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おんな城主直虎レビュー

『おんな城主 直虎』感想レビュー第12回「おんな城主直虎」生ハムメロンは風変わりなれど美味だった

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こんばんは、武者震之助です。
今週からいよいよ「おんな城主」誕生、という宣伝を見かけますが、その前には辛い別れがあるわけです。桶狭間で大量退場があったばかりなのに、これではしんどすぎるのではないかとちょっと気が重いです。

 

幼き頃からの放浪生活を終え、井伊に戻ってきた直親の悲しき最期

軽装に僅かな供をつけて今川家の待つ駿府まで出向く井伊直親一行。彼らは掛川城手前で今川からの刺客の手にかかります。井伊谷で次郎が水垢離をし無事を祈る中、直親と近臣たちは切り結ぶもついに力尽き、屍をさらすことになります。

「井伊はどちらだ……」
井伊谷の方角を探りながら、息絶える直親。
ほんの少し前まで、精悍な青年そのものだったのに、生命が体の中なら流れ出すように死相に変わってゆきます。三浦春馬さん、渾身の演技でした。

幼い頃から彷徨い、井伊に戻ることを夢見てきた直親。死の直前に、懐かしい井伊谷の方角だけでも求めた、まさに彼の短い人生が凝縮されたような言葉でした。井伊直政の父としてほんの少しだけ出てきた井伊直親の人生は、本作で甦りここに尽きました。
短く苦難に満ちた人生ですが、彼は一生懸命生き抜きました。

直親の死は哀しいものですが、死者の中に井伊直盛が命をかけて救った奥山孫一郎がいるのも、「直盛の犠牲は無駄死にだったかもしれない」と虚しさを増します。こういうところが本作はえげつないと思うのです。

水垢離をする次郎の前に、幻か、魂なのか、直親が姿を見せます。
次郎はその姿を見て、倒れてしまうのでした。

井伊谷にこの悲報が届きます。何度も続く逆縁、切腹すら許されなかったことを嘆く直平。次郎は高熱を出し、寝込んでしまいます。
意識を失いながら、宙に手を伸ばす次郎。母の祐椿尼は「直親、手を離しなされ! とわを連れていくでない!」と叫びます。この場面は見事だったと思います。何も見えない空間に、確かに直親の魂が漂っているような、そんな気がしました。それを止める母の強い思いも伝わって来ました。

 

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直親の妻・しのが次郎の手を払い責め立てる

直親らの遺体を回収にいった龍潭寺の南渓、傑山宗俊らは無残な光景に思わず号泣。もしも傑山たちが護衛をしていたら直親は死なずに済んだかもしれません。

しかし直親は、自らの潔白を証明するため敢えて軽装、護衛をつけていなかったのです。そのことを思うとやるせない思いが強くなります。史実では直親は斬首されていますが、流石にそこまでは描きませんでした。

三日三晩死の淵をさまよっていた次郎は、やっと目を覚まします。
そこへ直親らが無言の帰宅です。
冷え切った直親の遺体を目にして呆然とする次郎ですが、死者を偲ぶことすら許されないのでした。直親の妻であるしのが泣きながら、次郎の手を叩きます。
「おまえがあの時(第10回、しのの父・奥山朝利殺害時)、小野但馬(政次)を成敗しておけばかようなことにはならなかったものを。全て何もかも、そなたのせいではないか!」

しのの妹・なつは姉が錯乱しているからと庇いますが、次郎はしのの言う通りだとつぶやくしかありません。
しのは憎まれ役になりそうではありますが、先週、直親が次郎としのに告げた言葉を思い出すと、しのの気持ちもわかります。最期の最期まで、直親はただ、許嫁であった次郎=おとわだけを愛していたのです。しのはそのことを感じていたのでしょう。やり場のない怒り、無念を次郎にぶつけるしかないのです。

しかし、しのは次郎がこれまでも自らを責めてきたことを知りません。
次郎は、言い返すこともできず、ふらふらと立ち去るしかないのでした。次郎と直親、この二人がやっと隣同士に並ぶことができたのは、墓に入ってからだと思うと切ないものがあります。なんとも哀しい星の巡り合わせです。

 

氏真、左馬助の鼻の穴に菓子を突っ込み!

ただ一人直親を、井伊の井戸で弔い教を読む次郎。歌うような美しい声も、やがて涙声になり、すすり泣きとなって途切れてしまいます。

悲嘆にくれる井伊谷に、今川が追い打ちを掛けてきます。
虎松(のちの井伊直政)を殺すようにと告げる命令を聞いた井伊直平井伊直満死後の亀之丞(直親)のように、遠くへ逃す手配をしようとします。
夫に続いてまだ二歳の我が子すら失うのかと、取り乱すしの。そこへ新野左馬助が、自らの命を賭けて、命乞いをしてくると旅立ちます。
その心意気はよいにせよ、勝算はあるのでしょうか。

左馬助は誠意しかありません。今川氏真はそんなことを聞き届けるわけもありません。激怒して菓子の皿を蹴り飛ばし、拾えと命じる氏真。化粧の下の顔色は悪く、ひきつり、平静を装いつつも彼も苦悩していることがわかります。
氏真は「お前の老いぼれた首なぞ価値がない。別のわしが欲しい首を取ってこい」とニヤリと笑い、左馬助の鼻の穴に菓子を突っ込みます。氏真の欲しい首とは誰のものか、この時点で視聴者にはあかされません。

