上杉鷹山/wikipediaより引用

週刊武春 江戸時代

上杉鷹山は江戸の改革王!巨額の赤字を立て直す渾身の経営術とは?

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上杉鷹山 吹雪の中、馬で颯爽と入城す

長丸は幼い頃から聡明で、慈悲深い性格であると評判でした。

そして明和6年(1769年)、鷹山が養子として米沢入りすることとなります(実父は九州の大名・秋月種美で、母方の祖父に米沢四代藩主・上杉綱憲がおりました)。

彼は藩主となった時点で大倹約令(大倹令)を発布。これを機に、藩主が率先して己の身を切る改革が始まるのです。

このとき鷹山、僅か17歳。

・年間の仕切料(衣服・食費・交際費等、藩主の生活にかかる費用)を1500両から209両に削減
・一汁一菜の徹底
・衣服は木綿のみとする
・奥女中は50名から9名に削減

まず、自身の周囲から改革案を掲げると、藩士たちにもピリッと緊張感が走ります。

今度の殿は本気らしい――。

家臣たちはそう期待しながら城で鷹山の登場を待ちます。

藩主は城の手前で馬に乗り換えるのですが、通例よりはるかに手前で駕籠から馬に乗り換え、吹雪の中、颯爽と入城しました。鷹山は寒い中働く駕籠かきを労ったのです。

藩主初入部祝いの膳は、赤飯と酒のみ。この質素倹約への徹底した取り組み、しおして気さくな態度で足軽にまで声を掛ける若き藩主を見て、家臣領民は感動したことでしょう。

しかも鷹山は、優しいだけではありません。鷹山の改革を苦々しく思う老臣たち七名が改革反対の強訴を行うと、果断にも処罰を行います(七家騒動)。若き藩主の改革に挑む心意気は、時に苛烈でもありました。

かくして反対派を排除した鷹山は、断固たる改革に取り組みます。鷹山は「籍田の礼」という中国の「天子親耕(君主自ら耕す)」制度にならったものです。鷹山は家臣たちを引き連れると、手足を泥に浸しながら田を耕しました。その姿を見て、まさに全米沢藩が泣くような感動の嵐が巻き起こります。
「もったいなくもお殿様が、脚を汚い泥に浸して耕すなんて……!」
かくして覚悟を見せ付けた鷹山は、本気で全力改革に乗り出します。

 

改革はまさにフルコース 産業振興から領民の指導まで

鷹山の改革はまさにフルコース。領民の指導から財政再建の産業振興まで、多岐に及びます。

「伝国の辞」をモットーに、鷹山は改革に取り組みます。

参勤交代費用の削減
・藩士の生活救済
・藩校「興譲館」の再興:現在もその流れを組む興譲館高校がある
・有能な人材の発掘と登用
・郷村教導:領民たちに道徳観念や農業技術を指導
・世襲代官廃止
・漆・桑・楮(コウゾ)栽培促進:領内で特産物を作る
・灌漑用水開発
殖産興業策の実施
・「備籾蔵(食料備蓄倉庫)」設置
・「かてもの」の刊行:重臣・莅戸善政の著作。救荒食ガイドブック。太平洋戦争時においても参照されたとか
・国産品奨励:現在で言うところの「地産地消」のような概念
・御用商人との関係改善
・戸籍の管理:耕作人口増加のねらい
・「農民伍什組合」の設置:農民のチームワーク強化に役立つ組織化
・勧農金貸し付けの促進
・「御報恩日備銭」制度:定められた休日に一家揃って内職を行い、それで得た収入を肝煎に納める
・風紀風俗の華美取り締まり

道のりは決して平坦ではありませんでした。飢饉、火災、世子の夭折。文政5年(1822)に72歳という高齢で亡くなるまで、鷹山は藩の立て直しに取り組みました。

質素倹約につとめ、思いやりにあふれる一方、改革を断固として行う果断も持ち合わせたまさに名君でした。そんな彼は米沢藩だけではなく、日本の歴史上でも屈指の仁君ではないでしょうか。

彼が没した時、藩の借財はあらかた返し終えていました。

 

会津と運命を共にして

しかし鷹山の死後、米沢藩では災害が相次ぎます。

鷹山時代に廃止された借上も再度復活し、藩士たちには内職をしながら食いつなぐ厳しい日々が待っていました。

そして迎えた幕末。米沢藩はかつて御家断絶の危機から救った保科正之を藩祖とする会津藩を見捨てることができず、奥羽列藩同盟に参加することになります。第12代藩主・斉憲は逆賊として維新を迎えました。

米沢藩の士族たちは、維新後もますます困窮します。

内職としていた機織りを本業とした者も多く、これが「米沢織」としてやがて全国に知られるようになります。

このように江戸時代、上は藩主・鷹山から、下は藩士や領民まで、倹約にいそしんだ米沢の人々。上杉鷹山の教えは今も受け継がれ、大切にされています。

最悪の財政難にも関わらず、自ら倹約を心がけ、仁政で立て直した鷹山の教えは、いつまでも古くなることはないでしょう。

上杉鷹山の名言として知られるこの言葉

文:小檜山青

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【参考文献】
『シリーズ藩物語 米沢藩』小野栄(現代書館)(→amazon link

 



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