年時代の政次と直虎が映し出されました。

ほんの数秒間で胸が抉られるような気持ちになったのは、幼年期をじっくり描いたからこそ、でした。

これと似た手法は2013年『八重の桜』も用いています。

会津の美しい風景と、そこで遊ぶ子供たちの姿は、戦争で荒廃してしまう前段階だからこそ、悲哀を帯びた美しさがありました。

で、話を本作に戻しますと。

本作の場合、子役時代の場面で描いたのは、主人公と二人の人間との関係でした。

斉彬と糸です。

将来的に二人とも別れることにはなるのですが、同じ夢を見ながら決裂するというわけではありません。

個人的には、しつこいくらいに絆を強調すべきであるのは、大久保利通をはじめとする他の郷中仲間であったと思います。

それこそベタな表現かもしれませんが、そうすることで西郷と大久保、二人の道がすれ違い分かれてゆく時の切なさがぐっと増した気がするんですよね。

終わったことをネチネチ言っても仕方ないのですが、やっぱり前回の描き方は、あまり意味のない場面の積み重ねであった気がします。

これから重要な伏線として生きてくるのかもしれませんが。

 

蛇足その2「本レビューの採点基準」

◆キャスト充実の大河「西郷どん」初回ワースト2位の不思議(→link

あんまり人様の記事にケチをつけたくはありませんが……。

『おんな城主直虎』のせいにするのはどうかと思います。

朝ドラの序盤は確かに前作の影響を受けて数字が下がることがありますが、大河はさほど影響を受けません(2013年『八重の桜』、2016年『真田丸』等)。

この記事、「本当に見ているのか疑問だ」と書いている割には、キャストのことしか触れていないんじゃないですかね。

この記事を書いた方と私は、採点方法が真逆。

私の採点基準を書いておきます。

私個人としては、ゲンダイさんの記事が高評価をしている懐古趣味にたよったキャスティングは、むしろ減点要素だと考えています。

懐古趣味、話題性重視のキャスティングは、即効性があるけれども、副作用も強い薬のようなもの。

脚本の綻びをキャスト頼みで誤魔化そうとすると、ドラマ自体どんどん話がつまらなくなります。現在放映中の朝ドラもそういう傾向があり、本作からもそれを感じました。

前回、渡辺謙さんが演じる斉彬は、馬に乗っていましたね。

竹林で泣いていた西郷が、馬が広々と駆け回れる野原に瞬間移動したかのような不自然さでした。

「ケン・ワタナベが馬に乗ったら、『独眼竜政宗』好きな懐古大河ファンがそれだけでも話題にするぞ!」

という、そういう狙いが見える気がしましてね。

私はシラけましたよ……。

渡辺さんを、一昨年の真田昌幸役の草刈正雄さん、昨年の小野政次役の高橋一生さんに喩える意見もありますが、これには賛同しかねます。

一昨年の草刈さんは『真田太平記』ファンの懐古趣味にもマッチしたキャスティングでしたが、それだけではありません。

二枚目のイメージが強い草刈りさんから、お茶目でとぼけた面を引き出すという、ベテランの魅力を再発見したチャレンジがありました。

昨年の高橋一生さんは、

「無残にも処刑される瞬間、高橋一生さんが微笑んだら最高なんじゃないか?」

という発想が根底にあったそうで。

「惨殺される高橋一生さんに不憫萌え」という、常人ならば思いつかない、鬼才の発想がありました。

つまり、役者の可能性を引き出す方向で脚本を練った。

ところが、本作は「世界のケン・ワタナベ」のPV的なアプローチで、脚本を作っている。

既存の魅力に乗っかるカタチ。

見てない方には意味不明かもしれませんが、朝ドラ『わろてんか』における高橋一生さんもそんな扱いをされていまして。

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歴史ドラマをどう評価しているか

以下に私の採点基準をマトメておきました。

どうでも良いかと思われますが、お時間あります方は一読よろしくお願いします。

◆加点要素はここ

・考証の細かさ、脚本家の知識量が豊富であると感じられる

・キャストの新鮮味。過去の大河に出ていたかよりも、新たな才能や魅力を発掘してくるチャレンジ精神を重視

・脚本の細やかさ、ロングパスを重ねても破綻しない精巧さ

・史実をこういう切り取り方をするんだ、という新鮮な驚き

・過剰な演出に頼らない

・テンプレートにそった登場人物を出さない

・悪役を不要に貶めるような描写をしない

・見やすいナイスな地図

・VFXを駆使してでも頑張った、迫力ある映像

・逃げずに描く残酷描写

◆減点要素はここ

・考証の粗さ、脚本家の知識量が不足している

・「同窓会」キャスト。過去大河の常連を引っ張ってきて、往年大河ファンを引きつけようとする

・話題性ありきのキャスト。演技経験や演技力の不足したコメディアン、モデル、アイドル等を起用する

・役者ありきでねじまげる脚本(乗馬が得意な俳優を無意味に馬に乗せたがる等)

・ヒロインのわけのわからないおてんば行為(史実に基づくものならOK)、ツンデレ描写

・「政略結婚なんてロマンがないから」とねじ込まれる雑な初恋描写

・先を読みすぎて「未来人」、「神」になった人物

・中身のない台詞にかぶせてくる大仰なBGM、過剰演出

・テンプレートにそった既視感あふれる登場人物

・主人公と対立する悪役を不要に貶める

・「母だからこそわかるのです」、「戦は嫌でございます!」みたいな陳腐な台詞

・雑な大衆迎合(壁ドン、ボーイズラブを適当にぶちこむ)

・ヒロインが作った手料理を食すると、和解するとかそういう流れ

・残酷描写を避けるため、ぬるいヒューマニズムを発揮する


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【参考】
NHK西郷どん公式サイト(→link)等

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武者震之助

2015年の大河ドラマ『花燃ゆ』以来、毎年レビューを担当。大河ドラマにとっての魏徴(ぎちょう)たらんと自認しているが、そう思うのは本人だけである。

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