鎌倉殿の13人感想あらすじ

鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー第1回「大いなる小競り合い」

2022/01/10

馬が野を駆けている。

馬にまたがる青年の背中には、鮮やかな色をした布。

矢が射たれる中、青年は背に向かって声を掛けます。

「姫、振り落とされないように気をつけて!」

いったい青年はどこへ向かうのか?

一年間、その様が描かれます。

 


頼朝と八重が父の留守の間に

安元元年(1175年)、帝の警護をする大番役を終え、北条時政が3年ぶりに帰ってきました。

酒を飲み交わす武士。働く女たち。政子が張り切って客をもてなしています。

時政は悩んでいます。土産に金をかけすぎているらしい。義時はもっと買えばよかったというけれども、時政はお人よしなんですね。一人一個あげたいらしい。義時はそれが気前が良すぎると呆れている。

北条時政
なぜ北条時政は権力欲と牧の方に溺れてしまった?最後は子供達に見限られ

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政子は父のファッションにダメ出しだ。京都の垢抜けた衣装を見せろ、と着替えをさせる。

三浦義澄と義村父子に土産を渡しています。

この息子の義村が賢い。土産の数が足りないと先回りして、一つでよいと言う。

ただ、こういう賢さって、不気味なんですよね。お土産を辞退するようなときなら無害ですけど、何か利害や生死がかかった緊迫した場面なら足元をすくわれかねない。

宴が苦手だと義時が抜け出したところで、その義村が早速不気味な賢さを見せてきます。

三浦義村イメージイラスト
殺伐とした鎌倉を生き延びた三浦義村|義時の従兄弟は冷徹に一族を率いた

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義時に、伊東の八重姫のことを話し始めました。

父の伊東祐親が京都に三年間いた留守中に、源頼朝との間に子供をもうけていたのです。

平家方の伊東祐親は激怒し、頼朝を殺そうとしますが、頼朝は直前に逃走していた。

義村の狡猾さが、この時点でわかりますね。

義時が八重に惚れていたことを義村は知っていたし、頼朝がカードとして面白いと踏まえている。その上で義時の反応を興味津々で見守っている。

で、案の定、義時が「八重さんかわいそう」というと「そっちかよ!」と突っ込むんですね。

義時と八重が最後に会ったのはいつか?と義村が確認します。三年前の宴だと義時が答えると、案外その頃からできていたんじゃないかと言ってきます。

 


坂東武者らしからぬ知恵者・三浦義村

義村は坂東武者の中でも頭ひとつ抜けて賢い。

以下のような状況によく表れています。

・義村がベラベラ喋り出した時、時政はわからないから説明しろと言っていた

自分と同程度の理解力を相手が持っている前提で話を進める人物は説明不足になりがち。

義村自身が思うよりも三倍くらい丁寧にしないと、周りにはなかなか通じない。しかも割と一方的に喋りますからね。

・義村は会話をしながら相手の動きを見ている

会話はキャッチボールと言いますが、義村はそれを露骨にやらかす。

八重のことをチクチク言いながら、義時がどう反応するかによって、相手の器を測っている。

この義村、本人はどう思うかわかりませんが、友達が少ないタイプでしょう。

そういったすべてを含めて山本耕史さんが適役に見えてなりません。

山本さんは、そこにいるだけで賢く見える。三谷さん大河三度目(前回は真田丸の石田三成)で、また一回り賢さに磨きがかかってきました。

三谷さんは鍛錬を怠らない方なので、個性の出し方に磨きをかけているのでしょう。

 

俺のことが好きかと思っていたのに

源頼朝が、おとなしく読経をする姿が見えます。

平家のライバルで源氏の嫡流。父は清盛との【平治の乱】に敗れて亡くなった源義朝です。

平清盛の戦う姿が回想され、頼朝が流人になった経緯が説明されますが、その厄介な頼朝の監視役を任されたのが伊東祐親でした。

清盛に目をかけられて伊豆で一番の力を持つようになった祐親。

三浦義澄(佐藤B作さん)と北条時政は、その娘を娶っているのです。

三浦義澄
三浦義澄(義村の父)は頼朝の挙兵を支えた鎌倉幕府の重鎮

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そんなドロドロした政治事情はさておき、義時は失恋中。しかも初恋の相手が子まで作ってる。

