西郷像の犬

幕末・維新

上野の西郷さんが連れている“犬”の正体は?死の直前まで愛犬家だった西郷

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上野西郷像の犬の正体
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銅像の犬のモデルは?

さて、冒頭でもあげた上野公園の西郷隆盛像。

こちらは当初、軍服姿で作ることになっていたそうです。

軍服姿の西郷隆盛/Wikipediaより引用

しかし彼は逆賊でもあるため、平服で犬を連れたあの姿に変更されました。

妻の糸が「うちの人はこげなお人じゃなか!」と言った言葉は、実際に似ていないのか、それともこんなだらしない格好ではないと言いたかったのか、と様々な解釈があります。

真相はどうなのでしょう。

モデルは、特定の犬ではないようです。

西郷の愛犬複数を混ぜ合わせたイメージであり、特にこの犬!という指定はありません。

犬種は薩摩犬で、西郷の愛した故郷の犬です。ツンという雌犬であるという説もありますが、銅像の犬は雄です。

現在はかなり少なくなり、絶滅説もあり、見た目としては、柴犬に近いようですね。

薩摩犬は小さめの犬種ですし、兎狩りに使う犬はそもそも大きいものは不向きだそうです。

そのリアリティを追及して小さめにしたところ、結構なクレームがありました。

「西郷さんを大きく見せたいから、犬をあまりに小さくし過ぎてではないのか?」

「日本の犬ではない、ポインターかセッターのような洋犬ではないか?」

そんな難癖もつけられましたが、銅像を製作した側としては、西郷とその犬をできるだけ忠実に作っているのです。

 


犬の綱と首輪もリアルに

ちなみにこの像は、よく見ると犬の綱と首輪もリアルに作り込まれています。

西郷の従弟である大山巌は、維新後に下野した西郷へ、犬の綱と首輪を贈っていました。

その大山が銅像製作に関わっていますので、綱と首輪の形状をアドバイスした可能性があります。

銅像は草履まで西郷のものを取り寄せて作ったそうですから、犬の綱と首輪も実物をモデルとしていてもおかしくはありません。

そこまでこだわって作られた像なのです。

幕末維新の荒波の中、時に人を騙し、あるいは自らが騙され、心痛に悩まされていた西郷。

そんなとき、つぶらな瞳で見上げてくる愛犬たちの姿は、心の癒やしであり、支えだったことでしょう。

もしも、上野の西郷隆盛像に犬がいなかったら?

物足りなくて味気ない。

やはりあの格好で犬を連れているからこそ、今なお西郷像は多くの人々に愛されているのではないでしょうか。


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文:小檜山青
※著者の関連noteはこちらから!(→link

【参考文献】
仁科邦男『犬たちの明治維新 ポチの誕生』(→amazon

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