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【古代オリンピック】
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会場は動物の内臓まみれだった!?
古代オリンピックは、スポーツの祭典だけではなく宗教儀式でもありました。
そうなると、神に犠牲を捧げる儀式も開催されるのです。
捧げられたものといえば動物です。オリンピックの会場には、生贄のためのたくさんの牛が列を作って入場してきました。
神殿の祭司が、ゼウスはじめ神像の前で、こうした動物を解体してゆくのです。
スポーツ会場で動物が大量に解体されるのですから、現代人からすればびっくり仰天。
蠅を追い払うための礼拝も開催されたといいますが、そもそも動物が解体されるならば、そりゃあ蠅も大量に湧くことでしょう。
地面には血が流れ、内臓まみれとなったオリンピック会場。しかし観客は、楽しみにしていました。
「やったぜ、肉が食える!」
庶民にとって肉は高級グルメです。犠牲となった動物の肉は、宴会で観客にふるまわれたのですから、ありがたいものでした。
観客たちは肉を味わい、大いに騒ぎました。
スポーツと肉食ありの宴会があるのですから、ハマる人はハマったことがよくわかりますね。
美青年の汗と血! 熱愛のギムナシオン
現代のオリンピックでは、選手村で避妊具が配布されることがあります。
これは古代オリンピックと照らし合わせても、大いにアリの伝統。
観客側の下半身事情からしますと、彼らがどやどやとワインを飲んで騒いでいる横で、娼婦たちも大勢商売のチャンスを待ち受けておりました。
しかし、彼女らにとっても中々厳しい環境であったようで。汗で化粧が剥げてしまったり、稼ぎ時とはいえ、なかなか辛いものでした。
選手たちにとっても、オリンピックはロマンスを得る場所です。
「性欲にかられると運動競技に悪影響がある!」
そう主張し、犬の交尾すら見ないようにする選手も中にはおりました。
しかし、これはあくまで少数派。
当時のスポーツ選手は、全裸で競技をしていました。しかも、古代ギリシャでは若い男性を愛することこそ神聖な愛と考えられていたのです。
そんな古代ギリシャで、若くて健康、筋肉の引き締まった選手が、ギムナシオン(競技場)に群がるのですから、これはもうたまらないものがあったのです。
古代オリンピック選手は、走る時も全裸です。
何も起きないはずが、ない。
選手とのロマンスを夢見て、ギムナシオンに出入りする美少年たちも出没しておりました。
「幸せな恋人たちはギムナシオンで汗を流し、帰宅すると美しい恋人とぐっすりと安眠する」
そう詩人が表現するほど、ギムナシオンは熱愛の場になりました。
レスラーが競い合うレスリング、殴られて血を流すボクシング競技は、悶える美青年好きを悩殺しまくったようです。
古代オリンピック。
それは流れる選手の汗や血に身もだえし、
「美しいッ、辛抱たまらん!」
と、詩人が悶絶した句を残す場でもあったのです。
★
いかがでしょうか。
現代人からすれば過酷な観戦状況、動物の内臓まみれという、驚くべき古代オリンピック。
しかし、スポーツ観戦や屋外での飲酒飲食の楽しみ、スポーツ観戦大好き派の情熱は変わりませんよね。
スポーツ観戦は、昔から楽しいものであったのですね。
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文:小檜山青
※著者の関連noteはこちらから!(→link)
【参考文献】
トニー・ペロテット『驚異の古代オリンピック』(→amazon)
結城和香子『オリンピック物語―古代ギリシャから現代まで (中公新書ラクレ)』(→amazon)