兵主源六

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あまりにマヌケな落城劇!戦国武将・兵主源六は踊りに釣られて後の祭り

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城下で行われている楽しげな盆踊り大会を目にした兵主源六さん。

すると、どうでしょう。

コンコノ城からその様子を見聞きした兵主源六ひょうすげんろくさんが、音曲に釣られてなんとノコノコと下山してくるではあーりませんか!

しかも“主君が踊り好きならば家臣も踊り好き”ということで、兵主源六さんの家臣たちも一緒にコンコノ城から盆踊り大会に参加しにきたのです。

「待ってました!」とばかりに、襲いかかる亀井軍。

踊りに加わっていた一団と、周辺に隠れ潜んでいた部隊で、一斉に無人(笑)のコンコノ城へ攻め寄せ、火を放ちました。

兵主源六さんが城下の盆踊り大会会場からコンコノ城を見上げた時には、文字通り“後の祭り”。

瞬く間に城は燃え上がり、呆気なく落城してしまったといいます。

まるで漫画の世界観!(笑)

 

「亀井踊り」として今も受け継がれ

この後、コンコノ城はおそらく廃城となりますが、落城エピソードは地域で語り伝えられました。

地元では「躍見おどりみの城」と称され、後にそれが訛って「汚登路免城おどろめじょう」と呼ばれるように。

『気高郡史考』という史料では、次のように記されています。

「毫(ごう)も鉾も交えずして容易に城を奪われて敗亡す。豈(あに)に醜の極ならずや」

要は「全く戦わないで簡単に城を奪われて滅亡するなど、どうして醜態の極みでないことがあろうか、いや醜態の極みである」ということですね。

兵主源六さん、メチャクチャに言われてる!(笑)

なお、踊りマニアの兵主源六さんを惹きつけた亀井茲矩一団の踊りですが……。

中途半端なものでは、生粋の踊りマニアを城から誘き出すことなどできませんよね。相応のクオリティがあったはずです。

だからでしょうか。

なんと、この踊りは現在まで継承されているんです!

それが「亀井踊り」です。

亀井茲矩の亀井家は、江戸時代にそのまま鹿野藩主に就任。コンコノ城攻略の祝いとして鹿野町では「亀井踊り」が踊り継がれ「鳥取県の無形民俗文化財」となっています。

合戦の様子を太鼓で表現した「鹿野亀井太鼓」まで創作されています。

◆亀井太鼓・踊り 亀井茲矩公没後400年記念事業(→link

また、亀井政矩かめいまさのり(玆矩の息子)が1617年(元和3年)、鹿野藩から石見国いわみのくに津和野藩つわのはん(島根県津和野町・政庁は「日本100名城」の津和野城)に移封となり、幕末までお殿様を務めています。

そのため津和野にも踊りは引き継がれ「津和野踊り」として同様に現代まで伝わっています。

津和野城の本丸から見た太鼓丸

津和野踊りの衣装は、白い着物を羽織って顔には黒い頭巾と白いハチマキを付けています。

これは、盆踊りに加わった亀井茲矩の軍勢が、身に付けていた甲冑を隠すためだったと伝えられています。

甲冑が擦れてカチャカチャと音しなかったかな?とか野暮なことは言いません(笑)。

こうやって地元で言い伝えられているというのが、本当に素敵で楽しいことです!

◆日本遺産 津和野今昔 〜百景図を歩く〜(→link

兵主源六さんとしては「ヤメて~」と叫びたかったことでしょう。

というか、主人公の兵主源六さんは落城後、ドコへ!?

 

普段は慎まやかに、祭りで大フィーバー?

盆踊り落城事件の兵主源六さんの消息は一切不明です。

果たしてどこに行って何をしていたのでしょう。

個人的に兵主源六さんは、現在もどの地域にもいる、お祭りに命を捧げるボランティア精神溢れるアツいおじさんをイメージしております。

ですので、落城後は農家や商人になってひっそりと暮らしつつ、お祭りの時には大パフォーマンス! そんな生活をしていたのではないでしょうか。

ぜひとも会いたい御方ですよね。

むろん当人に話などは聞けませんが、兵主源六さんが翻弄された亀井家主催の盆踊りは健在。

地元の夏祭りなどで披露されており、津和野町の津和野踊りは毎年8月に開催されているようです。

公式ホームページのYouTubeに踊り方が載っていましたので、一通り練習して、現地を訪れてみるのも一興かもしれません。

その時は「兵主源六さんを魅了してコンコノ城を攻め落とすのだ!」という気合いをお忘れなく。

それではまた、次回もご期待くださいませ!

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文:れきしクン(長谷川ヨシテル)

◆れきしクンって?

れきしクン(おんな城主直虎出演)

元お笑い芸人。解散後は歴史タレント・作家として数々の番組やイベントで活躍している。
作家名は長谷川ヨシテルとして柏書房やベストセラーズから書籍を販売中。

【著書一覧】
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