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【平貞文】
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「あの人も人間なんだから出すものは出す!」
後日そのことを咎めても、本院侍従は「急に陛下からのお召しがあったので」としか言いません。
振り回されてばかりの状態に堪忍袋の緒が切れたか、貞文は「こちらから振ってやろう」と考えました。
この考え自体が未練タラタラかつモテなさそうな感じですが、貞文は残念だけどイケメンなのでモテモテです。
そして、なぜか本院侍従の「◯便(※注)」を持ってくるよう、従者に命じました。
※注 当時はいったん樋箱(ひばこ・携帯トイレのこと)にしてから捨てていた
「あの美人も人間なんだから、出すものは出すだろう。それを見れば、百年の恋も冷めて諦められるに違いない!」と思ったわけです。……いや、ちょっと、他に手段はあるでしょうよ、と……。
しかし、従者がイヤイヤながらに「◯便」を持ってくると、何やら良い香りがします。
不思議に思って貞文が開けてみると、そこにはお香を練り固めたものが入っていました。
「してやられた!」とは思ったものの、これで貞文はますます本院侍従を諦められなかった……。
という話です。
個性が強すぎて絶句するほかないが……
上記の通り、物語に入っている話なので、まるごと創作の可能性はあります。
もし事実だとすれば、貞文の従者が本院侍従やその侍女にかくかくしかじかと話して、一計を案じただけだったかもしれませんね。
さすがに「◯便を持って来い」とまで考えることは予測できなかったでしょうし、本院侍従も「汚いものをわざわざ見せたくないわ。ちょっとからかってあげましょう」と思う……ハズ。
このエピソードが強烈過ぎて、平中といえば歌や史実よりもこの話が出て来る始末。
そういうことを予測できないから、本院侍従にもフラれているのかもしれませんね……。
貞文のご先祖様である桓武天皇には、在原業平の他にも嵯峨源氏や桓武平氏など多くの子孫がいます。
その中で、なぜ貞文だけがこれほど個性的な面だけを語られるようになったのか。
興味の尽きないところです。
貞文が「さだふん」なのも、もしかしてフンだけに……はしたなくてスミマセン。
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長月 七紀・記
【参考】
国史大辞典
目加田さくを『平仲物語―全訳注 (講談社学術文庫 427)』(→amazon)
平貞文/wikipedia
平中物語/wikipedia