1759年(日本では江戸時代・宝暦九年)1月15日は、大英博物館が開館した日です。
歴史好きなら一生に一度は全てをじっくり見て回りたい施設の一つですが、あれだけの所蔵物がどこから来たのかまではあまり気にしていないですよね。
ぶっちゃけた話、帝国主義が当たり前だった時代に他の国からぶんどってきたものが多いので、グーグルマップのレビュー欄等では、その点を理由に酷評している方もいます。
まあその辺はともかく、大英博物館の歴史を見て参りましょう。
現在では大小100の部屋に各国の文物を掲載
大英博物館は、ハンス・スローンという医師の遺品であるコレクションから始まりました。
個人で博物館レベルの収集を行っていたことが恐ろしいですが、スローンは上流階級向けの医師だったので、お金にもスペースにも余裕があったのでしょう。羨ましい。
これに他の人の蔵書等を合わせて、ときのイギリス政府が博物館を作ろうと動き始めました。
建物の建設には宝くじの売上があてられています。正しい公共事業ですね。
その後も収蔵品が増えるごとに増築していったため、現在では大小100近くの部屋に世界各国の文物が展示されています。
それでもスペースが足りず、自然史関連のものは自然史博物館、蔵書については大英図書館として独立したほど。
というわけで、由緒ある所蔵品が文字通り山のようにあるわけで、代表的なものをまとめてみました。
ロゼッタ・ストーン
ナポレオンのエジプト遠征時に発見され、フランスへ持ち帰られて象形文字の解読に使われた有名な石碑です。
元は紀元前196年に作られた石柱の一部ですが、他の部分は別の建物を作る時の建材として利用されてしまったらしく、見つかっていません。学術的にはもったいない話ですね。
ナポレオン戦争中にイギリスへ所有権が移り、大英博物館に収蔵されることになりました。
現在はエジプトが「ウチのもん返せよ!」(超訳)と返還を要求しています。そりゃそうだ。
エルギン・マーブル
ギリシャのパルテノン神殿にあった大理石の彫刻の一群です。
この名前は、当時調査をしていた(そして神殿からひっぺがした)第7代エルギン伯爵トマス・ブルースから名付けられた通称ですが、ギリシャ人からするとやっぱりいい気分はしないでしょうね。
当時のイギリス人からも批難されていますし、現在はギリシャから返還が求められています。
ちなみに、ブルースはこの彫刻の輸送費用で破産しかかったため、大英博物館へ寄贈することにしたそうです。本末転倒やがな。
カニシカ王の舎利容器
西暦127年頃に作られたとされる、釈迦の骨片を収めた容器といわれています。
カニシカ王とは、古代インドの王朝・クシャーナ朝の王様の一人です。彼のお墓の中に収められていたため、このように呼ばれています。
蓋には釈迦三尊像が乗っており、容器部分にはカニシカ王自身と思われる君主とイランの神様などが刻まれていて、美術的にもインド的にも仏教的にもお宝です。
しかし、特に返還運動等は起きていないようですね。
インドが英連邦に所属しているためか、現在のインドでは仏教が少数派だからか、他に何かあるのか……。
余談ですが、現在インドの仏教徒のリーダーに当たる方は日本人(インドに帰化済み)だそうです。なんだかすげえ。
仏像、春画、能面、漫画……これがジャパニーズ!
もちろん、大英博物館には日本の展示室もあります。
大英博物館の公式サイトだと、仏像とスプリングな絵画と能面と漫画の表紙が一緒に出てくるので「いったいどんな国だと思われてるんだろう(´・ω・`)」という気分になります。
まあ、数千年分の文物を一か所にまとめて、特に印象に残るものを掲載した結果なんでしょうね。
元々大英博物館は無料ですけれども、何と最近はグーグルマップでも見学できるようになりました。
見取り図まではないので、どこが何の部屋だか一瞬わかりにくいのですが、まあそこまで求めるのはぜいたくですかね。
右側にあるエレベーターのようなパネルで、階層を切り替えることもできます。日本の展示室は5階を押すとすぐ表示されるのでわかりやすいです。
他のフロアでは、石像の類が柵もなしに展示されている所も多いので、「おおおお!!」と感動すると同時に「これ、誰かが触ったり倒したりしないかな((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル」という気分にもなります(個人の感想です)。
基本的にすごく混むところなのに、人一人がすれ違えるかどうか怪しい感覚のところもありますしね……。
理想をいえばやっぱり、現物を直に見たいものですが。グーグルマップだと解説が読めませんし。
それに、展示物の維持にはお金も人手もかかります。
見学料がかからないにしても、少しは寄付をしたほうがお互いに気分がいいですよね。むしろ、タダで見られる分寄付しないと申し訳ないというか。
何にせよ、今後はどこかからぶんどることなく、保管を続けてほしいものです。
長月 七紀・記
【参考】
engadget.com
British museum/Google Cultural Institute
大英博物館/Wikipedia