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【虎口と門】
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櫓門で24時間戦えますか
そして高麗門をさらに強固な門にした、戦国の門の最終形態が「櫓門(やぐらもん)」です。
文字通り門の上に櫓が付いていて、真下に向かって好きなように攻撃が可能です。
屋根付きの「櫓」ですから寝起きも可能。つまり24時間働けるという守備側にとっても大変ありがたい門なのです。
「ありがたいわけねえだろ! 後方で休ませろや!」という城兵の声が聞こえてきそうですね。
日本最古の建築書と言われる「愚子見記」には城の門を作る上でのコツが記されています。
門には扉の真下に「蹴放ち(けはなち)」と言われる横木が渡されますが、この「蹴放ち」を高くするのは避けるべきで、7寸以内にすべきと記されています。
怪我をした兵士をひきずりながら城内に収容できる配慮を施しています。
いやあ、何とも生々しい配慮!急に戦闘の匂いがしてきましたね!
「衛生兵!衛生兵~!」
「こいつはきびしいな」
「せめてモルヒネだけでも」
「貴重なモルヒネだぞ」
「頼む!これ以上苦しまずにしてやりたいんだ」
すみません。
つい戦争映画風な妄想を。モルヒネなんてないのに。
ということで、お城で門をくぐる時はぜひ、この「蹴放ち」に注目してみてください。寺社建築にはない、城兵の生死を分ける工夫を探してみて下さい。
最近では整備車両も通れるように段差そのものをなくして石畳みたいにしているところも多いですが。
さて、お次は櫓門へ。
戦国時代の武器は【左】の敵を狙いやすい
さて、櫓門まで来ました。
基本的なお話ですがお城の外に向かって櫓門がそびえ立つがというようなことはありません。
櫓門は外側に配置した高麗門をセットに枡形を形成。
「枡形虎口(ますがたこぐち)です。
櫓門の位置は虎口から城へ向かう内側の門で、ほとんどが高麗門と直角の位置、または少し横に位置をずらした正面に配置します。
また、城側(守備側)からみて必ずといっていいほど、高麗門は櫓門の左側に位置します。
これを「左前」と言います。
この位置にすると、守備側(城側)は侵入して来る攻城側に対して左側に向かって攻撃でき、一方攻城側は自分の右側に向かって攻撃しなければなりません。
戦国時代のあらゆる武器の特性上、左側が位置的に有利だとされているからです。
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