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【関羽】
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義の人・関羽 やがて万能の神になる
関羽は物語で活躍するだけではなく、唐時代から神としても祀られていました。
ただ、この時点では三国時代の名将の一人という扱いで、張飛、張遼、周瑜らも同時に祀られています。
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それが彼だけ別格になるのは、前述の通り北方異民族の脅威にさらされた北宋以降です。ここでの関羽はあくまで武勇の神であり、なんとなく納得できます。
さらに時代がくだると、関羽は財神にグレードアップします。
彼の出身地・山西は、古来より塩の産地でした。塩は生活に欠かせないものであり、貴重なものです。山西地方は商人が多く、中国商業界において大きな力を持っていました。
彼らが地元の神様として崇拝した関羽は、商人に信仰される過程で、お金を儲けさせてくれる御利益がある「財神」に変貌していったのです。
しかも商人というのは移動しながら商売を広げてゆくものです。彼らが移動した先でも関羽信仰は根付きました。
さらに関羽には治水の効果もつきました。
これは明代、治水担当者が地元の関羽に祈りを捧げたところ、工事が成功したことがきっかけだとか。
武勇も商業も治水もカバー。
もはや彼は万能神へと進化を遂げるのです。
これだけ御利益があったら、誰だって信仰しますよね。
関羽はついに「文」の孔子と並ぶ「武」の神様となり、上は皇帝から下は庶民まで、多くの人々に敬愛される存在となったのでした。
世界に広がる「関帝廟」
時代がくだるにつれ、理想と御利益がグレードアップしていった関羽像。近代以降も、そんなものは迷信だと捨てられることもなく、関羽信仰は現代も存在します。
華人が海外に進出すると、その先には関羽が祀られる関帝廟が作られました。
関帝廟はただの信仰の場ではなく、コミュニティの共有財産を所有していました。商売に失敗した人や、親を失った子の学費として利用。
華人のたすけあいの象徴として、関帝廟は機能していたのです。
関羽信仰には、各地に積極的に進出し、かつその地に根を下ろし生きてゆく、そんな華人のネットワークが大きく関わっているわけですね。
日本にも横浜中華街をはじめ、多くの場所に関帝廟(→link)があります。関羽の一生や人々の信仰心を思いながら、参拝してみてはいかがでしょうか。
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文:小檜山青
※著者の関連noteはこちらから!(→link)
※『三國志14 TREASURE BOX』同梱のアートブックで全武将の紹介文を書かせていただきました(→amazon)(PS4版はこちら)
【参考】
渡邉義浩『関羽: 神になった「三国志」の英雄 (筑摩選書)』(→amazon)
横山光輝『三国志 (6) 玉璽の行くえ (希望コミックス (24))』(→amazon)