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【古代史22の秘密】
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第五部:大化の改新~壬申の乱
秘密⑮ 大化の改新の黒幕はずばりあの人!
古代史を知る上で『日本書紀』が最も重要な資料であることは疑いの余地はありません。
しかし、歴史は常に勝者の手で書かれ、敗者の姿を見つけるのが難しいのも事実。
645年【大化の改新】というクーデターも、ヒーロー中大兄皇子(天智天皇)と中臣(藤原)鎌足のペアが悪の蘇我氏を滅ぼすというストーリーで描かれています。
「それはちょっと都合がいいんじゃないの」と、戦後になって蘇我氏の名誉回復が行われました。
現在、出版されている古代史の入門書でもおおむね「藤原氏のほうが悪い。蘇我氏はえらい」というスタンスで書かれています。
しかし、それはもう古い!
すでに歴史研究は第二段階、つまり【大化の改新2.0】に入っています。
今、浮かび上がる真の黒幕とは?
事件で一番得をしたのは誰か?
中大兄皇子の叔父である孝徳天皇の可能性が高いのです。
秘密⑯ 藤原氏は茨城県出身!
それこそ昭和の太平洋戦争が終わるまで、藤原氏は日本の政界に大きな影響を及ぼしてきました。
およそ1400年もの間、貴族であり続けたわけです。
世界史的にも稀有な例と言えるでしょう。
その藤原氏の始祖は鎌足といわれています。
しかし、意外なことに、藤原氏は茨城県出身だったという学説が出され、有力視されています。
なぜ茨城出身だった藤原氏は中央に進出できたのか?
秘密⑰ 王家の紋章をもつなぞの巨大寺院
最近、新薬師寺の建物跡(金堂)が発掘され、東大寺の大仏殿と同規模だっというびっくりするニュースが飛び込んできました。
地中に深く眠る歴史のロマンはつきません。
日本一大きな塔も、地中から突然あらわれました。文献に「百済大寺」として記載される九重塔です。
百済大寺は、蘇我氏に対抗して皇室がつくった初めての寺院です。
場所も飛鳥ではなく、天皇家のふるさとともいえるイワレにつくられました。
皇室が作った百済大寺から出土した瓦の文様は、王家の紋章とよばれました。
発掘成果の結果、塔は25階建てビルに匹敵する巨大な建造物であることが判明。
皇室の威信がかかっていたにちがいありません。
秘密⑱ 暗殺された天皇はだれ? なぜ?
歴代天皇のなかで、暗殺された天皇が二人います。
誰かお答えできるでしょうか?
安康天皇と崇峻天皇ですね。
ちなみに暗殺側の首謀者として容疑がかかるのは、弟の雄略天皇と、妻の兄の蘇我馬子です。
秘密⑲ 古代の六本木ヒルズをぶち上げた蘇我氏
飛鳥寺は日本最古の仏教寺院といわれています。
蘇我氏は当時の最新技術を持った百済からやってきた人(渡来人)と密接に関わりがあり、彼ら協力のもと、最新技術を駆使して飛鳥寺を建立しました。
技術力の高さは、発掘成果によって証明されています。
本尊に鎮座されたまばゆいばかりの金堂像は、蘇我氏の権威の象徴でもあり、時の推古天皇や厩戸皇子(聖徳太子)に大きな影響を与えたことでしょう。
瓦葺の建物はそれまで全く存在せず、飛鳥寺が最初です。
古代人は、この「見たこともない」巨大な瓦葺の寺院を見て「蘇我氏恐るべし……」と感じたに違いありません。
東京の六本木ヒルズを見上げて感嘆する現代人の感覚に近いのではないでしょうか。
秘密⑳ 高松塚 キトラ古墳の被葬者はあの人
人物装飾壁画古墳として有名な飛鳥の高松塚古墳に眠るのは、左大臣・従一位までのぼりつめた一流貴族の石上麻呂(いそのかみまろ)である可能性が高い。
そして同じ装飾古墳、キトラ古墳の被葬者は、諸説ありますが、右大臣、従二位で没した阿倍御主人(あべのみうし)説が有力です。
ちなみに左大臣と右大臣では、左大臣のほうが上です。
いずれも「天皇」や「皇族」でもなく、有名人でも無いため、あまり浸透していません(涙)。
秘密㉑ 苦労の耐えなかった帝王・天武
壬申の乱を勝ち抜き、王位を簒奪した天武天皇。
「天皇」と名乗ったのも、天武がはじまりという説が有力です。
古代国家の礎である「律令」がつくられたのもこのときのことでした。
そのため、天武天皇こそが絶対的な天皇権力を打ち立て、専制国家を打ち立てたという学説が有力な学説となっています。
しかし、実はそうでもなかったという学説が出されました。
天武は豪族たちの強い反抗にあったとするのです。
万葉集に「神」と歌われたとされる天武天皇でしたが、真の帝王の姿はどちらが正しいのでしょうか。
おまけ 古代天皇のなぞ
秘密㉒ 皇室はどこまで過去をさかのぼれるのか
皇室は万世一系ともいわれます。
『古事記』や『日本書紀』などの歴史書には、神話の時代からはじまり、神武天皇を第1代とする系譜が続いているんですね。
しかし、神話の世界はもちろん史実とはいえません。
また神武から始まる天皇についても、実在を疑う学説が根強いのも事実です。
それでは、確実にさかのぼれる天皇はだれなのでしょうか。
歴史学的には、越(福井県)出身の継体天皇がこれまでの皇統を奪取した「始祖」と言われていますが、近年、埼玉県のさきたま古墳群で見つかった「金文字が刻まれた剣」の発見で、継体天皇もそれ以前の天皇と血でつながっているかもしれないといわれるようにもなっています。
恵美嘉樹・記
【参考】
恵美嘉樹『日本の神様と神社-神話と歴史の謎を解く (講談社プラスアルファ文庫)』(→amazon)