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【鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー第1回「大いなる小競り合い」】
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政子、恋に落ちる
兄の熱血平氏滅ぼす宣言についていけない弟。
しかもその兄は、その後の対応を弟に投げ、自分の用件のために去ってゆく。
頼朝に食事を差し入れしろというのです。
そこで義時は、姉の北条政子に頼みに行きました。
忙しそうな政子は、離れに食事を届けろと弟に頼まれ、露骨に面倒くさがる。そこで妹・実衣に頼むのですが、妹はスルリと逃げ出し姉を苛立たせるのでした。
宴会場では、伊東祐親に恨みを持つ、工藤祐経という薄汚れた男が来ていました。
北条時政がその話を聞くことに。
政子は頼朝に食事を届け、ハッとして振り向きます。
「なにか?」
「あの、ひょっとして」
「はい」
「佐殿でいらっしゃいますよね」
「いかにも」
政子はうっとりとして、馬に乗っているのを見かけたことがあると言います。花がほころぶような笑みを浮かべる政子。
「お口にあうとよいのですが……」
恋に落ちた瞬間です。頼朝もそれを察知したのでしょうか。
「名を何と申す?」
大根汁だと答える政子に、こう来ました。
「そなたの名前じゃ」
政子はキラキラと輝く瞳で北条時政の娘、政子だと名乗ります。
「政子殿、ありがたくいただきます」
そう口をつける頼朝。
こいつは許されんぞ!
大泉洋さんが頼朝という時点で、おそろしいことをするとは思った。これが若い国宝級イケメンだったら、ここまで腹は立たないと思う。
この頼朝は、坂東武者からすればトンデモナイものを持ち込んできている。坂東武者なんて素朴で思い付かないような手練手管で、娘を籠絡してゆく。
けしからん男ですよ! こんなの政子なんてコロリですよ、コロリ!
政子は案の定、やってきた時と戻る時は変わってて。振り返ってニッコリと微笑みます。恋をした娘だというオーラがビシビシと伝わってきます。
北条政子はどうやって鎌倉幕府を支えたのか 尼将軍69年の生涯と実力を振り返る
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すごい髭だな 和田義盛
義時は、知能派の義村にこっそり相談。
北条の館に頼朝がいることを伝えます。
「佐殿が立ち上がれば平家はひっくり返るのか?」
この義時と義村コンビがもう、なんとなく輪郭が見えてきたと言いますか。
義時は漢高祖・劉邦タイプで、自分自身の知略はそこまででもない。でも、自分に判断できないとなれば、軍師タイプにすぐ相談する。ゆえに強いのでしょう。
一方の義村タイプは「あいつムカつくし気持ち悪いんだよな」となってしまい、友達が少なくなりがち。
ゆえに義時みたいな人望ある奴とコンビを組んだ方が構想が通るから楽なんですよね。
軍師タイプの義村は「無理だ!」とキッパリ言い切ります。
源氏は散り散り。流人だから官位も召し上げられている。匿っているとバレたら彼らの爺様こと伊東祐親が黙っていない。とにかく内密にするしかないわけです。
でも、義村は本作屈指の知性の持ち主。腹の底ではどうなのか?
時政はちょっとかったるそうに、運の悪い工藤佑経の愚痴を聞いています。
伊東祐親から伊東家嫡男の座を奪われ、追い出され、所領も奪われ、妻と別れた気の毒な男。土産を渡しつつ、追い払いたいような時政。なんだかボリボリ体をかいていて不潔ですもんねえ。
そしてまた坂東武者がやって来ています。
「よぅ!」
和田義盛です。すごい髭だ。
今年は近年の大河でも稀に見る立派な髭ドラマになりますね。人類がこうも髭を伸ばす機会も減ったことですし、大事にしたい。
髭も先天性の要素が大きいものですし、薄くしか生えないと悲しかったり、色々あったそうなんですね。
そんなワイルドな義盛の横には、まだ話が通じそうな畠山重忠がおります。
義盛は話が通じないし、理屈も無茶苦茶な猪突猛進型。ともかく平家を坂東から追い払うと息巻いています。
義時が疲れた顔で何がそんなに不満かというと、相手は「何を言っているんだこいつは」と言い出す。いや、そっちこそ何を言っているの?
義時は「結構穏やかに過ごせている」と言うけれども、義盛からすれば、自分の知っている平家方はみんな威張っていて嫌な奴ららしい。
「もう決めたことだ!」
そう締めくくる義盛。こんな坂東武者を束ねるだけでも凄まじいことかもしれない……。
とりあえず父上に話を通すと義時が言い出すと、年寄りは放っておくと言い出します。
そもそも、なぜこんなめんどくさい猪武者が来たのか?と思ったら、兄の宗時が呼び寄せていました。
遠いところからわざわざご足労だとおさめられる助っ人コンビ。兄上がもう何か間違った暴走をしていて迷惑にもほどがありますね。
祐親が時政に「頼朝を見つけたら教えろ!」
帰り道の義村が、父の義澄に「北条の館に頼朝がいる」とそっと打ち明けます。
時政からそんなことは聞いていないと驚く義澄。どうやら宗時が勝手にやっていると知り、焦っています。
これは祐親に伝えなければならないと思うものの、そうなったら頼朝を匿った北条が一大事!
