鎌倉殿の13人感想あらすじ

大河『鎌倉殿の13人』見どころは?残酷な粛清の勝者・義時の悪辣描写が成否のカギ

明日2022年1月9日に始まる大河ドラマ『鎌倉殿の13人』は成功するのか? しないのか?

私は成功を確信しています。

何を持って成否を判断するのか?

その基準は人それぞれであり後述して参りますが、現状揃っている材料を見る限り失敗する要因は少ない。

ただし、さほど視聴率が高くなるとは思えず、

・好きな人はとことん語る

・けれども嫌いな人は視界の隅に入ることすら苦痛を感じる

そんなドラマになると予測しています。

では、どんな材料からどんな成功を収めると判断したのか。以下に説明させていただきます。

 


視聴率はどうなる?

テレビ環境の変化を踏まえると、視聴率はもう上向きにはなりえません。

10年前、20年前……その基準に戻ることはもうありえない。

日曜夜に一家揃って大河を見る時代は終わりました。家族旅行で大河の地を巡ることも少なくなりました。

もはや、どんな完璧な作品であろうと無理でしょう。

大河ドラマという枠の問題ではなく、テレビ業界が直面した生存競争の場面です。

コロナ禍以降、広告収入とは無縁のNHKが民放より有利な状況ではあります。そうはいっても業界全体が下り坂でどうにもならない。

NetflixやAmazonビデオを見始めたら映画や高レベルの海外ドラマが無数に転がっており、ニュースにしたってYouTubeなどの動画から簡単にチョイスできてしまう。

いったん離れた視聴者は、そう簡単に戻ってきませんし、さらに流れていく可能性のほうが高いでしょう。

テレビの衰退から現実逃避するような報道もありますが、冷静に再考することも重要です。

視聴率は前作の影響もあります。

残念ながら最終盤に数字を落としていました。

大河の視聴率は西高東低の傾向がありますが、前作は西日本が低かった珍しい年であり、最終回では関西と北部九州で2桁を割っています。

SNS受けや俳優のファン層を狙いすぎた結果、大河のレギュラー視聴者層が抜け落ちた蓋然性は残念ながら高い。

この影響が出るとすれば『鎌倉殿の13人』ははじめから逆風に直面する可能性があるのです。

 


ネット評価は?

大河ドラマに対する評価の抜け道として、SNSの声があります。

2012年『平清盛』において、ハッシュタグつきのファンアートを奉納したことが契機でしょう。

公式でも取り上げられ、2010年代の大河ドラマとハッシュタグ、ファンアートは切り離せないものとなりました。

◆”盛絵”を描いたマンガ家の方々より大河ドラマ『平清盛』へのメッセージが到着!(→link

ただし、メリットのあとにデメリットも判明しました。

SNSは【エコーチェンバー】現象の温床になり、ファンの数が実数よりも大きく見える【ノイジーマイノリティ】であることが判明しつつあるのです。

大河放映後のウェブメディアでは「SNSでは」「ネットの声」といった文言のニュースが大量に放出されます。

ネットで拾った投稿を繋げれば、簡単かつPVの稼げる仕組みがある。

検索エンジンやSNSはユーザーの嗜好にあわせて表示結果を調整するため、ネットで感想漁りをすればするほど自分にとって都合のいい記事ばかりが目に入ります。

そして、その結果が実態と乖離すると証明されたのが、2019年と2021年大河でした。

2019年は「最低だけど最高」という決まり文句が登場、そう叫んだところで苦戦は隠せませんでした。

2021年はドラマ名物であり、ネット上では大ウケであった徳川家康による解説コーナーが、実は視聴率低下に大きな役割を果たしていたと解析された。

ネットの声を過剰に増幅させるトレンドは、2010年代に置いた方がよさそうです。

2020年代は別の基準で成功を考えねばなりません。

 


ファンダムでの評価は?

【大河クラスタ】といった言葉をご存知でしょうか?

