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【御嶽山】
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○避難施設の不足
2つめの理由は、いざというときの避難施設が用意されていなかったことです。
「山の天気は変わりやすい」というのは常識ですから、御嶽山にも天候悪化の際に避難するための小屋はありました。
しかし、噴火を想定した作りではなかったので、2014年にはほとんど役に立たなかったのです。
山頂付近の山小屋では、経験豊富な支配人の方がおられ、逃げてきた登山客を誘導して助かった……ということもありましたが、それは本当に不幸中の幸い。
支配人の方が冷静かつ的確に行動したおかげで、他の方も落ち着いて下山することができたのだそうです。
そういう場所が他に一つでもあれば、戦後最悪といわれるほどの被害は出なかったでしょう。
○噴石の大きさ・火山灰の密度の高さ
後日の調査では
「火口から半径1km程度の場所では、最大50~60cmの噴石が最大時速350~720kmで降り注いだ」
という想定が出ています。
ちなみに、東海道新幹線の営業中の最高時速は約285kmで、旅客機のボーイング747の最高時速が1030kmだそうです。
身近なもので置き換えると「石製のダンボールが新幹線と飛行機を足して割ったようなスピードで降ってくる」感じでしょうか。
実際には、1立方メートルから軽トラック大にもなる噴石が存在したといいますから、もしこれが当たっていれば……。
避難施設があっても逃げ込めたかどうかはわかりませんし、ヘルメットを持っていたとしても同じことともいえます。
避難施設の拡充を進めてからの登山や観光地化
これらの状況を踏まえて、非常に気になるのがあります。
なぜ最初に水蒸気爆発が観測された1979年以降に避難施設を増やしたり、情報配信設備の拡充に努めなかったのか、ということです。
御嶽山の山頂付近は木が生えない「森林限界」であります。
身を隠す場所がほとんどありません。
逆に言えば、そういう場所だからこそ、いざというときのために避難施設を用意しなければならないはず。
むろん、死火山のままだと思われていたときでしたら仕方ありませんが、いったんは水蒸気爆発が起きている山で、避難施設等が十分に用意されずに登山許可が出たり、周辺の観光地化を進めたのは、やはりマズかったかもしれませんね。
むろん各地を訪れる観光客側が意識を改善しなければなりません。
同時に、関連機関も常に最悪のことを考えておけば、同様の被害を避けられる可能性は高まりますよね。
そういったことを改善して初めて、犠牲者の弔いも終わるのかもしれません。
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長月 七紀・記
【参考】
内閣府「平成26年御嶽山噴火に関する対応状況等」(→link)
御嶽山_(長野県)/wikipediaより引用