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地震がなければ秀吉は家康を攻め滅ぼしていた?書評『天災から日本史を読み直す』

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伏見地震では秀吉も危うく

著書には【地震がなければこの2ヶ月後に秀吉は家康を攻め滅ぼす予定であった】と書いてあります。

徳川攻めの前線基地となる大垣城に兵糧を入れ、真田昌幸宛の書状では家康攻めを明言していたのです。

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しかし地震で大垣城は焼け落ち、秀吉の勢力圏であった近江・伊勢・美濃・尾張は震度5-6の揺れで大打撃。

一方、家康の領地である三河以東は震度4以下で殆ど被害がなかったため、秀吉が戦を諦める形になりました。

この一連の流れが、色々な史料を少しずつ引用して語ら、気がつけばグイッと本の世界の芯へと引き込まれていきます。

2つめの地震は文禄5年(1596年)の伏見地震です。

山城国伏見で起きた直下型地震で、完成間近の伏見城天守も倒壊し秀吉自身も死にかけました。

この時の死者は1000人以上とも言われ、城内だけで600余人が圧死したと言われます。

まんが戦国ブギウギ 慶長伏見地震で秀吉ガンギレ 方広寺の大仏なんて死んでまえ

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なぜこのように圧死者が多かったか?

その理由は「歴史背景+建築様式の推移」にありました。

詳細は本書をお読みになってご確認ください。唸らされますよ。

その他にも上杉景勝の正妻・菊姫(実は武田信玄の娘)が怪力を発揮して、建物出口の梁を支え女中を逃がした――という驚きのエピソードもあります。

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結果的に伏見地震は、豊臣政権を崩壊させる引き金となりますが、その話も引用を交え興味深く書かれております。

ちなみに6月18日に大阪でおこった地震の震源は、伏見地震を起こした【有馬―高槻断層帯】に近い場所だそうです。

 


津波時の川は「三途の川」と心得よ

2章以降も地震、噴火、土砂崩れ、高潮、台風、津波と様々な災害が出てきます。

そして殆どの章で、災害から得た教訓が書かれ、現代に活かす方法も提言されているのが素晴らしいです。

例えば、

【ため池が地震で決壊し、流れ出た水で下部にあるため池が連鎖的に決壊し家屋に被害が出た話】

から、現代のため池にも耐震診断が必要という意見はもっともだと膝を打ちました。

“津波時の川は「三途の川」と心得よ”

これなんて見た瞬間にハッ!とさせられる教訓ですよね。

河川を伝わる津波の速度は陸上の2~3倍。

何も準備がなければ逃げ切れないことは、東日本大震災で我々は映像を通じて体験しておりながら、おそらく今では警戒心も薄まっているのではないでしょうか。

普段から川を渡らずに高台へ逃げる経路の確認が大事だと感じました。

歴史パートでは第4章、災害が変えた幕末史も興味深いものでした。

佐賀藩が軍備を固めるきっかけになったのは台風だった……と、これ以上のネタバレは読書の楽しみを奪いますね。

最終章は東日本大震災からの教訓で結ばれております。

 


食料&水以外にお薬の備えも

さて、紹介した本とは全く関係ありませんが、医師である私が【災害時の薬】について院内広報誌に著した記事を紹介させて下さい。

【災害に備えましょう】

日本は地震や台風が多い国です。

近い将来、東海地震が起こる可能性も言われております。

大規模な災害があった場合、本格的な救助が開始されるまでに3日ほどみておく必要があります。その間をしのげる水、食料の備蓄は必須ですが、普段飲んでいる薬についても災害時への備えが必要です。

1週間分程度の薬を非常用袋に入れておくとともに、お薬手帳のコピーや薬剤情報の紙があると便利です。

スマートフォンで撮影をしておくのも良いでしょう。薬には使用期限がありますので数ヶ月で入れ替えて下さい。

特にインスリンは成分がタンパク質であり高温で変性してしまいますので『次に使うインスリン』を冷蔵庫から非常用袋やかばんに1本入れておきましょう。注射針も忘れずに用意して下さい。

糖尿病薬は災害時に食料が少ない場合、いつもと同じ量を使うと低血糖を起こす場合があります。災害時の薬について主治医に確認しておくことをお薦めいたします。

文/馬渕まり(忍者とメガネをこよなく愛する歴女医)
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◆拙著『戦後国診察室2』を皆様、何卒よろしくお願いします!

戦国診察室表紙

【参考】


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【参考】
磯田道史『天災から日本史を読みなおす 先人に学ぶ防災 (中公新書)』(→amazon
JICE(→link
zakzak(→link

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