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【クレオパトラ7世】
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アントニウスとクレオパトラに亀裂を入れる
紀元前31年9月2日、アントニウスとクレオパトラの艦隊は大敗北。もはや命運は尽きました。
クレオパトラは帰国し、毒を集め、死刑囚相手に実験を繰り返します。
そこで、どうやらエジプトコブラが最も苦痛が少なそうだ……とつきとめたようです。
クレオパトラはアントニウスを無視し、一人でオクタヴィアヌスと交渉を開始。
「もし戦争を仕掛けたら、私の豊かな財産に火を掛けて自害します」
オクタヴィアヌスは、正直なところクレオパトラをどうするか、考えあぐねていました。
プトレマイオス朝は滅ぼす。しかし女王は無理強いすれば財産ごと死ぬという……それは何としても避けたい。ここは甘い声で誘い、降伏してもらったほうがよさそうだ。
そう考えるオクタヴィアヌス。同時に策を仕掛けます。
アントニウスからの助命嘆願を無視し続けたのです。
その一方で、クレオパトラにはあなたが愛おしい、愛人にしてもよいと、甘い言葉を投げかけました。クレオパトラの色香に迷ったというよりも、政治的な駆け引きであり、心理戦です。
次第にアントニウスとクレオパトラのカップルの間に、亀裂が入ります。
クレオパトラにとって、ろくな考えのないアントニウスは邪魔者になってきてはいますが、それでも彼を失い、その兵士まで失うことは考えられません。
アントニウスもクレオパトラに疑いの目を向けてはいました。
しかしここで彼女に別れを叩きつけてエジプトを出るというのは、死を意味するもの。
微妙なバランスの上に成り立つ、危うい関係は、何かのキッカケ一つで脆くも崩れ去りそうな状況になっておりました。
「あの女が裏切ったんだ! 俺を裏切った!」
こうしたアントニウスとクレオパトラの行動は、単なる悪あがきであり、死を先延ばしにしているに過ぎませんでした。
そして紀元前30年、オクタヴィアヌスが進軍を開始。アントニウスの軍勢では裏切りが続出し、次から次へと味方が消えていきます。
「あの女が裏切ったんだ! 俺を裏切った!」
彼は悲痛な声で叫びながら、宮殿に駆け込みました。
そこで待ち受けていたのは、クレオパトラが霊廟で自害したという知らせです。
もはやこれまでか!
敵に追い詰められ、もはや死は目前。アントニウスは剣を執り、腹を突き刺しました。しかし壮健な将軍である彼は、簡単に死ぬことができません。
腹部から大量の血を流し、息も絶え絶えになったアントニウス。
誰も彼にとどめをさしません。クレオパトラに報告せねばならなかったのです。
瀕死のアントニウスは霊廟に運ばれます。
クレオパトラの閉じこもった霊廟は入り口がふさがれていたため、瀕死のアントニウスはロープにくくりつけて運ばれました。
クレオパトラは胸をかきむしって嘆き、腕の中で死んでいった夫の死を悼みました。
しかし一体なぜ、クレオパトラ自害の誤報が流れたのでしょう?
考えられるのは、アントニウスが邪魔であった何者かの策。
そう、クレオパトラに他なりません。つまり……。
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