そう、わかっていても、なかなか切り捨てられないのが迷信。今回はその中でもかなり物騒な類の話です。
1692年(日本では江戸時代・元禄五年)3月1日、アメリカでセイラム魔女裁判が始まりました。
魔女裁判というとヨーロッパのイメージがありますが、アメリカでもあったんですね。
米国の歴史というと1775年~1783年の独立戦争以降の話が多いので、まずは当時の時代背景を確認からいきましょう。
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非常に厳格な宗教的背景があった
セイラムというのは当時あった村の名前で、今日ではマサチューセッツ州・ダンバースの一部にあたります。
1629年にピューリタン(=清教徒)の団体が移り住み、「ここで純粋な信仰にのっとった生活をし、腐った英国国教会を改革してやるんだ!」という意欲に燃えていました。
裏を返せば、非常に厳格な宗教的背景があったということになります。
植民地時代のアメリカでは、神に反するもの=悪魔や魔女に対して敏感な傾向がありました。
最も古い記録では、コネチカット州で1647年に【魔女裁判】による処刑が行われています。セイラムでも、似たような話はたびたびあったようです。
そんな中、この年にサミュエル・パリスという牧師の娘・ベティーと、その従姉妹アビゲイル・ウィリアムス、そして彼女らの友人たちが、こっそり降霊会を行いました。
最初は単なる「こっくりさん」だった
降霊会というのは、亡くなった人の霊を降ろして占いや助言をしてもらおうというもの。
いわば「こっくりさん」ですね。
ヨーロッパには15世紀ぐらいから「テーブル・ターニング」というものがあり、この日行われていたのもこれかもしれません。
こうした人間による霊現象の仕組み・真相については「単なる筋肉疲労ではないか」という科学的検証もされていますが、当時そういう概念はなく、ガチで信じている人もたくさんいました。
そしてアビゲイルが突然暴れ出したことにより、降霊会のことがサミュエルたちにバレます。すると……。
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