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【キーウ大公妃・聖オリガ】
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オリガのおもてなしその1「キーウ(キエフ)へようこそ♪」
翌朝、使節団はよい返事を求めて、オリガの城までやって来ました。
しかし返事はありません。それどころかオリガは家臣にこう命じたのです。
「奴らを引きずり出し、穴の中に叩き込め!」
使節団はできたばかりの深い穴に叩き込まれました。
オリガは穴の淵に立つと、こう尋ねました。
「キーウ(キエフ)にようこそ! 訪問をお楽しみですか」
使節団は叫び返します。
「なんということを! イーゴリがやられたより酷いぞ!」
「助けてくれえーッ!」
しかしオリガは助命嘆願を無視します。そして護衛兵たちにこう命じます。
「奴らを埋めて、黙らせろ」
かくして20人の使節団は、生きたまま埋められてしまったのです。
オリガのおもてなしその2「熱いお風呂で疲れを癒してね♪」
使節団が生きたまま埋められている頃。仕事のできる女オリガは休みません。
「マルに使者を送るぞ」
オリガの伝言はこうでした。
「求婚の件、とても嬉しく思いますわ。
すぐに素敵なマル様にお目にかかりたい♥
確かに今回の使節団は立派な方々ですけれども、私の身分を考えますと、ちょっと不釣り合いではないかしら。
もっと重要な人物を、敬意をこめて送ってください。
あなたのオリガより」
この彼女の伝言を受け取ったマルは大喜び。
「オリガちゃん、かわいいことを言うのう。よし、ここはドレヴリャーネ族でも有力な貴族を送らねばな」
マルに命じられ、貴族たちは着飾ってオリガの城へと向かいました。
オリガは笑顔で彼らを出迎えます。
「ようこそお越し下さいました。遠路はるばるお疲れでしょう。お風呂を用意しましたので、ごゆっくりおくつろぎください」
貴族たちはオリガのあたたかいおもてなしの心に感動しました。
「気の利く方だなあ」
貴族たちが浴室のある建物に入ると……その背後で扉が固く閉じられました。
そして……。
浴室は炎に包まれました。
「今日の宴のメインディッシュは、ドレヴリャーネ野郎どものローストだ……」
オリガは家臣に命じて、浴室に火を放ったのです。
さらに……。
オリガのおもてなしその3「蜂蜜酒で乾杯♪」
浴室で生きたまま焼かれるドレヴリャーネ貴族の悲鳴をBGMとして聞きながら、オリガは再びマル使者を送ることにしました。
マルはオリガから、なんとも健気な知らせを受けるのです。
「なになに……結婚が待ちきれないから今そちらに向かっていると。結婚の前に夫の墓前で彼を偲んだあと、我々と弔いの宴会をしたいと。いやあ〜、かわいいことを言うもんだねえ」
鼻の下を伸ばしたマルは、早速オリガを迎えにゆきます。
ドレヴリャーネとキーウ(キエフ)の人々は合流し、イーゴリ1世の墓参りをしました。
葬儀が終わると、宴会となります。
宴会場には数百人もの人々がいました。
オリガは女主人として、蜂蜜酒(ミード)を一人一人に注いで回ります。
「お妃様は優しくて、気が利くいい人だねえ」
ドレヴリャーネの人々は、疑うことなく蜂蜜種を飲み干します。
しかしキーウ(キエフ)の人々は、誰一人として酒に口を付けていませんでした。
数時間後、マル以下ドレヴリャーネの人々は皆意識を失い、寝込んでいました。
「殺れ。ドレヴリャーネどものはらわたの色を確かめてやるのだ」
オリガが命じると、キーウ(キエフ)の人々はドレヴリャーネ族を一人残らず斬殺したのでした。
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