鶯の声を背景に、手慰みに小刀で何かを削っております。俺のことが好きかと思っていたのに……悲しい勘違いだなぁ……。

でも、それこそ京都の人からすれば「どんだけ野蛮人なのよ!」という話かもしれません。

扇子で顔を隠すこともなく、若い男女が顔を見せ合って食事だなんて! 京都からすれば野蛮の極み。

ここで坂東武者の素朴な宴が繰り広げられます。亀と鶴がめでたいと能天気に歌い踊る。

『麒麟がくる』を思い出すと、戦国武士は文明を知っていたのだと思えます。彼らには、連歌会で暗殺を狙うくらいの風雅があった。

一方、坂東武者は、そもそも歌を詠む意味がわからないと思う。

素朴な場面ですが、なかなか手間暇かかってますよ。当時の歌や踊りを再現するのも大変。今年はその辺を手抜きしませんね。

そこへ兄の宗時がやってきます。弟を慰めるのかと思ったら、佐殿こと頼朝のことを聞いてきます。なんでそんな傷口に塩を塗り込むようなことを!

「ああ、あの流人……」

かったるそうにそう語る弟に、兄が明るく説明をします。13歳の折に右兵衛権佐に任じられたから「佐殿」と呼ばれているそうです。

格が違う、というけれど、実際どういう役目か理解できていないあたりが素朴ですね。

なんだかこの兄上、めちゃくちゃめんどくさそうなタイプですね。何かが間違った『鬼滅の刃』の炎柱・煉獄杏寿郎系だ。

兄の暑苦しさに対し、耳には入っていると返す弟。すると、弟も手を貸してくれると早合点する、間違った熱血兄貴……。なんでもこの兄上は平家が嫌いで、源氏につきたいそうです。

そんな兄の暴走に弟が「そもそもその佐殿が行方知らずだ」と返すと、この館にいると返す兄。

「ここにですか!」

そりゃ驚くわ。

 


佐殿の力で平家をぶっ潰す!

頼朝は変わらず読経中です。

信心深いということもあるのですが、名目上は「流人として読経三昧します」となっているのでアリバイ要素もあるかもしれません。

宗時は弟と頼朝を引き合わせると言い出す。

なにも、こんな人が集まる日に匿わんでも……と戸惑う義時。

しかも頼朝のことを父にも言っていなかったらしい兄。

なんだろう……事前に確認してから行動する三浦義村がものすごく賢く思えてきた。確認する重要性を知る義時も賢く思えてくる。

しょっぱなから勢いだけで突っ走りすぎなんだってば! 嗚呼、坂東武者が怖い……。

だいたい兄上のアンチ平家の理由も、いまいちわからないし、もう、これを、どうしろと!

頼朝の従者である安達盛長が取りつぎ、いよいよ頼朝に義時が紹介されます。

「お邪魔しております」

そう頼朝が言うだけで、文明の香りを感じますよね。坂東武者ではこうはいかなそうな。この香りにコロリとまいった宗時は、弟も手足になって源氏再興に努めると言い出します。

「かたじけない」

必ずや八重と若君を連れてくると言い出す宗時。

話がおかしなことになっていると義時がこのあと言うのに、さして気にもとめていない宗時。

話を聞かない兄は、平氏が我が世の春を謳歌していることに苛立ちをみせます。

人の所領から馬や女を奪い!

甘い汁を吸う!

こうなったら佐殿の力で平家をぶっ潰す!

そう言い出す宗時。

いや、そこは話し合いでどうにかしようよ。法律はないのかな? そう突っ込みたくなるけれども、仕方ないのです。当時の坂東武者はこうなのだから。

ここで『真田丸』でも出てきた鉄火起請でも思い出しましょう。

鉄火起請湯起請
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焼けた鉄の棒を握って神にお伺いを立てる――あんな野蛮なことで物事を解決しなくてもいいと思うのは、現代人の発想です。

坂東武者みたいに「ええい、ともかく殺るか殺られるか!」となるより、よほどマシでしょう。

坂東武者の言動から、人類の進歩を感じて欲しい。そう思いたい一年になりそうですね。

 

