鎌倉殿の13人感想あらすじ

鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー第17回「助命と宿命」

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鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー第17回「助命と宿命」
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巴から託された義仲の手紙

「此度のこと、まことにおめでとうございます」

安達盛長にそう言われているのが、比企能員です。

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何がめでたいか?

比企一族の娘である郷と義経の結婚が決まったこと。能員は武士らしい活躍は全くしていませんし、特に優れた点もありません。

それなのに姻戚関係で権力に接近していく手筈は抜かりない。

御曹司が郷に一目惚れしたといい、あれやあれやといううちに結婚とのことで、凱旋後は賑やかに結婚したいと計画を語ります。

静御前とのことを思うと、あまりに酷い展開ではあるのですが、それでも比企と源氏のつながりは深くなるという算段です。

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殺伐とした世界に癒やしをもたらす和田義盛が、義時に話しかけていました。

なんでも五人がかりでようやく取り押さえた敵とかで、義時に会いたいとのこと。そう言われて、かったるそうな表情の義時に対し、義盛は「顔見知りらしい」とプッシュします。

「巴って言うんだけどな」

思わずガバッと身を起こす義時。

いざ対面すると、巴御前でした。

「またお会いできるとは思っておりませんでした。私一人生き、恥を晒しております……」

女性の服装をして項垂れる巴。義盛はこう語りかけます。

「俺の家人になってくれよ。悪いようにはしねえからよ」

義盛……彼は巴を“女”として生け捕ったのではなく、武士として遇する気概があります。捕らえたのが義盛でよかった。

彼女は、義仲から預かっていた義高への文を義時に渡します。

「拝見」と義時が読もうとすると、「無礼者!」と怒る巴。まだ元気はあるようです。

文には、義仲のこんな言葉がありました。

鎌倉殿を敵とは思っていない。これ以上、源氏同士で争ってはならぬ。

巴が補足します。

義仲亡き後、平家討伐を成し遂げるのは鎌倉殿しかいない。義高には生きて源氏の悲願成就を見届けて欲しい。それが義仲の心残りでした。

そして、その文を受け取り、父の思いをしかと受け止めたと語る義高。御台所こと政子に自分のあやまちを語ります。

改めて父の思いを知ることができたお礼を伝えます。

 

義高に接近する武田

「生きてくれますか」

政子は、義高にそう問いかけ、伊豆山権現への逃亡手配を進めます。

義時はその経緯をジッと眺めている。

彼はこの傍観者の役割が大きい。そのせいで義高に何もしないと恨まれますが、実際に何もしないわけではなく、政子から無茶を押し付けられます。

かくして逃亡作戦が始まります。

義高は女人に化けて連れ出すとのこと。前にも同じ手を使ったのでは?と実衣が心配すると、鎌倉殿を逃した時に使ったと政子は言います。

そうそう、そうでした。思えばあの頃はなんとノンビリしていたことか。

今回はリアルに生死がかかった場面。

八重が子どもを遊ばせる庭を通り、そこから三浦義村の船を使います。

面倒なことになる、と断りそうな義村が引き受けるのは、娘を育ててもらう貸しがあるとのこと。

義村はじめ三浦一族は何をしているのか?と、ここで補足しておきますと、彼らは重要な後詰めです。

いくら義経が天才でも船がなければ戦えない。水上戦闘になれば彼らが必要であり、平家との一戦までにはまだ時間があります。

義高の従者である海野幸氏も、仲間に加えて欲しいと言います。

義高の命を守ると純粋に思うこの少年は、義時たちが失ったものを持っています。

そんなタイミングで、武田信義率いる甲斐源氏も到着しました。

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義高や海野幸氏とは大違い。彼らの腹には、下劣な権力闘争がある。

一ノ谷の戦いでは後詰めとして武田も出陣し、信義の子である一条忠頼だっていた。

だからこそ安心して平家を叩けたのに、恩賞がないのはおかしいのではないか。鎌倉方が妨害をしているのではないか。法皇様の思し召しと言いながら、頼朝関係者ばかりが独占している。

そう詰め寄っても、頼朝は軽くあしらいます。

信賞必罰です。先週は頼朝が報告書を確認していました。

戦場で誰が何をどうしたのか。それに見合った恩賞にしないと軍は無茶苦茶になる。

ゆえに、そこをきちんと報告する梶原景時は便利なのですね。

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一方、権力者側からすれば、恩賞で引っ掻き回せる。ゆえに便利な手段となりえます。

