鳥取の渇え殺しと三木の干し殺し

黒田官兵衛と豊臣秀吉/wikipediaより引用

豊臣家 豊臣兄弟

秀吉と官兵衛の「鳥取の渇え殺し&三木の干し殺し」がエグい 人は飢えると◯肉も喰う

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Q 脳みそって食べられるの?

A. 人間も動物ですので、倫理観を置いておけば食べられます。

サメや肉食獣に食べられることもありますしね。

脳の組成は脂質60%、タンパク質40%ですので栄養源としては優秀です。

柔らかそうなイメージがありますが、どれくらいの硬さなのか?脳外科医に聞いてみました。

『玉子豆腐』だそうです。

これは食べやすそうですね。

味が美味しいかどうかは知りませんがサルの脳みそは一部の国で珍味とされており、その味は『白子』に似ているとのこと。

ただし、脳を食すことはプリオン病に感染する可能性もありますのでサルや羊でもあまりオススメいたしません。

 


Q 飢餓状態からイキナリ食べると死ぬって本当?

A. 実は死ぬ可能性があります。

鳥取城で吉川経家切腹を受け入れ、城兵・村民を許した秀吉は大釜で粥を炊いて振る舞いました。

飢えでフラフラになった者達は目の前の粥を貪り食い、急に食べ過ぎたため、せっかく生きながらえた者も多くが死んでしまったと伝わります。

実はこれ『リフィーディング症候群(refeeding syndrome)』のせいだと考えられます(feedは食物を与えるという意味であり、reがついて再び食物を与えるってことですね)。

慢性的な栄養不良状態が続いている人に対して、積極的な栄養補給を行うことで発症する一連の代謝合併症の総称でして、極度の低栄養状態の人にイキナリ栄養たっぷり与えてしまうと代謝的にマズイことがおこるんです。

一例を挙げますね。

飢餓が続くと身体はタンパク質と脂肪を分解してエネルギー源とします。

ついでに摂取不足により微量元素やミネラルも不足した状態となっています。

ここで大量の糖質やアミノ酸を摂取すると、糖を細胞内に取り込もうとして大量のインスリンが分泌されます。

結果、リンとカリウムとマグネシウムも細胞内に取り込まれ、元々低リン、低カリウム、低マグネシウムである状態に拍車がかかってしまいます。

この電解質の低下が時に致死的となるのです。

他にも、エネルギー産生に伴うビタミンB1やリンの不足、ナトリウム再吸収に伴う浮腫などで脳症や心不全を引き起こす可能性も考えられます。

臨床現場でも、栄養不足が長期続いた方には初期投与エネルギーを抑え、ビタミン、ミネラルの補給を優先しフィーディング症候群を起こさないように注意しております。

また、長期に絶食が続くと消化機能も弱くなっており、大量の飲食が消化管の負担となる可能性もあります。

前述した『玉子豆腐』の脳外科医の話ですが、高校時代に柔道をやっており計量のためかなり無茶な減量をしたことがあるそうです。

食物量を極端に絞り、さらに水分を絞るためカッパを着てランニング。

努力のかいあって見事計量をクリアした玉子豆腐氏はここぞとばかりにパンやらオニギリをどっさり食べたそうです。

そしてしばらくしたあと玉子豆腐氏はものすごい胃痛に襲われのたうちまわるハメとなりました。

本人曰く『胃がぎゅーっとなる感じが持続して激痛』だったそうです。

「まあ生きてるけどね」と笑っておりましたが、良い子は絶対真似しちゃダメだよ!

 


名将・吉川経家『わたし一人が御用にたって……』

あまりに悲惨すぎるエピソードのため、大河ドラマ軍師官兵衛でも見事にカットされた鳥取城攻めですが、こんな話が残っております。

経家から切腹の申し出を受けた秀吉は、その奮戦を讃え、

「腹を切るのは山名に仕えていた家老で良い。経家には帰還を赦す」

との旨を伝えました。

が、経家はこれを拒否します。

責任をとり自害する意思を変えませんでした。

吉川経家像 photo by 馬渕まり

そこで秀吉は、織田信長に許可を取った上で切腹を認めました。

首を受け取った秀吉は哀れな義士だと男泣きし、安土に送られた首は信長によって手厚く葬られたそうです。

自害に先立ち経家は遺言状を5通したため、そのうち3通が現存しております。

主君・吉川広家に宛てた手紙には、「毛利と織田の弓矢が激突する境目で死ねたことは末代までの名誉です」とあり、家臣への手紙には数ヶ月の苦労をねぎらう内容が書かれておりました。

そしてこの状況でも子供たちへの手紙は読みやすいように平仮名で書かれています。

鳥取のこと、夜昼で200日こらえました。

兵糧が尽きてしまったので、わたし一人が御用にたって、皆を助け吉川一門の名をあげます。

このしあわせな物語をお聞きくださいね。

つね家

さすが毛利。

清水宗治と言い、この吉川経家と言い。

秀吉でなくとも涙を誘われてしまいますね。


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文/馬渕まり(忍者とメガネをこよなく愛する歴女医)
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