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【鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー第1回「大いなる小競り合い」】
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激怒した時政は本人に会って態度をコロリ
義時が手紙を預かり困惑しています。
兄はまだ父に頼朝のことを伝えていない。ビジネスの基本【ほうれんそう(報告・連絡・相談)】が大事だとわかる大河だ。
しかも父は、我が子たちを前にして、伊東祐親の仲立ちで嫁を取ると言いだしおった。
牧宗親殿の妹・りくだそうです。
牧家は由緒正しい家柄だってさ。大番役の間に一目惚れ! 嫁入り支度を整えてからくるそうです。
妻を亡くしてから即座に三人目だか、四人目だかの新妻を娶ると。
宗時は歓迎ムードですが、他の子たちはちょっと呆れている。しかも若いってよ。
「若いんだ!」
新妻が若いと浮かれる北条時政の見苦しさが、もう、たまらんものがある。宗時が父にもう一花咲かせてくれというと、
「咲かせたいと思います」
とニヤケながら言うあたり、本当に色々と駄目だ。正月と三島明神の祭りがいっぺんに来たとホクホク顔。
こう浮かれているときこそ頼朝隠しの一件を打ち明けるべきだとなり、ようやく明かされると……。
「馬鹿野郎! なんてことしてくれたんだ!」
野良犬拾ってくるみたいに匿ってんじゃねえよ! と激怒すると、宗時はそれでも坂東武者が平家の世の中をひっくり返すと言い出す。
「こいつは本気なのか?」
「そのようで」
父と二男(義時)は困惑しています。
熱血長男は構わず、今のままで良いのか?平家に近いというだけでのさばっていいのか?と憤慨。長男は平将門のように刃向かうべきだという。
片岡愛之助さんがここまでネジが吹っ飛んだ人を演じるなんて、素晴らしい発見、もうわけがわからんぞ!
しかし平将門を出された時政も
「最後は首チョンパじゃねえか!」
と反論。まぁ、おかしな話ですしね。
というか時政も情けない奴だなぁ。息子くらい、有無をいわせず押さえつけるくらいの威厳はないものか? と思ってしまいますが、この先のことを踏まえると、この時政像で正解かもしれません。
ハァ〜、正月と三島明神の祭りに、弔いまでセットになってきやがったと嘆いています。しかし……。
いざ頼朝に会った時政は、単純なもので好印象を持ってしまいます。
礼儀って大事ですよね。
ワイルドな人にありがちですが「礼儀作法なんて無意味じゃん」と思いがち。
しかし、ちょっと態度や何かを変えるだけで相手がコロッとなることもあるのでとてもバカにできない。生存競争の中で意味あるものは残ってきているんですよね。
なんせ頼朝に会った帰り道で、時政はこんな調子でした。
「割といい奴だったな!」
源氏の嫡流となると言葉に重みがある。三日だけなら匿うと折れます。三日は短い。それでも一歩進みました……ちょっと待って!
宗時って勢いだけで何かするけど、無計画すぎやしませんか?
伊東邸で祐親に凄まれ見抜かれる義時
このあと、夜の庭を歩いて合唱する頼朝が映ります。
確かに気品がある。そもそも生まれは貴公子です。時政も、そんな父に雅に惹かれる政子も、頼朝に魅了されるのは当然のことでしょう。
義時は伊東の館に行きますが、伊東祐清は別の用事で頭がいっぱいだそうです。
結局、義時が八重に会いにいくこととなりました。
八重の隣には幼い千鶴丸。遊んでくるように促すと、八重は、頼朝が息災であるかを尋ね、すぐに支度を整えて会いに行くと言い出します。
しかし、馬もなければ輿もないと返信するしかない義時。手紙には会いたいとあるのにそれはおかしいと八重は困惑します。
坂東の人は、女性も婉曲表現が通じにくいようですね。
いつになったら会えるのかと訴える八重に、義時はわからないと返すしかない。
義時の初恋の人として設定された八重です。けれども義時は恋心は横に置いているような冷静さがある。
義時には、周囲に振り回されているようで、実は器が大きいと思える予兆がそこら中にある。不思議な人物です。
自ら積極的に輝くわけではないけれど、周囲と比較すると、彼の持つ力がうっすらと輝いて見えてくるような。
八重は、かつて義時が紫陽花を渡してくれた話をはじめました。紫陽花を美しいと言ったから、渡してくれた義時。十年前のことを覚えていてくれたのかと驚く義時。
八重はこう言います。
「でも私は野に咲く花が好きなのです。摘んだ花は死んだ花じゃ」
死んだ花になるくらいなら……そんな不吉さも感じさせる言葉です。
そんな八重の息子・千鶴丸は、家人の善児と川遊びをしています。
義時は伊東祐親に、父の嫁取りのことで伺いたいことがあると切り出しました。祐親はスラスラと、後妻・りく(牧の方)のことを話します。
相手の夫は前の夫を病で亡くした出戻り。彼女の美しさは京都でも指折り。顔にある痣は逆に色香となっている。都の大路で見かけて一目でぞっこん。仲立ちしてやった。
これですっきりしたと納得する義時に、祐親はこう凄みます。
「本当のわけを話せ」
「どういうことでしょうか?」
「親父のことは口実だ」
嫁の顔に痣があると言ったとき、どんな痣か聞き返さなかった。関心がない証だ!
