スキーの歴史

ノルウェー白樺の脚/Wikipediaより引用

世界史

スキーの歴史は4500年!紀元前からの狩猟具が武具となりスポーツへ

スケート、ホッケー、ボードにカーリング――。

一口にウィンタースポーツといっても多種多様ですが、その中で王様とも言えるのが【スキー】ではないでしょうか。

種目はアルペン、モーグル、ジャンプ、クロスカントリー等と多岐に渡り、更には自分で楽しむにも最高に贅沢な趣味です。

その歴史も実は相当古い。

なんと紀元前2500年まで遡るというから驚きで。

当時はもちろんスポーツではなく、実用的な移動ツールであり、積雪の多い地方では狩猟の際に用いられた薄い板が始まりでした。

1月12日はスキーの日(後述するレルヒが日本で初めて指導をした日から)。

只者ではないスキーの歴史を見てまいりましょう。

北欧神話には、「スキーの女神」ことウルの妻スカジが登場/wikipediaより引用

 


スキーの歴史は人類と共にあり

前述の通り、スキーは狩猟に用いられたのが始まりです。

ただし、雪がある場所ならドコでもOKというわけでもなく、例えば森の中を移動するなら、かんじきやスノーシューの方が効率的。

長い板でシューッと滑ることができる広々としたエリアで、スノーシューが長く薄くのばされて、原始的なスキーになりました。

ヨーロッパ、ロシア、日本の北海道(アイヌ人)等の間では、古くから重宝されています。

スウェーデンでは、紀元前1500年頃のものであろう「2メートル前後のスキー板」が発掘されています。

発掘されたスキー板/photo by moralist Wikipediaより引用

 


「白樺の脚」伝説

時代が下ると、ものすごい速さで谷や坂道を滑り降りる者が出てきます。

北欧の国ではこうした者が、

「あっぱれ、勇者である!」

と賞賛されるようになるわけです。武士が馬術を褒められるようなものですね。

ヴァイキングもスキーを用いており、彼らの間ではいかに急斜面を滑り降りるかという、技試しも行われるようになりました。

北欧神話の神・ウル。このようにスキーを履いて、弓を構えたのが戦士の武装でした/Wikipediaより引用

13世紀のノルウェーでは、伝説のスキーヤーも生まれました。

二人の勇者が反乱者の手から幼い王子(のちの名君ホーコン4世)を救出。

王を殺し、幼い王子までも手に掛けようという追っ手から逃れるため、二人は吹雪の中55キロという距離をスキーで滑り抜けました。

人々は彼らの勇気を讃えて、二人を「白樺の脚」と呼んだのです。

白樺の脚/Wikipediaより引用

なんだか二人の絵を眺めていると、劉備の子供を抱いて戦場を駆け抜けた【北欧版趙雲】にも見えますね。

当時は、現在のように両手にストックを持つわけではなく、武器と盾等を持ちながら滑りました。

「白樺の脚」を描いた紋章/Wikipediaより引用

ちなみにこの「白樺の脚」の偉業を記念して、ノルウェーでは55キロを滑る競技会が現在も開催されているそうです。

 


1800年頃、スポーツとしてのスキーが確立

上記の通り、人々は、狩猟、移動手段、武術の鍛錬としてスキーを利用してきました。

ではスポーツとして確立するのはいつのことなのか?

考えられるのは1800年頃。

北欧ノルウェーのテレマルク地方で、レジャーとしてのスキーが広まりました。

1本のストックでバランスを取りながら、一定のペースで滑る――この地方の方言で「スラローム」と呼ばれたのです。

そのうち、スキーを得意とする人々は、ビールグラスを持ったり、落ちているものを拾ったりしながら滑るように……要は、タイムを競うのではなく、パフォーマンスを楽しんだのですね。

さらにはコースの傾斜を生かす「ゲレンデシュブリンク」という遊び方も発生。

ジャンプをしているうちに、思い切って高く跳ぶ者が出始めます。

このころのスキージャンプは、現在のように飛距離を競うものではなく、高さを競うものでした。

飛距離はせいぜい10メートル以下。道具も環境も整ってない場所では、それでも十分だったのかもしれませんね。

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