政子、恋に落ちる

兄の熱血平氏滅ぼす宣言についていけない弟。

しかもその兄は、その後の対応を弟に投げ、自分の用件のために去ってゆく。

頼朝に食事を差し入れしろというのです。

そこで義時は、姉の北条政子に頼みに行きました。

忙しそうな政子は、離れに食事を届けろと弟に頼まれ、露骨に面倒くさがる。そこで妹・実衣に頼むのですが、妹はスルリと逃げ出し姉を苛立たせるのでした。

宴会場では、伊東祐親に恨みを持つ、工藤祐経という薄汚れた男が来ていました。

北条時政がその話を聞くことに。

政子は頼朝に食事を届け、ハッとして振り向きます。

「なにか?」

「あの、ひょっとして」

「はい」

「佐殿でいらっしゃいますよね」

「いかにも」

政子はうっとりとして、馬に乗っているのを見かけたことがあると言います。花がほころぶような笑みを浮かべる政子。

「お口にあうとよいのですが……」

恋に落ちた瞬間です。頼朝もそれを察知したのでしょうか。

「名を何と申す?」

大根汁だと答える政子に、こう来ました。

「そなたの名前じゃ」

政子はキラキラと輝く瞳で北条時政の娘、政子だと名乗ります。

「政子殿、ありがたくいただきます」

そう口をつける頼朝。

こいつは許されんぞ!

大泉洋さんが頼朝という時点で、おそろしいことをするとは思った。これが若い国宝級イケメンだったら、ここまで腹は立たないと思う。

この頼朝は、坂東武者からすればトンデモナイものを持ち込んできている。坂東武者なんて素朴で思い付かないような手練手管で、娘を籠絡してゆく。

けしからん男ですよ! こんなの政子なんてコロリですよ、コロリ!

政子は案の定、やってきた時と戻る時は変わってて。振り返ってニッコリと微笑みます。恋をした娘だというオーラがビシビシと伝わってきます。

 

すごい髭だな 和田義盛

義時は、知能派の義村にこっそり相談。

北条の館に頼朝がいることを伝えます。

「佐殿が立ち上がれば平家はひっくり返るのか?」

この義時と義村コンビがもう、なんとなく輪郭が見えてきたと言いますか。

義時は漢高祖・劉邦タイプで、自分自身の知略はそこまででもない。でも、自分に判断できないとなれば、軍師タイプにすぐ相談する。ゆえに強いのでしょう。

一方の義村タイプは「あいつムカつくし気持ち悪いんだよな」となってしまい、友達が少なくなりがち。

ゆえに義時みたいな人望ある奴とコンビを組んだ方が構想が通るから楽なんですよね。

軍師タイプの義村は「無理だ!」とキッパリ言い切ります。

源氏は散り散り。流人だから官位も召し上げられている。匿っているとバレたら彼らの爺様こと伊東祐親が黙っていない。とにかく内密にするしかないわけです。

でも、義村は本作屈指の知性の持ち主。腹の底ではどうなのか?

時政はちょっとかったるそうに、運の悪い工藤佑経の愚痴を聞いています。

伊東祐親から伊東家嫡男の座を奪われ、追い出され、所領も奪われ、妻と別れた気の毒な男。土産を渡しつつ、追い払いたいような時政。なんだかボリボリ体をかいていて不潔ですもんねえ。

そしてまた坂東武者がやって来ています。

「よぅ!」

和田義盛です。すごい髭だ。

今年は近年の大河でも稀に見る立派な髭ドラマになりますね。人類がこうも髭を伸ばす機会も減ったことですし、大事にしたい。

髭も先天性の要素が大きいものですし、薄くしか生えないと悲しかったり、色々あったそうなんですね。

そんなワイルドな義盛の横には、まだ話が通じそうな畠山重忠がおります。

義盛は話が通じないし、理屈も無茶苦茶な猪突猛進型。ともかく平家を坂東から追い払うと息巻いています。

義時が疲れた顔で何がそんなに不満かというと、相手は「何を言っているんだこいつは」と言い出す。いや、そっちこそ何を言っているの?

義時は「結構穏やかに過ごせている」と言うけれども、義盛からすれば、自分の知っている平家方はみんな威張っていて嫌な奴ららしい。

「もう決めたことだ!」

そう締めくくる義盛。こんな坂東武者を束ねるだけでも凄まじいことかもしれない……。

とりあえず父上に話を通すと義時が言い出すと、年寄りは放っておくと言い出します。

そもそも、なぜこんなめんどくさい猪武者が来たのか?と思ったら、兄の宗時が呼び寄せていました。

遠いところからわざわざご足労だとおさめられる助っ人コンビ。兄上がもう何か間違った暴走をしていて迷惑にもほどがありますね。

 

祐親が時政に「頼朝を見つけたら教えろ!」

帰り道の義村が、父の義澄に「北条の館に頼朝がいる」とそっと打ち明けます。

時政からそんなことは聞いていないと驚く義澄。どうやら宗時が勝手にやっていると知り、焦っています。

これは祐親に伝えなければならないと思うものの、そうなったら頼朝を匿った北条が一大事!

