『西郷どん完全版第壱集Blu-ray』/wikipediaより引用

西郷どん感想あらすじ

『西郷どん』感想あらすじ第9回「江戸のヒー様」

西郷隆盛(西郷吉之助)は、やっと江戸行きが決まりました。島津斉彬も久々にじっくり登場するようです。

薩摩を発って一ヶ月半あまり。
ついに江戸に到着。チェスト、気張れ~!

江戸藩邸には、迫田という竹刀を持った男がいました。
どうやら西郷たちは番号で呼ばれることになるようで。

こういうよくわからないお仕事ドラマ的な話は必要なのかなぁ。
本当ならば今頃月照と入水している当たりまで進んでいるべきでは?と思うと心臓バクバクです。

「おいはこの命を賭けて殿様に尽くすつもりでございます!」

西郷どん西郷隆盛(鈴木亮平さん)

迫田は、そんな吉之助にパワハラ気味で、おまえはただの38番だと言い出します。
なんでも薩摩藩士は江戸で嫌われているようで、こんな狂歌が流行っているとか。

【飯盛りを夜っぴき寝かせぬ くつわ虫 そのくせに花は紅 ものはぶし】

意味としては【品川宿で女郎を寝かさないくせにケチ】という、そんな噂が立っているそうです……最悪やないか。

こういうツッコミを入れるのも野暮だと思うのですが、女遊びで知られるのは長州藩であり、薩摩藩が有名なのは、
【稚児(美少年)好き】
かなぁと。

明治時代には、
「薩摩の奴らが東京に来たせいで、男児とその親にとって最悪の事態に……」
と嘆かれたほどで。

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なぜ斉彬と阿部が開国反対になっている!?

江戸における薩摩の規律は厳しいそうです。
しかし、その一方で女郎遊びが戯れ歌になるほどなので、結局どっち?という素朴な疑問。

まぁでも、あまり厳しそうには見えないですよね。
全体的に本作は、緊張感に乏しいのです。

だって西郷がごろんと寝転がったら、有村俊斎(海江田信義)と大山格之助(大山綱良)という2人の郷中フレンズといきなり意気投合して、大声でゲラゲラ笑いながら話し合っているんですよ。

まるで修学旅行だ――と思われた方は私だけでないでしょう。
旧友との再会ですから、それぐらい喜んでもいいかなぁ、とは思うのですが、にしても、もう少し緊張感も欲しいです。

ネタバレで叱られるかもしれませんけど、この大山格之助、後の寺田屋事件で同僚の薩摩藩士をたたっ斬ります。
史実の同事件では、郷中仲間の有馬新七が壮絶な死を迎えました。
彼にはそういう壮絶な未来が待ち構えているのに、とてもそんなコトしそうな空気はない(キャラも感じられない)。

一方、江戸城では斉彬と阿部正弘が会談してました。
おそらくや「当時の日本の状況を説明するための会話」で、黒船来航についての近況が明かされます。

阿部正弘(藤木直人さん)

その中の回想シーンで、徳川斉昭井伊直弼の会話が出てきましたね。

井伊は【異国と戦っても勝てない】と言っておりました。
史実ではこの数年前に同じことを、阿部が斉昭に言ってました。
阿部は開国派ですし、斉彬も、外国と戦うのは無謀だというのは、父・島津斉興の時代から重々承知です。

そんなわけで斉彬も阿部も、史実では“現実的な”開国派なんですけど、ナゼかドラマでは様子がおかしい。

斉彬が
「何も考えずに開国をするとは愚の骨頂!」
と激怒しておりましたが、これは一体どういうことでしょう。

純粋に、開国に反対なのか?
それとも何も対策をしてないことがダメなのか?

会話を聞いてますと「海防」が整っていないのがマズいという感じです。

だとすれば単純に防御力を上げて外国との戦いに備えよう――
という意味か、あるいは
海防を整えておけばイギリスやアメリカと対等に交渉できる――
そんな感じですかね。

正直、斉彬と阿部の会話だけでは微妙なところがわかりません。

単純に受け取れば、斉彬も阿部も反開国派となってしまい、だとすればあまりにひどい歴史修正。
開国派だった斉彬と阿部を、斉昭レベルの無理ゲー攘夷主張派にまで落とし込むのはどうかと思います。
みんな智謀が50くらい低下してませんか。

 


「あれで徳川の御台所がつとまるのかのう」

篤姫は、斉彬の嫡男・虎寿丸と遊んでいます。
このへん必要ですかね……?

