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【大岡越前守忠相】
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大岡裁きは「白子屋お熊事件」だけ!?
忠相といえば、やはり「大岡裁き」ですよね。
ドラマでは色々な件に関わっていますが、実際に忠相が直接裁いたのは一件だけだと言われています。
「白子屋お熊事件」です。
白子屋という問屋の中で起きたドロドロ愛憎劇。
好きでもない人と結婚させられた女性お熊が、浮気相手に本気になってしまい、「旦那を殺せばハッピーになれるわ!」と思い込んで実行に移したというまるで昼メロのような話です。
しかも、姑さんが奥さんの味方だったというのがまたコワイ。
ここで嫁姑の争いになっておけば、この後の結果がまた変わっていたかもしれないと思うと……ブルブル。
この事件は多くの人を巻き込みます。
いいところの奥さんですから、自分でやらずに人に殺させようとしたんですね。
最初は出入りの医者に頼んで毒殺する予定だったのが失敗し、次に女中を使って刺殺させようとしたらまた失敗……二度も失敗したので、とうとう世間にバレてしまいました。
結局、主犯の奥さんは市中引き回しの上、獄門磔という最も厳しい罰(もちろん死刑)が与えられます。
その他、事件に関わった人も処罰を受け、誰も得をしない結果になってしまいました。
奉行たちの深イイ話を集約させたのかもしれない
他の事件については、そもそも忠相がいた時代と年代や場所が合わないものが多いのだとか。
子供の手を同時に引っ張って、離したほうが本物の母親だとした「実母継母の子争い」など、中国の話が伝えられたとされているものもあります。
なぜそれらが忠相の功績とされるようになったのか?
詳細は不明ですが、おそらく名もなき奉行の「良い仕事」を一人に集約させたのではないでしょうか。
歴史辞典の『国史大辞典』でも、
【彼の名を昔から有名にしている「大岡政談」は、政治家とはかくあれかしという庶民の願望が託された虚像であって、その話も忠相とほとんど関係ないが、彼が当時の法をできるだけ現実の姿に近づけようと努力したことは事実である】
と記しています。
大岡裁きには否定的でも、その人物は高く評価していたんですね。
つまり忠相は、日本の全国各所にいたのかもしれません。
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【参考】
国史大辞典
大岡忠相/wikipedia