しかし義村は「いい手があります」という。

義村は賢い。これは彼自身が賢いからか、周囲がわけわからんから相対的に輝いているのか? 両方ありそうではあります。言動ひとつひとつが賢い。

とりあえず会話が成立するだけで知性を感じる世界観ですからね。

政子は恋に落ちています。

ふんふんと鼻歌まじりで髪を梳かし、実衣が食膳を運ぼうとすると自分がやると言い出す。妹としては姉の心変わりをいぶかしみ、そっと姉と頼朝のいる部屋を覗きます。

「どうぞ、お口がさっばりします」

そう膳を差し出す政子。なまめかしい仕草で「これは何ですか?」という相手を焦らしています。

食いついたな……頼朝はそう思っていそう。

田舎の娘なんて歌を詠むわけでもないし、ましてや『源氏物語』も『長恨歌』も知らんし。楽勝だぜ!

そう心の中で思っていても不思議はない。ゲーム感覚で女を射止めることを喜んでいそうだ。

けしからん話ですよ、まったくもってけしからん頼朝だ!

実衣はそんな男女のやりとりを、しらけきった顔でのぞいているのでした。

頼朝は腹が立つ野郎だ。伊東の館では、子連れの八重が彼を待っているのに、政子とこうなっている。

宗時は力づくでも、頼朝と妻子再会をさせるつもりですが、彼は気合が空回りするタイプというか、計画がずさんなので、義時にぶん投げてきます。困惑しかない弟。

実衣は匿われている男が頼朝と見破ったうえで、雅な人が好きな姉だけにぞっこんだと見抜きます。

思いもよらなかったことだけれども、宗時は、政子と頼朝を推したい。一方で義時は「勘弁してください」と疲れています。わかるわ。もうわけがわからないよー。

そしてついに、爺様こと伊東祐親がやってきます。

事態がどんどん不味くなってきた。

義時は「シラミがついてますぅ〜」などといい、父の時政と頼朝が鉢合わせることを阻害しています。

そんな時政と顔をあわせた祐親は、開口一番言い放ちます。

「頼朝だけは許さない! 見つかったら一旦受け入れすぐ知らせろ!」

それを告げにだけ来たと言い、領内をしらみ潰しに探し出すと息巻いております。

娘が犯罪者との間に子を為していたら、そりゃあ頭にくるのが当然ですし、自分の権力も平家の後ろ盾あってのものですから、そりゃ怒りしかないですよね。

伊東祐親
伊豆の武士・伊東祐親が孫(頼朝の子)を殺害|平家と頼朝に挟まれた苦悩

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さて、肝心の頼朝は……。

 

坂東武者と比べて雅すぎる頼朝

政子は実衣と一緒に蹴鞠をしています。そこへ頼朝が通りがかると、愛嬌をたっぷり浮かべで誘っています。

妹は追い払われ、政子は頼朝の蹴鞠の技にウットリ。

「すごぉい!」

これぞ黄色い声というやつ。

それにしても、この二人の力関係が面白い。

頼朝としては田舎娘を転がせたつもりかもしれないけれども、政子も相当に強い。だんだんと、頼朝だって、この魅力にズブズブと沈んでいっているんじゃないかと思えます。

その心情の変化が、義時との会話でわかります。

「政子殿はあの歳でまだ嫁に行ってはおらぬようだが、何かわけでもあるのか?」

義時もその危うさを察知したのか。身内の悪口だと断りつつ、性格が至ってきつくて賢くないと返します。

「あれだけの美しさが勿体無いのう」

義時は化粧映えがするだけだと即座に返す。素顔は見られたものではないと。

「この者は私のことをよほど用心しておられるようだ」

そう面白がる頼朝。けしからん頼朝だ……祐親の気持ちもわかるなあ。いちいちいやらしい、あーっ、いやらしい、けしからん!

