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【厳島の戦い】
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毛利劇団の勝利シナリオは?
そのため元就はまず情報操作から始めます。
「今、厳島に来られたら困っちゃうな~、ワシどうしたらいいかなぁ~」(チラッチラッ)
と、あちこちで呟き、毛利家内に潜むスパイの耳に入れさせました。
万が一、毛利家下々の家臣たちまで「うちの大将(元就)、大丈夫か……」となったらマズイところですが、そうならなかったところに毛利家臣の元就への信頼の厚さが窺えますね。
嫡男で当主の毛利隆元からして
「父上が隠居するなら私も隠居します! 後は息子(※当時7歳・後の輝元)に任せた!!」
とか言っちゃうほどの心酔振りでした。
毛利隆元(元就の長男)失って初めて実感する跡取りの偉大さ優秀さ
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そして元就はトドメに、重臣の一人・桂元澄に対し
「おまえちょっと裏切るフリしてくれない?」
と命じます。
この人は元就が家督を継いだ頃からずっと宿老として仕えてきた忠臣。
主君の意を汲んだ彼は、陶晴賢へ「最近ウチの主人が冷たいんです。私に居場所をください……」と泣きつく手紙を送り、まんまと陶家へ裏切る手筈を整えます。
この辺の毛利家一同、演技力がすげえ。
さて、このわざとらしい呟きと裏切りに見事に釣られた陶晴賢、意気揚々と厳島へやってきました。
「桂が寝返ってきたら総攻撃なw」なんてほくそ笑んでいたのでしょう。
実は「いくらなんでもわざとらし過ぎますよ、元就が何か仕掛けてるに決まってますよやめましょうよ」と引き止めてくれた人もいたのですが、大内氏の実権を握ってホクホクしていた晴賢は聞き入れませんでした。
むろん陶晴賢も愚将なんかではありません。
陶晴賢・戦国大内家の重臣はなぜ下剋上を起こし毛利に滅ぼされたか
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巨大な大内家でクーデターを成功させたぐらいです。
つまりは、それだけ元就の謀略が勝っていたということですね。
捕食者がいつのまにか食われる立場に
エサに釣られた大魚・陶軍。
そこが厳島という極めて狭い漁場ということをすっかり忘れてしまったかのように、この状況でもし包囲されたら……なんてこと考えもしません。
だって、毛利には陶軍を囲めるほどの人数がいないのですから。
そこが陶晴賢一生の不覚でした。
一方、そのころ毛利側は着々と準備を進めています。
確かに毛利家だけの兵ではどう考えても数が足りませんが、敵を小さな島に押し込めた上で、出口となる海を包囲してしまえば袋のネズミの完成です。
海で包囲するのなら、陸地で同じことをするよりも兵数は必要ありません。
敵船の間を泳いで通り抜け、対岸までたどり着くなんて芸当は不可能でしょうしね。
時期的にも水が冷たくなる頃ですし、下手に飛び込んでもそうそう長くは泳げません。
そこに目をつけた元就は自分の家の水軍だけでなく、瀬戸内海の有力者・村上水軍に援軍を要請し、「包囲よろしく」と依頼したのです。
これで準備は万全、あとは神様の気分次第……。
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