先の斉彬と阿部の会話だけではかなりシンドかった、幕末の複雑な政治状況を説明して欲しいなぁ。

篤姫様はこんな短い場面でも、西郷どんに会いたいキャピキャピアピールのようなことをして鬱陶しいです。
やっぱりこれは「愛の江戸開城」路線なのでしょうか。

斉彬もさすがに「あれで徳川の御台所がつとまるのかのう」と言い出しました。

私もそう思います。
史実ではかなり聡明だった篤姫に失礼ではないでしょうか。
そもそも篤姫の父・島津忠剛もかなりデキた人物で、その娘ならばと期待されて選ばれました。

わかっております。
私も
【史実では~】
【史実では~】
と連呼したくないのですが、いかんせん登場人物全員の智謀が大幅に低下しており、ついつい庇いたくなってしまうのです。

生死と隣合わせで生きているような緊張感。
その欠如が、各キャラの魅力を削いでしまっているような気がしてなりません。

 


ムリに下半身ネタをぶっこまなくても?

有村と大山は、品川宿に西郷を連れて来ます。

奢ってやると強引に西郷を誘う郷中フレンズ。
「会津長州土佐、男はどこも遊んでいる」と言いますが、スカンピンで遊ぶ金もろくになかったことに定評のある会津藩をしれっと混ぜるのはさすがに……。

幕末期の下半身事情は藩ごとに違いがあり、「どこの藩も男は遊んでいます」みたいな括り方はさすがに失礼かと思います。
なぜ急にこういった下半身ネタをぶっこんで来たんですかね。

そうこうするうちに西郷は、借金で身売りに出された村娘・フキと再会します。

この場面も「あんフキどんか!」とか能天気すぎる西郷。
一応「苦労したなあ」と労るとはいえ、こうした場所で働いている江戸時代の女性というのはなかなか辛い境遇で、胸を痛めるところじゃないかと思うんです。

ときに【江戸時代の遊女はアイドルのようなもの】みたいなことも言われますが、実際は、遊女の世界が「苦界」、身よりのない遊女を弔う寺が「投げ込み寺」と呼ばれていたことなんかも押さえても良さそうなものです。

平均寿命も短く、梅毒罹患率も高い。
悲惨な面もあるわけでして、このあたりはあまりに軽い描き方です。

同じく映像作品ですと『JIN-仁-』では割と濃密に描かれていて、参考になるかもしれません。
舞台もそう離れてはおりませんしね。

 

江戸のヒー様、ご登場!

ここで、フキのご贔屓という「ヒー様」がやって来ました。
皆でヒー様のところへ。

キザったらしく、絵が上手らしいです。
フキが西郷の絵を頼むと、ヒー様は男は描きたくないとのこと。

ちなみに、フキの源氏名が「お芳」なんですけど、まさか……新門辰五郎の娘をオミットしてフキにするとか?
※お芳は徳川慶喜(一橋慶喜)の側室です

ヒー様は、西郷を見て、こいつは一生貧乏で終わるぞ、とフキに言い出します。

するとこの部屋に、チンピラが紛れ込んで来ます。
遊郭には用心棒がいますので、こういうときは即座にすっ飛んできて追い出されると思うのですが……チンピラと有村たちで大喧嘩!

ヒー様はこの隙に、船に乗って逃げ出しました。
同じようなノリで大坂城から逃げたら本当にどうしよう。
今後への不安が、どんどん、どんどん、積み重なっていきます。

かくして愉快な郷中フレンズは、門限を破って薩摩藩邸へ。

有村俊斎→海江田信義(高橋光臣さん)

門限破りの罰として、西郷はお掃除役を命令されます。
って、その程度で済むんですね。
幕末の薩摩武士っていうより中学生日記……。

掃除ばかりだとフレンズに愚痴っていると、ある日、斉彬側近の山田為久に呼び出されました。
そして突然「お庭方」に命じられます。
この「お庭方」への任命はかなり大事ですけど、随分あっさりしています。

薩摩では、大久保が西郷からの手紙を受け取っていました。

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