こんばんは、武者震之助です。
ついに気になるあのビッグネーム、キャスト発表です。
◆松平健:「おんな城主 直虎」で武田信玄に 「少しおちゃめに演じたい」(まんたんウェブ)
今川義元、織田信長に続いて「イメージそのまんまの信玄」ですね。有名どころはイメージに忠実に描く、というのが本作の姿勢でしょうか。
それにも関わらず、なぜか新鮮みがあるのは彼らの周囲が「凡人」だからかもしれません。
周囲が小さな星だからこそ、一等星の輝きがかえって際だつ。そんなところでしょうか。
気賀で材木が売れる! そこには龍雲党も……
今週は材木伐採や染色、そして操船指導がいるようです。
井伊家がいよいよ材木を販売できそうだと喜ぶ一方、今川家を取り囲む情勢は悪化しています。
武田家は、武田勝頼の妻に織田家から姫を娶り(龍勝院)、両者は接近。追い詰められた今川氏真は、「塩留(経済封鎖)」を強めます。経済的に逼迫した商人たちは、駿府を逃げ出し気賀へと移ってしまいます。
井伊では虎松(のちの井伊直政)が小野政次と囲碁を打っています。
精神的に成長が見られるようです。
直虎は張り切って材木に焼き印を押させ、はしゃいでいます。
材木は建築資材ですから、大量に売れるというのは戦が近い、あるいは何者かが軍事施設建築を計画している可能性もありますが、直虎はそこまでは考えていないようです。
井伊から材木が気賀へと運ばれ、直虎は運搬の指揮を執っています。中村与太夫を通して成川屋という商人も材木を買ったようです。
気賀にはあの龍雲丸とその一党がおり、現在は「よろず請負屋」、わけありの様々な仕事まで請け負う、便利屋をしているようです。
与太夫は、龍雲丸が変わったのは直虎のおかげだと思い感謝しています。その龍雲丸とその一党も、直虎の様子は気になっているようです。
材木が成川屋に売れたことを、碁盤を挟んで政次に報告する直虎。
政次の関心は材木の売り上げよりも龍雲党にあるようです。
政次は、気賀に城を作り商人を統制しようとしている、と報告。直虎は気賀の商人による自治体制がどうなるのかと心配します。
しかしこの話は来週まで持ち越しです。
井伊の材木は三河(徳川方)へ流れたのか!?
駿府では氏真が気賀を誰に治めさせるか、頭を痛めています。
愛妻・春から父(今川義元)に似ていると言われてまんざらでもない氏真。
そこへ、気賀に徳川と通じる商人がいるという報告が届きます。
氏真は政次を呼び出し、嬉しそうに「僥倖とも言うべき話、いよいよその時が来た」と持ち出します。
氏真の笑顔とBGMが不気味です。政次の表情は複雑ですが……その心中は果たして。
直虎は綿布の染色現場を見回ります。商人のチェックをするあたり、しっかりしていますね。直虎は今井方久に、気賀の商人自治が危ういと相談します。
そこへ、政次が今川からの使者・関口氏経を連れて来たと梅が告げに来たのでした。
氏経は井伊が松平と通じている、申し開きに来るようにという、氏真からの下知を伝えに来たのです。
久々に今川に呼び出されてピンチという展開です。
井伊直満(第1回)、井伊直親(第12回)は申し開きで討たれ、直虎は機転で切り抜けたものの、次はないと警告されていました(第15回)。
しかしそもそも直虎にとって、今回の件はまったく身に覚えがありません。
どういうことかと言い返す直虎。政次が、井伊が取引をした成川屋が松平と取引をしていたのだと説明します。これは辛い展開だ!
直虎は成川屋がどこに売るか知らなかった、と弁明します。
政次はそれならば直虎は迂闊、三河に近い重要な土地を任せられないと言います。
氏経は「大きな商取引をするならちゃんと今川に許可を取れ、そうしない、忠義が足りないからこうなるのだ」と駄目押しします。
ここで中野直之が怒り反論します。
うーん、これは今川方の言い分にも分はあるでしょう。材木を大量に売り払うのならば、警戒すべきです。
直虎は落ち着き払って、あとで改めて駿府へ申し開きに行くと返答します。成長の跡が見られます。氏経は政次の屋敷に去ってゆくのでした。
直虎潰しの理由は何でもOK 今川は小野に任せたいだけ
直虎は材木横流しについてよりも、要するに小野に井伊を渡したいのだろうと相手の手の内を読んでいます。
焦っても無駄だと言う直虎からは、昨年の真田昌幸的とは言い過ぎかもしれませんが、成熟したふてぶてしさがにじみ出てきました。
直虎は一人で碁を打ち、策を練ります。
同じころ、政次も直虎とそうするかのように碁を打つのでした。
井伊を支える二人は、打開策を練ります。政次の背後からなつがそっと抱きつき、これならば怪しまれないであろうから、何か頼んで欲しいと訴えます。
うーん、まさに献身です。どこまで献身か、どこから愛情かちょっとよくわからないところがもやもやしますねえ。
政次はなつに掌を重ねるものの、気持ちはありがたいがどこに誰がいるかもわからないから、と返します。
「殿は落ち着いておられた。きっと切り抜けられる、大事ない」
そう自らに言い聞かせるよう、つぶやく政次でした。この場面もそうですが、本作は役者の顔や表情を最大限に綺麗に撮影するこだわりを感じます。
直虎は、今川は弁明を聞く気はないと見抜き、策を練ります。
まずは材木を成川屋から買い戻して駿府に運ぶ。それができないならば、気賀で材木を大量に買い、「井」の焼きごてを押して、材木を駿府に運ぶ。
上の二つができないようなれば、龍雲丸に命じて三河に届く前に材木を奪還する。
こう指示を出し、奥村六左衛門と方久を気賀に送り込みます。
奮闘する六左衛門らは龍雲丸に取引を持ちかけます。
「俺の手は冷たかろう……」の一言に滲み出る