ここでサラサラと手紙を書き、伊東の館に届けるように言います。

いや、でも、この筆を握る手ひとつとっても、美しいんですよね。

筆の持ち方も、動かし方も、ほんとうに綺麗で。最近の大河では墨でなく油性のインクを使っているような、不自然な小道具があった。

そういうことは繰り返さず、書道家が綺麗な字を描いております。それが当然ですけれども、その当然がこんなにも素晴らしいのだと痛感させられます。

こういう筆跡ひとつとっても、頼朝は坂東武者からみれば無茶苦茶綺麗なんでしょうね。雅だわ。

大泉洋さんも所作が綺麗で、かつ他者との違いがある。動きが忙しくないと言いますか、雅です。他の人がカラスや鷹だとすると、彼はまるで鶴のよう。

綺麗です。総合的に見ると、この頼朝は実に綺麗なんです、そこがいやらしくて、けしからんのです!

 

激怒した時政は本人に会って態度をコロリ

義時が手紙を預かり困惑しています。

兄はまだ父に頼朝のことを伝えていない。ビジネスの基本【ほうれんそう(報告・連絡・相談)】が大事だとわかる大河だ。

しかも父は、我が子たちを前にして、伊東祐親の仲立ちで嫁を取ると言いだしおった。

牧宗親殿の妹・りくだそうです。

牧家は由緒正しい家柄だってさ。大番役の間に一目惚れ! 嫁入り支度を整えてからくるそうです。

妻を亡くしてから即座に三人目だか、四人目だかの新妻を娶ると。

宗時は歓迎ムードですが、他の子たちはちょっと呆れている。しかも若いってよ。

「若いんだ!」

新妻が若いと浮かれる北条時政の見苦しさが、もう、たまらんものがある。宗時が父にもう一花咲かせてくれというと、

「咲かせたいと思います」

とニヤケながら言うあたり、本当に色々と駄目だ。正月と三島明神の祭りがいっぺんに来たとホクホク顔。

こう浮かれているときこそ頼朝隠しの一件を打ち明けるべきだとなり、ようやく明かされると……。

「馬鹿野郎! なんてことしてくれたんだ!」

野良犬拾ってくるみたいに匿ってんじゃねえよ! と激怒すると、宗時はそれでも坂東武者が平家の世の中をひっくり返すと言い出す。

「こいつは本気なのか?」

「そのようで」

父と二男(義時)は困惑しています。

熱血長男は構わず、今のままで良いのか?平家に近いというだけでのさばっていいのか?と憤慨。長男は平将門のように刃向かうべきだという。

片岡愛之助さんがここまでネジが吹っ飛んだ人を演じるなんて、素晴らしい発見、もうわけがわからんぞ!

しかし平将門を出された時政も

「最後は首チョンパじゃねえか!」

と反論。まぁ、おかしな話ですしね。

というか時政も情けない奴だなぁ。息子くらい、有無をいわせず押さえつけるくらいの威厳はないものか? と思ってしまいますが、この先のことを踏まえると、この時政像で正解かもしれません。

ハァ〜、正月と三島明神の祭りに、弔いまでセットになってきやがったと嘆いています。しかし……。

いざ頼朝に会った時政は、単純なもので好印象を持ってしまいます。

礼儀って大事ですよね。

ワイルドな人にありがちですが「礼儀作法なんて無意味じゃん」と思いがち。

しかし、ちょっと態度や何かを変えるだけで相手がコロッとなることもあるのでとてもバカにできない。生存競争の中で意味あるものは残ってきているんですよね。

なんせ頼朝に会った帰り道で、時政はこんな調子でした。

「割といい奴だったな!」

源氏の嫡流となると言葉に重みがある。三日だけなら匿うと折れます。三日は短い。それでも一歩進みました……ちょっと待って!

宗時って勢いだけで何かするけど、無計画すぎやしませんか?

 