案の定、信義の心は乱されます。頼朝の前では顔を引き攣らせるだけでも、その場を去ると途端に怒りを我慢できない。

と、息子の忠頼が、義仲の嫡男がここにいると囁きます。

「ほう、使えるな」

思わず信義はニンマリ。いかに義高の人格が素晴らしかろうが、無欲だろうが、流れる血のせいで彼は手札にされてしまいます。

すかさず信義は、義高を口説きにかかります。

源氏同士で力を合わせたい。そう甘い言葉を投げかけられますが、義高も武田を信じてはいない様子。

義高が信濃に戻り、兵をあげれば勝てる、と畳み掛けられてもこうだ。

「お断りします! 父は鎌倉殿を恨むなと書き残しました。お引き取りください、人を呼びますよ」

義高は志操堅固だ。若いのに立派です。

しかし、こうした密談というのは危険極まりなく……。

 

義高の鎌倉脱出

頼朝の前に、義時や広元、盛長など、いつものメンバーが集合。

義高の話になると、警備が工藤祐経では心もとないので代えろと頼朝が伝えます。

祐経はまるで信頼されておらず、さっそく義時が動こうとすると、頼朝の弟・源範頼に引き留められてしまいます。

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源範頼は戦の顛末を報告せねばならないので義時が必要。

結果、大江広元が手配することとなりました。

かくして作戦開始――実衣は夫・全成殿の出番と背中を押します。頼朝に変装する役ですね。

仁田忠常が導き、頼朝っぽい格好をした全成が扇子で顔を隠しつつ、しずしずと歩いてゆく。

一方、本物の頼朝は、いつものメンバーを前にして、こう問いかけます。

義仲が美男というのはまことか?

確かによい男ぶりであったことが振り返られますが、これは史実もドラマの青木崇高さんもそうでしたね。

見張りが気になって仕方ない義時は、何を聞かれても上の空で、ちょっと危うい。

頼朝の中枢メンバーたちは、まだ義仲の話を続けます。

怪力だったので、大きな岩を弓で叩き割り、そこから湧水が出た(確かに弓と義仲にまつわる清水伝説はあります)。

嘘か真か。気になって仕方ない頼朝が、義高に確かめようとすると、慌てて義時が「その通りで、うまかったです!」と押し留める。

顔は覚えていないのに、なぜこれは覚えているのか? 疑いを抱かれそうな答えです。

盛長が聞きに行くことになり、義時の焦りは頂点へ。

比企能員は相も変わらぬ点数稼ぎが好きなようで「戦に行きたい」と告げます。ついでに里を京都に連れて行くと提案すると、それは義経も喜ぶだろうと頼朝も賛成している。

と、程なくして盛長が確認して戻ってきました。

「湧水が出た」

報告します。これで義時も一安心かと思ったら……。

 

ザワつく御家人たち

武田信義の長男・一条忠頼が、餅を持って義高のもとへ向かいました。

監禁部屋に入ると、そこにあったのは寝姿の義高……ではなく、身代わりとなった海野幸氏でした。

義高は、女装して出ていく最中です。

思わず義時は、盛長を呼び止めました。

なぜ義高を助けたのか?

盛長も義高が生き延びることを望んでいました。

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彼にも相応の理由があります。御家人たちの心がこれ以上鎌倉殿から離れてほしくない。

そういうことを正面切って諌められないところが、鎌倉の不健全さではありますね。

ここで工藤祐経もお役御免になっていました。

義高を引き取った義村が、今晩はこの寺で過ごすように伝えています。

しかし、ここでピンチ。

一条忠頼に逃亡がバレ、広元が頼朝に報告すると、直ちにキレました。

「義高を捕らえしだい首を刎ねよ!」

畠山重忠と和田義盛が、義時から義高の話を聞かされています。

あの心根のよい若君を殺さねばならぬのか、と暗い表情になる重忠。義盛は巴が悲しむから殺したくないとボヤいています。

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そこでこの二人に頼みがあると義時が言う。

義高はいま東の岩本寺にいる。明日の朝、三浦を頼って伊豆山大権現に入るから、時間を稼いで欲しい。

そこで重忠と義盛は、西から信濃へ向かったと御家人たちに告げています。

東にいるから西に目を向けさせたのですね。わかりやすい。

義高が逃げ、御所が蜂の巣をつついたような騒ぎだ!と慌てているのが三浦義澄。息子の義村に迫ります。

涼しく「でしょうね」とあしらおうとする義村ですが、義澄は疑念を募らせています。

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御台所と何かこそこそやりあっていたらしいじゃないか。

三浦が生き残るには頼朝に従うしかない。

義澄は切羽詰まった声でそう言うのですが、彼も変わってしまいました。

どこかどっしりと構えていて、だからこそ知恵の回る我が子を信じていた。

それが白い石が黒くなるよう。我が子をむしろ疑い、その知恵を怪しんでいます。

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それに義澄はかつて、義高を立てて謀反しようと企てていました。

二度目はないし、義高の危険性を痛感してしまったのです。

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