一方で直虎は、時間稼ぎのために毒を飲みます。直虎は高熱を出していると直之が報告し、流行病ならば危ないからと政次が氏経にかわって確認をかって出ます。
寺までやって来た政次。直虎は直之に水を汲みに行かせると、二人きりになったところで本音を打ち明けます。
政次は毒を飲んだ直虎の容態を案じて、手を直虎の頰に当てます。
「俺の手は冷たかろう」
そう言う政次に、直虎は「昔から誰よりも冷たい」と返すわけですが、高熱でうなされている状況では「冷たい=快適」ですからね。
それにしても政次、これは乗っ取りを企む男の顔ではありませんな。つまり運命に流されると……。
海上では龍雲党と六左衛門、方久が成川屋の船乗っ取りを敢行します。
この船、これはもしや『平清盛』の宋船ではないか! まだ解体されてなかったんだ! ちょっとこれは感動の再会ですよ! こうして再利用されるのならば、作った甲斐があったというもの。
首尾良く船を乗っ取った龍雲党は、一路駿府を目指します。一味のマスコット的存在のゴクウが、航行祈願のために柱に縛り付けられています。
ゴクウの名前の由来は「人身御供」で、かつて船の航行安全祈願のために海に沈められ、助けられた過去があるとか。
そういえばゴクウ役の前田航基さん、『平清盛』にも出ていましたっけ。これは清盛クラスタ歓喜の展開では。
二十年ぶりに氏真と対面「蹴鞠で決着はつかぬぞ」
毒による高熱も下がった直虎は駿府に参り、直之に対していつもの「館が焼け落ちるかもしれぬ」という強がりを見せています。
二十年ぶりに氏真と対面する直虎。氏真は「蹴鞠で決着はつかぬぞ」と釘を刺します。
直虎は商人がどこに売るかまでは知らない、今川と井伊は縁談も成立したし、こんなに忠義を尽くしているのに何故、と泣き落としにかかります。
氏真も「おなごいじめなど好かぬ」とちょっと軟化したようなことを言うのですが、そう甘くはありません。
「いち早く松平に通じようとした井伊。信じてやりたいところじゃがのう……」
政次がフォローしようとしたところ、直虎はうつむき言葉をしぼりだします。
「くやしゅうございます……家督を継いでからは、心を入れ替え尽くそうとしてきました! 謀叛を企てたことなどありません。民を潤すことは井伊を潤すこと、井伊を潤すことは今川を潤すこと……それなのに、このようなやり方は、今川は真に忠義の者を失うことにとお考えにはなりませぬか!」
氏真、ちょっと動揺しています。実は結構甘いんだよなあ。
直虎は寿桂尼との対面時(第15回)とは態度が違います。
あのときは相手に自分の実力をアピールしていましたが、今回はどちらかというと情けに訴えた泣き落としです。
女性であるということをうまく使ってもいます。相手の甘さ、弱点を見て態度を変えているわけで、なかなかしたたかです。
直虎がしおらしく健気にそう語ったタイミングで、材木が到着します。
氏真は唖然とします。直虎に材木を取り戻すよう命じたと告げられた氏真は、言葉を失うのでした。
ここでそれはそれ、これはこれで処断できないのが氏真なのです。
来週は15分遅れ、午後8:15からの放送となります。ご注意ください。
MVP:今川氏真
井伊を追い詰める立場なのに、どこか憎めない氏真です。
「桶狭間の戦い」(第9回)のあと、あっという間に滅びた印象のある大名としての今川家ですが、氏真と寿桂尼は粘っていました。
その悪戦苦闘を描いているのが今年です。今まではあまり目立たず、出番も少なかった氏真が今回は個性を見せました。
妻に父親に似ていると言われるとちょっと嬉しそうな氏真ですが、そもそも義元ならばこんなにもぺらぺらと話すわけがないんですね。
政次にニヤニヤ笑いながら迫るところは不気味ですが、やはり軽い。
直虎との対峙も、女だからとちょっと甘く見ていたり、泣き落としには弱かったり、頑張っているけれども、どこか残念なのです。そして愛嬌があり、憎めない。
尾上松也さんの演技が光ります。どこか極端に振り切った人物よりも、このくらいのスケール感で、表情がころころ変わる人物の方が難しいかもしれません。
品が良いのに何かが欠けていて、それでいて魅力もある氏真像として、うまくまとまっていると思います。
総評
先週までで姫としての部分を捨てた直虎。その学期修了試験といった試練でした。
試験の課題は「駿府での申し開き」。井伊直満と直親は落命し、前回の直虎は精一杯の奇策で切り抜けたのです。
それが今回はどこか余裕があり、何重にも策を考える余裕がありました。
その態度にはふてぶてしさすら見えます。
直虎の精神的成長が見えました。材木をあやしまずに大量売却したことは迂闊ではあるのですが、その失敗を補うことができました。
直虎は順調。精神的成長を見せているのは虎松もそうで、一見明るい未来が待っているように思えます。
一方で、暗い影が差し込んだのが政次でした。
直虎との信頼関係は、いつか終わる儚いものだと彼自身悟ってはいたはずです。
それでもその日が一日でもあとになればと視聴者ともども願っていたことでしょう。
その期限がいよいよ切られました。もしかすると今回、高熱に苦しむ直虎の頰に手を当てたのが、政次にとって最後の幸福だったのでは、と思うとやりきれません。
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絵:霜月けい
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【参考】
NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』公式サイト(→link)














