藤原冬嗣の子であり、初の摂政となった藤原良房。
天皇の外戚となり権力を振るうその手法は後の藤原道長にも影響を与えた、というか模倣させたと思われますが、藤原北家に生まれた者にとってそれは必ずしも楽しい話ではありません。
われこそは!
と権力争いが静かに繰り広げられ、天皇を中心とした姫の入内合戦は絶え間なく続きます。
他ならぬ良房も藤原明子を文徳天皇に嫁がせて、生まれたのが惟仁親王。
後の清和天皇であり、更にその清和天皇に一族から入内を試みるのでした。
ドコまで続く、藤原のエゲツない争いよ。
いやいやこれからが本番じゃないの。
日本史ブギウギ、第41話、スタート!
高子の野望
◆藤原高子(ふじわら の たかいこ/こうし)は藤原長良の娘になります。
長良は藤原冬嗣の長男。
つまりは良房の兄であり(高子にとっては叔父であり)、出世競争では負けていたわけです。
良房は、孫の惟仁親王(後の清和天皇)をわずか8ヶ月で皇太子(次の天皇)としており、そこに姪である高子を嫁がせようとしたのでした。
なお、在原業平(平城天皇の孫)は、イケメン歌人のモテ男として知られ、業平モデルの『伊勢物語』等によると藤原高子は恋仲にあったとも。
何も知らない幼き清和天皇が、なんだか不憫で(´・ω・`)
大嘗祭
◆毎年、豊作を願って行われる新嘗祭。
天皇の代がチェンジしたときに行われる新嘗祭が「大嘗祭」に当たります。
五節舞とは、新嘗祭(大嘗祭)で行われる宮中行事で、神に捧げるものですね。
その姫に選ばれることは名誉であり、高子もそうなったのでした。
その兄・藤原基経は、高子と同じく長良の息子であり、男児のいなかった良房の養子となり跡を継ぎます。
ちなみにその後、日本初の関白となるのが基経。
初の摂政が良房なので、似たもの義理親子と括っておきましょうか。
ちなみに朝廷の中で新嘗祭(大嘗祭)を担当するのは神祇官(じんぎかん)と言いまして、二官八省の最上位に位置しております。
詳細は……。
官職と二官八省がわかる~日本史全体が楽しくなる基礎知識まとめ
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貞観大噴火
◆864年、富士山が噴火をしました。
1707年の宝永大噴火と共に知られる大噴火であり、このとき周囲に溶岩が流れまくり、その上にできたのが最近何かと騒がしい青木ヶ原樹海です。
869年には古代最大クラス、東日本大震災に並ぶ貞観地震が起きています。
そしてその前後には日本中で巨大地震が起きているのですが、その詳細は以下の記事に譲らせていただきます。
とにかく怖いです。
特に、古代最大クラスとされる869年の貞観地震には、その前後には度重なる災害が発生しております。
ざっと眺めてみると、850年は山形・秋田で、863年には新潟、868年が兵庫、869年奈良、869年熊本、878年南関東、880年島根などなど。
◆M7クラスの大地震は過去に何回発生したか? 日本の【地震歴史まとめ】 古墳~平安時代編より引用
兄弟争い
◆藤原良相は、長良&良房の弟になります。
その娘・多美子を清和天皇の女御、つまりは奥さん候補にして勢力拡大を狙ったのでしょう。
当然ながら、良房の養子になっており、次代の藤原家トップを狙う藤原基経にとってはマズイお話。
高子と協力すればよいものを、二人はそれぞれに静かな権力争いを繰り広げていくのでした。
【知っとくと楽しい貴族の王者・藤原四家】
・藤原武智麻呂→藤原南家 ※藤原仲麻呂(恵美押勝)
・藤原房前→藤原北家 ※藤原冬嗣・藤原良房・藤原時平・藤原道長
・藤原宇合→藤原式家 ※藤原百川・藤原種継・藤原薬子
・藤原麻呂→藤原京家 ※マイナー・藤原浜成
※次週へ続く
【過去作品はコチラから→日本史ブギウギ】
著者:アニィたかはし
武将ジャパンで新感覚の戦国武将を描いた『戦国ブギウギ』を連載。
従来の歴史マンガでは見られない角度やキャラ設定で、日本史の中に斬新すぎる空気を送り続けている。間もなく爆発予感の描き手である(編集部評)