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【鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー第17回「助命と宿命」】
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助命を願う大姫 すでに斬られている義高
今や御家人にとっては、危険極まりない存在となってしまった義高。
三浦の庇護下にあった寺から逃げ出していました。
義村が、義時に文を渡しています。
鎌倉は恐ろしいところです。私はふるさとの信濃で生きることにします――そう書かれていました。
義高は義時を信じられなかったのです。御台所から遠ざけた上で殺す気ではないかと疑っている。
苦悩する義時。
信濃へ向かう西側は、追手がひしめいているのに……。
義高が逃げていると、案の定、藤内光澄に見つかってしまいました。
「冠者殿か!」
刀を抜こうとすると、大姫の鞠が引っ掛かり、うまく抜けません。
そして義高は呆気なく斬られてしまった。
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何も知らない頼朝は、義高がまだ捕まらないことに苛立ち、追手を増やせと命じています。
と、そこへ政子がやってきました。
「ここには来るなと申したはずじゃ」と苦い顔の頼朝は、大姫を見つけます。
「政子、これはならん!」
そう困惑する頼朝に、大姫の望みだと言います。
「冠者殿をお助けくださいませ!」
「それはできぬのじゃ」
困る父の前で、大姫は小刀を抜き、喉に突きつけます。
「姫!」
「冠者殿がいなくなったら私も死にます!」
「こんなことをさせるな!」
我が子が命を絶とうとする姿に、母も、父もうろたえています。
政子 必死の訴え
「何も吹き込んでおりませぬ、あなたがそうさせるのです!」
政子は訴えます。
義高殿は謀反など企んでいない、御家人は皆疑っている、どうか皆に信じる心をお与えください。その場にいる義時も、実衣も、祈るような眼差しをしています。
頼朝が、大姫の前に座り、刀を取り上げ、負けを認めました。そして捕まえても殺さぬよう伝えよと義時に命じます。
父が悪かったといい、大姫を抱き寄せようとすると、政子は「行ってはならぬ」と止め、一筆書くように迫る。
「わしを疑うのか?」
「何度も騙されております」
夫婦が言い合う横で、実衣が文字を書かれた紙を取り出します。
全成経由の神仏に誓う紙なのでしょう。もう夫婦同士の、人間の心は信じられない。だから神や仏に誓うようになってしまったのです。
思えば遠くへ来てしまった。
鎌倉に入る頼朝を、政子はうっとりとした目で眺めていた。
石橋山の戦いで大庭景親に負け、房総半島へ敗走していたときは「討たれてしまったのではないか」と気が気でなく、再会できたときは幸せだった。
腕には大姫を抱き、頼朝は幼い娘と妻を見て喜びを噛み締めていた。
あのときの家族の姿が一番幸せだったのかもしれない。
政子はそれでも過去の自分を裏切ることなんてできないのでしょう。
あのとき胸が燃えていた幸せを思い出して、せめてあの気持ちだけは裏切らないように生きていたけれど。
あのときの自分に恥ずかしくないように、真っ直ぐに生きたいのだろうけど。
義時の心や表情がどんよりと曇り、時政が陰謀へ引っ張られているのに対し、政子は芯が強く変わらないとは思えます。
真っ直ぐに生きたいからこそ、誰かを守りたいからこそ、知恵を使い駆け引きをする。
そんな政子が悲しくも素晴らしい。こんなことになってしまっても、政子さん、あなたは素晴らしい人です。
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義時に降りかかる重荷
義高を捕まえたら生きたまま連れてこい――。
義時がそんな命令を御家人たちに伝えていると、首桶を持った藤内光澄がやってきました。
御所の中では「義高に出家してもらう」と頼朝が念押し。一方で政子は日付を入れるよう返しています。
大姫にも笑顔が戻りました。
実衣が連れて立ち上がると、暗い顔の義時と盛長がやってきます。
「姫を連れて行け、早く!」
思わず怒鳴ってしまう義時。訝しむ頼朝に、暗い声で告げます。
「鎌倉殿、吉報にございます」
「謀反人源義高、この藤内光澄が討ち取りました!」
「そうか。これは天命ぞ」
苦い声でそう告げる頼朝。
彼なりに中世人らしい解決を見出しました。神に誓ったけれども、相手は死んだ。神も死んでいいとさだめた。これも天命であると。
しかし政子は思わず声を荒らげる。
「断じて許しません!」
そして、その場を憤然と去りました。頼朝は誓紙をくしゃくしゃと丸める。
時政が義時に、頼朝からの文を渡します。
そこには一条忠頼、藤内光澄を討てとある。期限は明日。時政は、北条が試されていると重々しく言います。
「これはできませぬ……」
「藤内は功を焦ったのじゃ」
「できませぬ」
「鎌倉殿の御命令じゃ」
そう父子が言い合っていると、りくが重々しく言います。
「あなたも妻子を持たれわかったのではありませぬか。あなたの命はもうあなただけのものではないのですよ」
「覚悟を決めるんじゃ、小四郎」
父と母にそう迫られ、義時は覚悟を決めます。
あまりに理不尽な忠頼と光澄の死
一条忠頼が呼び出されました。
「これはこれはようこられた。こたびはそなたが一番手柄じゃ。そなたがいなければ義高を逃しておったぞ」
頼朝が笑顔で言うと、御家人たちが集まってきます。
義時が頷きます。
そして退路を断たれた忠頼を押さえると、暗い目で罪状を読み上げます。
義高を唆し、鎌倉殿に謀反を企てたから成敗する――。
忠頼は、何ら言い分を聞かれることなく、即座に斬り伏せられてしまいました。
頼朝の暗殺スキルも着実に上がっていて、上総広常の時よりも逃げ場がないように討ち取っているわけですね。
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義時にせよ【どうすれば殺しやすいか】というハウツーだのマニュアルが積み上がっていく。
人は、いちいちショックを受けていたら心がもたないので、手順を定めたり、嫌な習慣を身に付けたりして、慣れるようにしていくものです。
暗い目で罪状を読み上げた時の、何の感情もない、マニュアル口調になった、そんな小栗旬さんがおそろしい。
俺たちの鎌倉は、もう終わった――。
しかも藤内光澄は、自分がなぜ斬られるのかもわからぬまま、処刑されてしまいます。
待っていたのは手柄どころか死。まったく意味がわからないまま死ぬという無惨さは言葉にもなりません。
覚悟ができない。
同じ死を迎えるにせよ、覚悟があればまだ少しはマシ。辞世もなければ、家族への言葉もなく斬られてしまうって……。
工藤祐経は就職を諦めました。
義時に鎌倉は怖いところ、私が生きていけるところではないと告げています。
他に行くところがあるのであれば、そこへ行った方がいいと淡々と答える義時。
「あなたは?」
そう聞かれ、義時は返します。
「私はもう、ここしかない……」
そう、義時にまだ仕事があるのです。
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