文字通り、大河ドラマファンを指すもので、とりわけネットを用いて感想を投稿する集団とされていて、当然ながらネット評価と連動性が高い。

ただ、こうしたファンダム、こと歴史が長いものは弊害も現れています。

自分たちが気に入らない展開等があると集中的に叩き、製作者や出演者にまで害を及ぼすような現象です。

◆『スター・ウォーズ』新作、なぜ「ゲーム・オブ・スローンズ」脚本家は降板したのか ─ ジェダイの起源を描く予定も、「有毒ファン」のバッシング危惧か(→link

近年の大河でこの弊害を痛感したのが、『麒麟がくる』における執拗な駒叩きでした。

有害ファンダムは、女性やマイノリティをターゲットにする傾向が強く、『スター・ウォーズ』ではローズ・ティコ役への誹謗中傷が深刻な問題となっています。

差別と親和性が高く危険なのです。

大河クラスタ内には、女性脚本家や主人公を「女大河」「スイーツ大河」と批判する傾向があります。

純粋な日本人以外が大河に出るべきではないという人種差別を目にしたこともあります。

そして、叩いてもよいと思った標的を執拗に狙う――それもまた有毒ファンダムの問題点です。

海外ではすでに有毒ファンダム対策が取られるようになってきました。日本にも同様の流れが波及するでしょう。

では、何をもって高評価とするのか?

実はこれについて再考の必要性を考えています。

視聴率という基準はもはや古く、海外では視聴者数や視聴時間によって統計を取っています。日本もじきにそうなるのではないでしょうか?

NHKは、NHKプラスを導入しているからには、本来そちらに移行すべきです。

ただし、そうすると他局との比較が難しくなる。

そんな過渡期であるからには『真田丸』の真田昌幸にならってこう叫ぶしかないのです。

「わしの本心か……ではハッキリ言おう……まったくわからん!」

 

これから起こることを予測し備える

もちろん、わかることもあります。

宣伝記事や持ち上げ記事は他メディアからも数多く出るでしょうから、私は、本作がどんな叩き(否定的論調)に直面するか?をまず考察してみたいと思います。

・女優叩き

女優同士が反発している。女優が別の女優を嫉妬する。女優のせいで視聴率が伸びない。

そんな記事はいつの時代も出るものですが、こうした内容というのは読み手の願望ありきです。

「やっぱり女同士はドロドロしていて欲しいよな〜」

というやつですね。

特に年齢層が高い男性向け媒体では確実にやります。PVを稼げるなら何でも書く。

ただし、時代は変わりました。最近は反論手段もあります。

◆もう泣き寝入りはしない…タレント本人の反論で変わる芸能マスコミのあり方(→link

次は放送内容について、ありそうな叩きがこれです。

・残酷描写やイケメン不足で女性が引いている

実はこれも女性叩きの変種ですね。

「やっぱり女性視聴者は残虐な場面にドン引きして欲しいよな〜」という願望です。

大河は毎年美男美女が揃っているから全くもって、取り合う必要はありません。

それでも強調するなら、ただの言いがかりでしょう。『鎌倉殿の13人』には実に魅力的な美男美女が勢揃いしています。

・小栗旬さんを叩く

本作が不出来と評価された場合、バッシングにあう筆頭俳優は小栗さんでしょう。主演の宿命ですから仕方ありません。

ただし彼は、主演に選ばれた時点で実力十分であり、言いがかりのような理不尽な理由を疑った方がよい。

例えば序盤でしたら、こう叩かれるでしょう。

脇役に食われている。

オーラが足りない。

地味。

違う役者の方がカリスマがある。

しかし、こうしたことを言われたとすれば、北条義時という役を掴んでる証拠なので、全く心配はいりません。

義時は二男として生まれ、燦々と輝く太陽のような兄を支えるべく生きてきた。

それなのに、運命の不思議によって巨大化してゆく。

はなから強烈な存在感を放っていたら、それはそれで解釈違いとなってしまいます。

いま発表されている範囲では、むしろ義時は普通の兄ちゃんに見える。気のいい青年に見える。

それが年末になる頃には、全ての清濁を併せ呑む魔の淵のような、そんな目を持つ怪物になっている!ことを期待しています。

想像するだけでゾクゾクしませんか?