伊東邸で祐親に凄まれ見抜かれる義時

このあと、夜の庭を歩いて合唱する頼朝が映ります。

確かに気品がある。そもそも生まれは貴公子です。時政も、そんな父に雅に惹かれる政子も、頼朝に魅了されるのは当然のことでしょう。

義時は伊東の館に行きますが、伊東祐清は別の用事で頭がいっぱいだそうです。

結局、義時が八重に会いにいくこととなりました。

八重の隣には幼い千鶴丸。遊んでくるように促すと、八重は、頼朝が息災であるかを尋ね、すぐに支度を整えて会いに行くと言い出します。

しかし、馬もなければ輿もないと返信するしかない義時。手紙には会いたいとあるのにそれはおかしいと八重は困惑します。

坂東の人は、女性も婉曲表現が通じにくいようですね。

いつになったら会えるのかと訴える八重に、義時はわからないと返すしかない。

義時の初恋の人として設定された八重です。けれども義時は恋心は横に置いているような冷静さがある。

義時には、周囲に振り回されているようで、実は器が大きいと思える予兆がそこら中にある。不思議な人物です。

自ら積極的に輝くわけではないけれど、周囲と比較すると、彼の持つ力がうっすらと輝いて見えてくるような。

八重は、かつて義時が紫陽花を渡してくれた話をはじめました。紫陽花を美しいと言ったから、渡してくれた義時。十年前のことを覚えていてくれたのかと驚く義時。

八重はこう言います。

「でも私は野に咲く花が好きなのです。摘んだ花は死んだ花じゃ」

死んだ花になるくらいなら……そんな不吉さも感じさせる言葉です。

そんな八重の息子・千鶴丸は、家人の善児と川遊びをしています。

義時は伊東祐親に、父の嫁取りのことで伺いたいことがあると切り出しました。祐親はスラスラと、後妻・りく(牧の方)のことを話します。

相手の夫は前の夫を病で亡くした出戻り。彼女の美しさは京都でも指折り。顔にある痣は逆に色香となっている。都の大路で見かけて一目でぞっこん。仲立ちしてやった。

これですっきりしたと納得する義時に、祐親はこう凄みます。

「本当のわけを話せ」

「どういうことでしょうか?」

「親父のことは口実だ」

嫁の顔に痣があると言ったとき、どんな痣か聞き返さなかった。関心がない証だ!

そう問われ、義時はこう返します。

「どんな痣ですか」

「痣などないわ! 何を探りにきた? 八重か?」

返事がなによりの返事。祐親は頼朝が北条の館にいたのかと見抜きます。

義時は爺様の取り越し苦労だと言うものの、今すぐ頼朝を引き渡せと凄む祐親。力づくで取り戻すと言い切ります。

この祐親と性格、理論の組み立て方が似ているのは孫の義村です。

義村はどう考えても父には似ていない。母経由で流れている祖父の血が最も出ている孫なのではないでしょうか。

 

豹変する頼朝「祐親を殺せ!!!」

善児と千鶴丸が川遊びをしている場面のあと、義時は伊東の兵が向かってくると父に告げます。

そして千鶴丸は殺された、と。

このままでは戦になる! ならば受けてたつまで!

頼朝の存在がここまで事態を悪化させましたが、本人は政子と楽しそうに双六をしている。

義時はあの人といるとろくなことにならないと姉に告げるものの、政子はキッパリと立派な方だと反論。

千鶴丸殺害のことを聞かされた頼朝は「あの子は人懐こいから、誰にでもすぐ着いていった。仕方あるまい。それがあれの運命であった」そう淡々と語っています。

義時は困惑します。八重殿のことがあったのに、うちの姉と楽しげに双六に興じている。

「双六はいかんらしい」

そう皮肉る頼朝。そんな皮肉や婉曲表現は通じない坂東です。

義時は、兄は突っ走る性分だけれども自分は違うと頼朝に伝えます。北条を守るためにも、勢いでは動けない。

本当に兵をあげるつもりか? 平家の世をひっくり返すつもりなのか?

そう訴えます。

頼朝は淡々と運命論を語る。

今まで何度も死を目の前にしてきたけれど、その度になぜか生き延びた。天は必ず私を生かしてくれる。何故そうするのかわからぬ。まだこの世に為すべきことがあるのだろう。

「私に言えるのはそれだけだ。立つか立たぬか、わしにもわからぬわ」

そう淡々と語り、あまり感情の動きを見せなかった頼朝ですが……。

義時がいなくなると、途端に表情を激変させます。

「祐親を殺せ!!!」

伊東祐親、決して許さぬ! そう檄を飛ばしています。

頼朝は賢い。思ったことを全部喋ったり、行動に移す連中とは違う。そこが得体が知れないと思われてしまうのかもしれないけれど、彼は聡明です。

北条義時は、今はまだ真っ白いようなあの青年は、隣にいる誰かから何かを吸い取って巨大化してゆくのかもしれない。

この頼朝のもつ二面性を生かす術を、これから義時が身につけるのだとすれば? 面白くなってきました!