そう問われ、義時はこう返します。
「どんな痣ですか」
「痣などないわ! 何を探りにきた? 八重か?」
返事がなによりの返事。祐親は頼朝が北条の館にいたのかと見抜きます。
義時は爺様の取り越し苦労だと言うものの、今すぐ頼朝を引き渡せと凄む祐親。力づくで取り戻すと言い切ります。
この祐親と性格、理論の組み立て方が似ているのは孫の義村です。
義村はどう考えても父には似ていない。母経由で流れている祖父の血が最も出ている孫なのではないでしょうか。
豹変する頼朝「祐親を殺せ!!!」
善児と千鶴丸が川遊びをしている場面のあと、義時は伊東の兵が向かってくると父に告げます。
そして千鶴丸は殺された、と。
このままでは戦になる! ならば受けてたつまで!
頼朝の存在がここまで事態を悪化させましたが、本人は政子と楽しそうに双六をしている。
義時はあの人といるとろくなことにならないと姉に告げるものの、政子はキッパリと立派な方だと反論。
千鶴丸殺害のことを聞かされた頼朝は「あの子は人懐こいから、誰にでもすぐ着いていった。仕方あるまい。それがあれの運命であった」そう淡々と語っています。
義時は困惑します。八重殿のことがあったのに、うちの姉と楽しげに双六に興じている。
「双六はいかんらしい」
そう皮肉る頼朝。そんな皮肉や婉曲表現は通じない坂東です。
義時は、兄は突っ走る性分だけれども自分は違うと頼朝に伝えます。北条を守るためにも、勢いでは動けない。
本当に兵をあげるつもりか? 平家の世をひっくり返すつもりなのか?
そう訴えます。
頼朝は淡々と運命論を語る。
今まで何度も死を目の前にしてきたけれど、その度になぜか生き延びた。天は必ず私を生かしてくれる。何故そうするのかわからぬ。まだこの世に為すべきことがあるのだろう。
「私に言えるのはそれだけだ。立つか立たぬか、わしにもわからぬわ」
そう淡々と語り、あまり感情の動きを見せなかった頼朝ですが……。
義時がいなくなると、途端に表情を激変させます。
「祐親を殺せ!!!」
伊東祐親、決して許さぬ! そう檄を飛ばしています。
頼朝は賢い。思ったことを全部喋ったり、行動に移す連中とは違う。そこが得体が知れないと思われてしまうのかもしれないけれど、彼は聡明です。
北条義時は、今はまだ真っ白いようなあの青年は、隣にいる誰かから何かを吸い取って巨大化してゆくのかもしれない。
この頼朝のもつ二面性を生かす術を、これから義時が身につけるのだとすれば? 面白くなってきました!
坂東武者に理屈は通じぬ!
伊東祐親らが北条館に到着します。
弓を引いて手応えを確かめる坂東武者の横顔が映り、ハッと息を呑んでしまった。こういう坂東武者が動くところがずっと見たかった気がする。
「来おったか!」
そう張り切る宗時。
彼が迎え撃つ一方、義時は頼朝を逃すこととなります。
時政も腹をくくると、岳父である祐親と話し合いをしそうで、実際は「いないものは引き渡せない!」とあっさり決裂しております。
身内で争ってどうする!
そんな正論、通じません。
義時は、政子が用意した女装束を着て、女装した頼朝を後ろに乗せ逃げることに。これが今週で最も技術的に難しい場面のはず。
まず馬に乗る。しかも駆けている。複数いる。
馬上騎射。これは相当難しい。
しかも馬防柵を飛び越える場面まである!
今年の大河は映像が圧倒的に美麗です。
カメラも一番いいのを使っているだろうし、馬の躍動感まで見せてくるようになっている。NHKが今有する最高の技術を惜しむことなく出し切った感がある。初回でこれはいい!
技術的におかしい場面はありません。それが当たり前かというと、そうでもない。ダメな大河は初回の時点で技術エラーがあるんですよね。今年は期待できますね。
この馬のあと、ざっと今後の人物が紹介されます。
生々しい顔を見せつつ、日宋貿易に励む平清盛。中国史関連考証もしっかりしていそうで、安心感があります。
平清盛との蜜月が終わりつつある、後白河法皇。
この国のうねりが高まり、国のかたちが根本から変えてしまう。そんな未曾有の戦乱が目の前に迫っている――そうどこか不思議な語りの声が入り、今回は終わります。
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