・大泉洋さんを叩く

紅白歌合戦司会の低視聴率といった要素と絡めて叩かれるリスクがありましょう。

もしも彼が大物二世であればこうはならない。

なまじ親しみの持てるキャラだけにマウンティングを取りやすいからこそ叩かれやすくなる。

しかし実力のない俳優を、三谷さんが二度も大河に抜擢するでしょうか?

大泉洋さんは魅力的です。どう言われても取り合う必要はありません。

・小池栄子さんを叩く

元々はセクシータレントだったという過去があるだけに、そうした角度から、不愉快な偏見をぶつけられる可能性はあります。

しかし彼女の智勇を見抜けぬ相手は放置でよい。

小池栄子さんだから北条政子をこなせる。そう見越した上での配役でしょう。何の心配もないどころか、期待しかありません。

・前作と比較して貶める、背後の騒動をフックにして叩く

前作が好きすぎると、後釜を叩く。

逆に熱烈な前作アンチは次の作品を褒める。

ありがちなファン心理です。それは自分の分析かと言われると困惑するので、本作への期待感は後述するとしまして。

過去作品とは切り分けないといけませんよね。

何か騒動があると、それを絡めた叩きも増えます。その方面で本作は穏やかな作品になることを願わずにはいられません。

◆ 三谷幸喜さん「スネに傷持ってる方 オファー断って!」“呪われた大河”もう御免…異例の訴え(→link

・展開の複雑さゆえに叩かれる

源平合戦から鎌倉時代にかけて描かれる本作は、戦国や幕末と比較して馴染みの薄い題材です。

「源平合戦」を「治承・寿永の乱」と置き換えたら、それだけで拒否反応も強くなるのでは?

登場人物も少なくなく、内容を理解できない視聴者も当然出てくるでしょう。

理解ができないと魅力は伝わりにくくなる。

燻製がわからなければ、秋田名物いぶりがっこも、ただの臭い沢庵漬けになってしまう。

でも、それを認めたくないがゆえに叩く!

ネットの発達はこうした風潮を助長しました。同じ傾向を持つ同士が連帯すると、それが事実として流布してしまいます。

本作は不利な要素が揃っていますし、本作の制作陣は噛み砕いて甘っちょろくするつもりはないのでしょう。

時代考証担当者のかなりしっかりした解説があります。

公式サイトでここまで気合いを入れた文章を掲載するということは、ついていけない者は仕方ないと割り切る、そんな覚悟を感じさせます。

・三谷さんに人徳がありすぎて、叩かれる

人徳のせいで叩かれるってどういうこと?

三谷さんはなまじ人がいいから、怖いと思われないでしょう。

彼はまぎれもなく秀才であり、堅実だからこそ、本作は起用してきた。三度目の大河で、ここぞというときに起用される。

大御所の雰囲気を出してもよいところですし、出したいという気持ちも感じなくはありません。

大物扱いされればそれに比例して実力が伸びるわけでもないけれども、叩きは減ります。

俺を叩いたらただでは済まんぞ!

そういう雰囲気を出してもよいけれども、なまじ人が良いだけにそうできなかったのか。

脚本家を過剰にキャラクターにしてしまう風潮になじんでしまったのか。

その辺の機微は私が理解できるわけもありませんが、彼はいまだに過小評価されているのではないかと感じてしまいます。

知名度はさておき、実力からして、脚本にツッコミようがない。そんなことをすれば墓穴を掘る。そんな存在が三谷さんです。

それなのに気安いキャラのため叩かれてしまう。

諸葛孔明の罠かもしれないのになぁ。

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