 

坂東武者に理屈は通じぬ!

伊東祐親らが北条館に到着します。

弓を引いて手応えを確かめる坂東武者の横顔が映り、ハッと息を呑んでしまった。こういう坂東武者が動くところがずっと見たかった気がする。

「来おったか!」

そう張り切る宗時。

彼が迎え撃つ一方、義時は頼朝を逃すこととなります。

時政も腹をくくると、岳父である祐親と話し合いをしそうで、実際は「いないものは引き渡せない!」とあっさり決裂しております。

身内で争ってどうする!

そんな正論、通じません。

義時は、政子が用意した女装束を着て、女装した頼朝を後ろに乗せ逃げることに。これが今週で最も技術的に難しい場面のはず。

まず馬に乗る。しかも駆けている。複数いる。

馬上騎射。これは相当難しい。

しかも馬防柵を飛び越える場面まである!

今年の大河は映像が圧倒的に美麗です。

カメラも一番いいのを使っているだろうし、馬の躍動感まで見せてくるようになっている。NHKが今有する最高の技術を惜しむことなく出し切った感がある。初回でこれはいい!

技術的におかしい場面はありません。それが当たり前かというと、そうでもない。ダメな大河は初回の時点で技術エラーがあるんですよね。今年は期待できますね。

この馬のあと、ざっと今後の人物が紹介されます。

生々しい顔を見せつつ、日宋貿易に励む平清盛。中国史関連考証もしっかりしていそうで、安心感があります。

巴御前と撃ち合う木曾義仲。

奥州で藤原秀衡に匿われている源義経。

平清盛との蜜月が終わりつつある、後白河法皇。

この国のうねりが高まり、国のかたちが根本から変えてしまう。そんな未曾有の戦乱が目の前に迫っている――そうどこか不思議な語りの声が入り、今回は終わります。

 

MVP:源頼朝

個人的なことを語って申し訳ありませんが、私は思えば小学生の頃、児童向け『義経記』を読んでからというもの源頼朝が大嫌いでした。

陰険で、義経を追い詰めて殺した憎たらしい奴! そういう思いがどうしても拭えません。

そんなアンチ頼朝歴に自信がある私の目から見ると、今回の頼朝は今まで見た中で最も腹立たしい、最低最悪の頼朝でした。

もうどこかに沈めたいと思うほどで、義時が苛立つ気持ちも、祐親の気持ちも理解できるんですよね。

でも、政子や宗時の気持ちもわかる。

どうということのない川に、白鷺が降り立っていると、景色そのものが変わってしまったように思える。そういう圧倒的な気品があった。

これは確かに頼りたくなる。すがりたくなる。そういう魅力があった。

脚本も演出も演技も、そういう気品が出ています。

座っている姿だけでハッとするほど美しいのは、何かがきっとあるからだろうと。

認めるのは悔しいけど、これは最良最高の頼朝かもしれない。素敵です。

 

北条義時が現時点で只者ではない

なかなかMVPになれそうにない、巻き込まれ方の義時ですが、あれも恐ろしい存在でして。

彼は吸収してしまうのでしょう。

繰り返しますが劉邦タイプ、東洋的な英雄です。

西洋の英雄といえば、典型例としてナポレオンがいます。

押しが強くてなんでも俺がやってしまう。そういうカリスマ型。西洋列強と向き合う中、東洋はそういうナポレオンみたいな英雄がいない自国にがっかりしました。

俺たちの讃えていた英雄ってよかったの?

そこで槍玉にあがった典型例が、劉邦ではなく劉備や『水滸伝』の宋江あたりなんですね。

彼らは自らぐいぐい推すというよりは潤滑剤タイプ。苦手分野はその分野が得意な人に任せて、相手の力を引き出す。

実力者を繋ぎ止めるだけで本人は動かない。

いいからお前も動かんかい!

ナポレオンあたりに憧れたかつての東洋人はそうイライラしたわけですけれども、でも、こういう潤滑剤タイプって、実は有用じゃありませんか?

万能の人物なんていない以上、真ん中に立ってポテンシャルを引き出すタイプってとても大事ではありませんか?

そういう片鱗が、義時は出てきています。

前半部はそんな繋ぎ役は頼朝が務めるのでしょうけれども、振り回されつつ、義時がそのやり方を学んでいるとすれば?

