喫煙者には厳しく、嫌煙者には嬉しい時代になりつつある昨今。
「電子タバコなら体に悪くない?」
なんて謳われていたかと思っていたら、WHO(世界保健機関)が「んなこたーない」という発表を出したりして、混沌としておりますね(AFP)。
そもそも人々はいつ頃からタバコを吸うようになったのか?
今回は『タバコの歴史』をテーマにお送りいたします。
なぜタバコを吸うと気分が良くなるのか?
煙草の原料はナス科の植物『タバコ』です。
葉に有毒で習慣性のある『ニコチン』を含み、喫煙程度の少量でも脳のアセチルコリン受容体に作用しドパミンじゅわわ〜にします。
ドパミンが出ると「快」な状態となるため、タバコを吸うと気分が良くなるのです。
しかし、ニコチン摂取を続けていくと身体が変化し「ニコチンいっぱいくるから、ニコチンがくっつくタイプのアセチルコリン受容体は少なくしちゃおう」となります。
こうなると普通の状態ではドパミン不足となり、イライラや不安が生じて「煙草吸いてぇよ!」なニコチン依存症に陥ってしまうのです。
このヤニ切れによるイライラを「ニコチン離脱症状」と言い、喫煙終了後30分からはじまり、だいたい1時間で喫煙欲求が増大。
症状のピークは3日以内なのでここを乗り切れば症状は徐々に良くなります。
タバコといいますとその弊害として肺ガンを真っ先に思い浮かべるでしょうが、発ガン性の有害物質はニコチンにあるのではなく、代謝産物に含まれております。
ただし、精神毒性はないので、煙草を吸っても切らしても「ピンクの豚さんが飛んでるぜ、グヘヘヘヘ」と錯乱したりはいたしません。
ヨーロッパに持ち込んだのはコロンブス
さて、ひとしきりJTに喧嘩を売ったところでタバコの歴史について見てみましょう。
原産は南米です。
この地域には紀元前より喫煙文化があったようで、マヤ文明の遺跡には煙草を吸う神様の浮き彫りが残っています。
当初は占いや儀式に用いられていましたが、時代が下るに従い嗜好品としてたしなまれ、1492年、コロンブスが新大陸に上陸した時、先住民の間では文化として完全に根付いておりました。
コロンブスは先住民のアラワク族から友好の証にタバコの葉を贈られたそうです。

コロンブス/Wikipediaより引用
ちなみに煙草に興味がなかったコロンブスはこれを捨ててしまった模様ですが、一部の乗組員がヨーロッパに持ち帰り、最初の頃は観賞用や薬用として栽培、そのうち嗜好品としての色合いを帯びてヨーロッパから世界へ広がっていきました。
この辺の流れは、以下の記事で触れた
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チョコレートの歴史と似ておりますね。
日本へは鉄砲(種子島)と一緒に伝来したとか
日本にタバコが伝来したのは戦国時代と言われています。
1543年鉄砲伝来のとき一緒に混ざっていたんだとか。
最古の記録となりますと、1601年にスペインの修道士が徳川家康へ献上したタバコの種と、タバコから作った薬となり、喫煙に関する記録は1609年のものだそうです。

徳川家康/wikipediaより引用
この頃の喫煙はキセルが主流でした。
そして煙草は、江戸時代初期に全国へ普及しましたが、当時は【非常に高価な薬品】として扱われ、喫煙できるのは金持ちの武士か商人ぐらい。
火事の原因となることや、傾奇者が「煙草吸う俺達って南蛮〜!」とシンボルにしたため、幕府は度々禁止令を出していたほどだと言います。
今も昔も不良と言えば煙草なんですねぇ。

こうして最初は禁止されていた煙草ですが、後に、幕府や藩の専売とすることで次第に許可されるようになり(結局、金だ!)、江戸中期には値下げもあって喫煙の習慣は庶民にも広がっていきます。
なんと、このころ既に「煙草は身体に悪いですよ」と指摘していた人もいたのです!
たとえば、養生訓で有名な『貝原益軒』もそうで、彼は煙草の毒性や病気の原因となりうること、習慣性についても書き残しています。
やはり名を残す方は鋭い観察眼をお持ちですね。
癌リスクが1.5倍に上昇 寿命は10年縮む
20世紀に入り、煙草が工場で安価に大量生産されるようになると喫煙人口は爆発的に増加。
それと共に様々な健康被害が指摘されるようになります。
1900年には喫煙による肺ガンの増加が指摘され、税金などの利権が色々絡むためなのか、紆余曲折を経ながら1960年代になってようやく、
「喫煙は、特に肺癌や心臓血管疾患に関して健康を脅かす」
という意見が主流となりました。
現在では、肺癌をはじめとする様々な癌のリスク上昇、動脈硬化による心血管疾患、肺機能の衰えによるCOPDの原因になるなど、多くの病気との関連が証明されています。
ざっくりですが煙草を吸う人は癌のリスクが1.5倍になり、寿命が10年縮みます。
10年というのは、テレビCMでもやっておりましたよね。

20世紀になると大量生産で急増の喫煙者/photo by d'n'c@flicker
政宗さんは規則正しく薬として吸っていたが
さて話がガラッと変わります。
伊達政宗の死因をご存知でしょうか?

伊達政宗/wikipediaより引用
食欲不振や嚥下(えんげ・食物を飲み込む)時のつっかえ感にはじまり、約2年で腹水が出現したことから、『食道癌とそれに伴う癌性腹膜炎』ではないかと考えられています。
実は政宗はかなりの健康マニアで、医者も顔負けの知識があったと言われております。
そのため、当時は薬ともされていた煙草を【起床後・昼・睡眠前】規則正しく3回吸っていたご様子。
これって健康に良かれと思ってやったことがまさしく裏目に出ちゃったのでは!?
ただ、当時としてはかなりご長寿な68歳まで生きておられましたので、政宗さんには煙草の健康被害はあまり関係なかったのかもしれませんね。
というか、薬として服用されてるっていうのが、なんとも…。
保険診療の『禁煙外来』がオススメです
喫煙は、ストレス解消などを考えれば、確かに良い一面もあります。
しかし、病気のリスクや経済負担を考慮するなら、できれば禁煙したほうがよいでしょう。
現在は条件を満たせば保険診療となる『禁煙外来』もありますので、自力でやめられない方は受診すればよいですし。
余談ですが「呼吸器専門医」は非喫煙者でなければ取れないという制約があります。
この点に関していえば「医者の不養生」ということは許されないんですね。
ちなみに私は「糖尿病専門医」です。
今のところ「お菓子を食べ過ぎる人は糖尿病専門医になれない」規約は無いのでダイジョブダイジョブ~♪
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【参考】
JT(→link)
タバコ/wikipedia
喫煙/wikipedia
すぐ禁煙/ファイザー
国立がん研究センター(→link)
ニコチン/wikipedia
ニコチン依存症/wikipedia
一般社団法人日本呼吸器学会(→link)