今川氏真という人物は父・義元の遺産を失った暗君とされ、本作でも序盤はそのように描かれていたと思います。
それが先週あたりから、ただの暗君ではないなかなか味があり、かつ恐ろしい人物となってきました。短い出番ながらも、なまじ父親より器が小さいぶん厄介かもしれない、と思わせる演技が見事です。
この菓子を鼻の穴にねじこむ場面には、幼児性とともに、人を見下す傲慢さが凝縮されていました。ああ、こういう大人げない悪党っているよなあ、と思わせる尾上松也さんの演技が見事です。

今川義元の代から比べて、同家の対応はやり過ぎになっています。
同じ謀叛の疑いで処断するにせよ、井伊直満の時よりも直親の方が弁明の場も与えられないまま、不意打ちというえげつないやられ方をしています。これでは国衆の反感は増すばかりで、どうにもスマートさに欠けるのです。
これも氏真の幼児性、焦りをふくんだゆえの処置なのでしょう。

 

三河の一向一揆では本多正信も敵方に……苦しむ松平元康

井伊谷に戻った左馬助は、氏真の要求を直平らに報告。井伊を留守の間に株が下落している小野政次は、氏真の側にいます。接待用の薄ら笑いを浮かべて側に侍る政次は、松平信康が寺社の反発を受け、一向一揆勢に苦戦していると報告。元康を苦しめた一向一揆に、政次は一枚噛んでいました。
やはり彼は井伊家で最も頭が切れる男です。その彼ですら寿桂尼の掌で転がされていたのですが。
氏真は「悪い奴じゃのお、そなたは!」と上機嫌です。

元康は一人芝居であたふたしていますが、この阿部サダヲさんの演技がどこか去年の内野聖陽さんと重なって見えます。ご本人は「参考にはさせていただいていますが、すぐにまねしたら駄目ですよね」と語っていますが(エンタメOVO)、家康のキャラクター性が昨年と今年で近い位置にあるので、自然と似てくるのかもしれません。このあたふたとして、今にも尻のあたりから異臭が漂ってきそうな狼狽ぶりは、昨年とそっくりです。いやあ、見ていて楽しいんですね。

この三河一向一揆は、昨年さんざん真田昌幸に馬鹿にされていた「三方ヶ原の戦い」、昨年敵勢を押し通った「伊賀越え」と並ぶ「家康三大危機」に数えられます。

何が恐ろしいかというと、どんな苦難においても家康に忠誠を誓ってきた、律儀者の三河家臣団の多くが一向宗側についてしまったことです。昨年、近藤正臣さんが演じていた本多正信すら敵側についたのです。
元康は碁盤の前であわてふためていますが、いわば味方の碁石が勝手に敵の色に変色するような状況です。この短い場面から、元康の苦難をお察しください。

 

酒盛りに集う井伊の男衆はすっかり人も減り……

井伊谷ではすっかり心が折れた次郎が、虚しい日々を送っていました。ライフワークであった竜宮小僧としての手伝いすら辞めてしまった次郎。私が関わると皆不幸になるんだよ、とやさぐれてしまいます。
そんな次郎に、南渓が酒を持たせ、戦に出る直平の元に持って行けと告げます。直平には長年の願いがあるとか。

直平のために屋敷に向かった次郎は、酒盛りを目にします。
しかし参加者は虎松を膝に乗せた直平、新野左馬助、中野直由だけ。井伊谷はここまで人が減ってしまったのか、と愕然とします。思えば井伊家にはどうしようもない家臣もたくさんいました。いたところで頼りない人ばかりでした。しかしそんな人でも、欠けてしまうとこんなに虚しいものなのでしょうか。
がらんとした空間で、無理矢理声をあげてはしゃぐ直平らの姿に虚しさがこみあげてきます。このやっと残った数少ない武将三名が、出陣してしまうのです。

氏真が望んだ首とは、松平元康のものでした。それを取るために、井伊谷から男たちを駆り出すというのです。
かつてこんなに恐ろしい氏真がいたでしょうか。
男たちは「守るために死んでゆく男は果報者ですよ」とさわやかに笑っていますが、こんな悲惨な酒盛りそうそうありません。今川家は薪を火にくべるように、井伊谷の男たちの命を燃やしてゆきます。

直平の願いとは、出家してしまった次郎と酒を酌み交わすことでした。ずっと「次郎が男であればと思っていたけれども、女でよかった」と笑う直平。女であれば逆縁にはなりそうもないと笑っています。
思えばこの人の人生は逆縁だらけでした。直平がこうも明るいのは、あの世で愛おしく先立っていった子や孫に会えると思っているかもしれません。

この宴で酒の味を覚えてしまった次郎。上戸だったらしく、井戸の脇で飲んだくれてしまいます。
「井伊家当主の一人っ子なのに男でない、誰かを守るために戦に出るわけでもない、さりとて愛しき我が子もいない。我って一体何。無用の長物……」
かなり身も蓋もない嘆きを南渓相手につぶやき、もたれかかるとそのまま寝入ってしまいます。

こんな嘆きは実の親にも、いや親には絶対に言えません。かつて次郎が結婚を断るために直親に語った「かびた饅頭」という言葉を思い出します(第6回)。

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