古代オリンピック

古代オリンピックの想像図(1915年作)/wikipediaより引用

ギリシャ

虫あり酒あり動物の血あり!古代オリンピックは選手だけでなく観客も超過酷だった

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墓石にオリンピック観戦歴を彫りつけた人も

そもそも競技会場までたどりつくのも一苦労でした。

1日25キロ、熱暑の中、しかも水不足なのに歩いて会場まで向かう人もおりました。どう考えてもキツイ。

ただし、幸いにも治安はよく、襲撃されることはありません。

オリンピックはゼウスや神に捧げる祝典であるため、観戦者を襲うことは罰当たりと信じられていたためです。

それでもくじけないのが、スポーツ好きの古代ギリシャ人です。

中には、墓石に自分のオリンピック観戦歴を彫りつけた人もいたほど。自慢したかったんでしょうねぇ。

古代オリンピックは女人禁制と言われておりますが、適用されたのは既婚者のみで、未婚女性は観戦できました。

スキタイ出身の哲学者アナカルシスからみると、古代ギリシャのスポーツ熱は理解しがたいものがあったようです。

「選手も悲惨、観客はもっと酷い。スポーツ観戦なんてあんなしょうもないことで、時間を無駄にしてなんなんですかね。

私の国では暴力行為は犯罪ですけれども、ギリシャの人は大勢が見ている前で殴り合い(格闘技)をして、それを見て喜んで歓声まで送るなんて!」

そうボロカスに言うアナカルシスに、アテナイのソロンもぐぬぬぬ……となったようです。

ソロンと称される胸像/wikipediaより引用

「見ればわかるはずですよ! あの場で観戦して歓声を送れば熱気がわかるはず! 選手の見事さに拍手をせずにはいられないはずなんです!」

スポーツ観戦熱狂派とアンチのやりとりって、この頃から似たようなものかもしれません。

 


酒とスポーツ観戦

スポーツ観戦しながら飲むビールは最高!

そうやってサッカーW杯やプロ野球を楽しむ方もおられるでしょう。

実際、スポーツバーでは、観戦と酒を同時に楽しむお客さんが大勢おりますもんね。

これは古代オリンピックでもそうでした。

オリンピックは神に捧げるもの。

酒の神であるディオニソスに祈りを捧げるといえば、ワインは飲み放題です。競技場周辺はこうしたワイン屋台だらけでした。

古代ギリシャのワインを注ぐボーイ/wikipediaより引用

ワイン屋台はもともと都市部にあり、やや格が劣るものとして庶民的とされております。

しかし、オリンピック観戦者はそんなことはお構いなし。好き放題に飲んだくれました。

古代ギリシャのワインは、アルコール度が15-16パーセントと高いことが特徴です。

現在のものは平均12.5パーセント程度。ブドウの種やカスも浮かんでいて、強烈な味でした。

そのため、酒豪でもなければ、いったん漉してから水で薄めることが一般的な飲み方でした。

ワイン2:水3で薄めるのです。

こうした屋台ではヒヨコマメ、生イチジク、スライスしたソーセージ、ビーツ、豚肉の塩漬け等がおつまみに出されたとか。

このおつまみで足りなければ、食事を出す屋台に行くこともできました。

 


オリーブオイルなしじゃ入浴できない!?

オリーブオイルと聞いて、皆さんは何だと思いますか?

食材というのが一般的な答えになりますよね。

同じ質問を古代ギリシャ人にしたら、全然違う答えが返ってきます。

「入浴に欠かせないよなァ」

「スキンケアに必要でしょ」

現代日本でもオリーブオイルのスキンケア用品がありますが、古代ギリシャの使いっぷりの前ではガキの使い状態。

オリンピック選手の入浴でも、オリーブオイルは欠かせません。

練習で汗を流した選手たちが向かう浴室には、ライオンの頭の形をした蛇口がズラリ。シャワーのように、高い所から流れる水もあります。

ここでまず、髪の毛や全身にすり込むのがオリーブオイルです。

石鹸のかわりに、アルカリ性の粉や灰など「洗うための粉」もすり込みます。

オイルとすり込んだ粉を、ストリギルまたはストレンギスという三角形のヘラでこすり落とすのです。

オリーブオイル抽出用の古代ギリシャ式石臼/wikipediaより引用

こうしてこすり落としたあとは、香料入りのオリーブオイルを、マッサージ師によって全身にすり込んでもらいます。

つまり、オリーブオイルはシャンプーとボディソープ、マッサージオイルを混ぜたようなものでした。

古代オリンピックの選手たちは、汗とオリーブオイルにまみれていたのです。

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