小栗旬さんはこの義時役にピッタリとはまっていると思えます。

オロオロと振り回される気のいいお兄ちゃんのようで、何かを常に吸い取っている。

兄・宗時は欠点も多いように思えるわけですが、あの猪突猛進力は学ぶべきだと無意識下で思っているかもしれない。

こういう受身型の英雄ってとてつもなく難しい。

だからこそ今まであまり注目されなかったのかもしれないけれど、実は今こそ必要かもしれない。

私はもう、北条義時に興味津々です。

 

残虐コメディタッチの是非

本作はコメディタッチにすると明言され、かつ三谷さんの脚本なので不安視されてもいます。

でも、これもNHKの配慮だとすれば?

今週はワイワイガチャガチャしているようで、千鶴丸が水死させられているわけです。もしもそこを重く描いていたら、月曜日が辛くなるわけでして。

それに残酷をコメディタッチで描くのって、実は一番ひどいことではないかと思います。

三谷さんが意識しなかったわけではないというか、1990年代に一世を風靡し、今は大御所扱いといえばタランティーノがおります。

彼の作風の特徴は、残酷な描写をコメディタッチにしたこと。

間違ってチンピラを自動車内で射殺したら掃除が大変だぜ、参ったなあ! そういうノリが斬新でした。

昼飯をうどんにするか、ラーメンにするか。どっちにする?

その程度の気安さで、始末した死体を海に捨てるか、山に埋めるか考える。そういう軽い残虐さが斬新とされたのです。

そこを踏まえると、そんなもんタランティーノ流なんてむしろ定番だということになってもおかしくはない。確かに大河でとなると、斬新かもしれないけれど。

そしてこのタッチが、坂東武者に適用されることに対して、私は圧倒的な信頼感があるんですね。

だいだいこのドラマと同時代のイングランドで、トマス・ベケットという聖職者がヘンリー2世の王命により暗殺されました。しかもカンタベリー大聖堂で。

理由も手段も野蛮な事件です。

しかも、当時の技術ゆえ仕方ないのでしょうが、暗殺場面を描いた絵が牧歌的でシュールなのです。

トマス・ベケットの暗殺/wikipediaより引用

勝手な思い込みではあるかもしれないけれど、12世紀の残虐性ってこういう明るさがあるのではないでしょうか。

もっと時代が降れば反省なり命の重みを感じるかもしれないけど、当時は「まあ死んじゃったし!」くらいのノリだったのかもしれないと。

このドラマの明るく生き生きとした殺しあいは、そんな思いに応えてくれるものです。

坂東武者と比較すれば、戦国武士は文明を知っている。それは人類進歩の証なのだ。

そう熱く主張したくなるドラマです。

 

頼朝と政子の恋が時代を作る

田舎娘を手玉に取ってやったぜ!

そう言いたげな頼朝が、政子という牝の魔獣に絡みとられるような構図がすごいと思いました。

三谷さんには土下座しないといけないと、私は反省することしきりです。こんなに色気がある脚本を書く方だったんですね。

頼朝と政子の関係性は、ともかく面白いし艶っぽい。雅さがあるから田舎娘なんてすぐさま手玉に取れると思っているようで、深みにはまる。

そんな頼朝が滑稽なような、哀れなような。

頼朝の大泉洋さん、ハッとするほど綺麗です。卑劣なくらいに美しい瞬間がある。これは田舎娘なんてイチコロです。

大泉さんが頼朝を演じてくれたことに感謝しかないというか。すごいことになりました。

政子役の小池栄子さん。女優は美貌が大事です。ゆえに花のような美貌の持ち主はいくらでもいる。

けれども、今年の干支つながりであげますが、虎のような美貌を持つ女優はそうそういない。

『麒麟がくる』の染谷将太さんで書いた記憶があるのですが、役者にも虎のような美しさを持つ人がいます。

檻の中にいて寝転がるところを見る分にはいいけど、檻の外に出ていたら逃げるしかない。

そういう、日本史版のサーセイ・ラニスター(『ゲーム・オブ・スローンズ』)が誕生したことを祝いたいと思います。

こんな恋が時代を作るなんて、だから歴史は面白い!


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【参考】
鎌倉殿の13人/公式サイト

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武者震之助

2015年の大河ドラマ『花燃ゆ』以来、毎年レビューを担当。大河ドラマにとっての魏徴(ぎちょう)たらんと自認しているが、そう思うのは本人だけである。

-鎌倉殿の13人感想あらすじ

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