しかし義村は「いい手があります」という。
義村は賢い。これは彼自身が賢いからか、周囲がわけわからんから相対的に輝いているのか? 両方ありそうではあります。言動ひとつひとつが賢い。
とりあえず会話が成立するだけで知性を感じる世界観ですからね。
政子は恋に落ちています。
ふんふんと鼻歌まじりで髪を梳かし、実衣が食膳を運ぼうとすると自分がやると言い出す。妹としては姉の心変わりをいぶかしみ、そっと姉と頼朝のいる部屋を覗きます。
「どうぞ、お口がさっばりします」
そう膳を差し出す政子。なまめかしい仕草で「これは何ですか?」という相手を焦らしています。
食いついたな……頼朝はそう思っていそう。
田舎の娘なんて歌を詠むわけでもないし、ましてや『源氏物語』も『長恨歌』も知らんし。楽勝だぜ!
そう心の中で思っていても不思議はない。ゲーム感覚で女を射止めることを喜んでいそうだ。
けしからん話ですよ、まったくもってけしからん頼朝だ!
実衣はそんな男女のやりとりを、しらけきった顔でのぞいているのでした。
頼朝は腹が立つ野郎だ。伊東の館では、子連れの八重が彼を待っているのに、政子とこうなっている。
宗時は力づくでも、頼朝と妻子再会をさせるつもりですが、彼は気合が空回りするタイプというか、計画がずさんなので、義時にぶん投げてきます。困惑しかない弟。
実衣は匿われている男が頼朝と見破ったうえで、雅な人が好きな姉だけにぞっこんだと見抜きます。
思いもよらなかったことだけれども、宗時は、政子と頼朝を推したい。一方で義時は「勘弁してください」と疲れています。わかるわ。もうわけがわからないよー。
そしてついに、爺様こと伊東祐親がやってきます。
事態がどんどん不味くなってきた。
義時は「シラミがついてますぅ〜」などといい、父の時政と頼朝が鉢合わせることを阻害しています。
そんな時政と顔をあわせた祐親は、開口一番言い放ちます。
「頼朝だけは許さない! 見つかったら一旦受け入れすぐ知らせろ!」
それを告げにだけ来たと言い、領内をしらみ潰しに探し出すと息巻いております。
娘が犯罪者との間に子を為していたら、そりゃあ頭にくるのが当然ですし、自分の権力も平家の後ろ盾あってのものですから、そりゃ怒りしかないですよね。
八重の父で孫の千鶴丸を殺した伊東祐親~義時の外祖父でもあった生涯
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さて、肝心の頼朝は……。
坂東武者と比べて雅すぎる頼朝
政子は実衣と一緒に蹴鞠をしています。そこへ頼朝が通りがかると、愛嬌をたっぷり浮かべで誘っています。
妹は追い払われ、政子は頼朝の蹴鞠の技にウットリ。
「すごぉい!」
これぞ黄色い声というやつ。
それにしても、この二人の力関係が面白い。
頼朝としては田舎娘を転がせたつもりかもしれないけれども、政子も相当に強い。だんだんと、頼朝だって、この魅力にズブズブと沈んでいっているんじゃないかと思えます。
その心情の変化が、義時との会話でわかります。
「政子殿はあの歳でまだ嫁に行ってはおらぬようだが、何かわけでもあるのか?」
義時もその危うさを察知したのか。身内の悪口だと断りつつ、性格が至ってきつくて賢くないと返します。
「あれだけの美しさが勿体無いのう」
義時は化粧映えがするだけだと即座に返す。素顔は見られたものではないと。
「この者は私のことをよほど用心しておられるようだ」
そう面白がる頼朝。けしからん頼朝だ……祐親の気持ちもわかるなあ。いちいちいやらしい、あーっ、いやらしい、けしからん!
ここでサラサラと手紙を書き、伊東の館に届けるように言います。
いや、でも、この筆を握る手ひとつとっても、美しいんですよね。
筆の持ち方も、動かし方も、ほんとうに綺麗で。最近の大河では墨でなく油性のインクを使っているような、不自然な小道具があった。
そういうことは繰り返さず、書道家が綺麗な字を描いております。それが当然ですけれども、その当然がこんなにも素晴らしいのだと痛感させられます。
こういう筆跡ひとつとっても、頼朝は坂東武者からみれば無茶苦茶綺麗なんでしょうね。雅だわ。
大泉洋さんも所作が綺麗で、かつ他者との違いがある。動きが忙しくないと言いますか、雅です。他の人がカラスや鷹だとすると、彼はまるで鶴のよう。
綺麗です。総合的に見ると、この頼朝は実に綺麗なんです、そこがいやらしくて、けしからんのです!
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