絵・小久ヒロ

寺社・一揆 信長公記

一雲斎針阿弥(信長の同朋衆)が公家や寺院への使者を務め~信長公記159話

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鶴の礼を言うために安土へやってきた前久

翌1月11日、今度は前久が鶴の礼を言うため、安土へやってきました。

前久と信長は、鷹狩などで趣味が合う友人でしたので、公私入り混じった気軽な訪問だったのではないでしょうか。

話をしているうちに、「前久が町家に宿をとっている」と聞いた信長。松井友閑に「お前の邸を前久殿の宿として提供せよ」と命じ、衣服も進呈したといいます。

前久はこれにも礼を述べて、12日の早朝に京へ帰っていきました。

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前久は元々フットワークが軽く、五摂家筆頭といえる近衛家の当主でありながら、自ら地方にも赴いて戦国大名ともつきあっていた人です。

町家に泊まるくらいは平気だったのかもしれません。

そこで友人のために、少しでも良い宿を使わせよう……というのは、信長の優しさでしょうか。

松井友閑なら都の事情や文化にも詳しいので、粗相をするおそれもありませんし。

穿った見方をすると、町家で政治的な話や信長にとってまずいことをされてはかなわないので、友閑に見張りをさせた……とも考えられますかね。

 


吉良で鷹狩

こうして比較的のどかな正月を過ごした信長。

1月13日には、一月ぶりの鷹狩に出かけています。

途中で岐阜や清洲を経由し、1月18日に前年末と同じく三河・吉良で鷹狩をしました。

吉良での鷹狩がお好きなようで、信長公記にはこれで三度目の登場となりますね。

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この日も雁や鶴をたくさん獲ったようで、帰路に岐阜へ立ち寄り、1月25日に安土へ帰ってきました。

往路・復路両方で岐阜には一日滞在していますので、岐阜城では嫡男の織田信忠やその下につけた家臣らと何か相談でもしたのかもしれません。

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長月 七紀・記

【参考】
国史大辞典
『法隆寺東寺・西寺相論と織田信長 - 東京大学史料編纂所』(→PDF
太田 牛一・中川 太古『現代語訳 信長公記 (新人物文庫)』(→amazon
日本史史料研究会編『信長研究の最前線 (歴史新書y 49)』(→amazon
谷口克広『織田信長合戦全録―桶狭間から本能寺まで (中公新書)』(→amazon
谷口克広『信長と消えた家臣たち』(→amazon
谷口克広『織田信長家臣人名辞典』(→amazon
峰岸 純夫・片桐 昭彦『戦国武将合戦事典』(→amazon

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長月七紀

2013年から歴史ライターとして活動中。 好きな時代は平安~江戸。 「とりあえずざっくりから始めよう」がモットーのゆるライターです。 武将ジャパンでは『その日、歴史が動いた』『日本史オモシロ参考書』『信長公記』などを担当。 最近は「地味な歴史人ほど現代人の参考になるのでは?」と思いながらネタを発掘しています。

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