『おんな城主 直虎 完全版 第壱集 [Blu-ray]』/amazonより引用

おんな城主直虎感想あらすじ

『おんな城主 直虎』感想レビュー第36回「井伊家最後の日」

2017/09/11

こんばんは、武者震之助です。

こんな記事があります。

◆【芸能コラム】視聴率だけでは分からないファンの熱量 「おんな城主 直虎」 (→link

詳細はリンク先の記事をご確認いただくとして、まったくその通りかと思います。

今週も熱量をあげて見るぞ~!!

 


妻の実家・北条家に落ち延びた氏真は絶口調!?

さて、仲間たちを失ってしまった井伊直虎と龍雲丸。

これからどうなるのでしょうか。

脚を負傷した近藤康用は龍潭寺の面々の看病により、やっと回復してきたようです。

直虎は、新たな井伊谷の支配者となった近藤と、話をしたいと考えています。

このあたりから徐々に、本人も気づかぬまま「井伊の店じまい」が始まっているわけです。

碁石を手に、井戸端で井伊のこれまで歩んで来た道を振り返る直虎。

その脳裏には、惨い死を遂げた小野政次と井伊直親の姿もよぎるのでした。井伊を守る為とはいえ、あまりに重い犠牲でした。

一方、戦国大名としては滅亡を迎えた今川氏真は、妻の実家である北条家に身を寄せていました。

今川家を保つべく悩んでいた頃とはうってかわり、憑きものが落ちたような顔です。

こちらが本来の彼なんでしょうね。武田を抑えた義父を絶賛する氏真です。

「流石は相模の獅子でございますなぁ!」

氏康は、極悪人に天誅を下してやったのだと武田のことを罵り、娘夫妻を庇います。

こうなると義元・信玄・氏康が一堂に会して「甲相駿三国同盟」を結んだところも見てみたかったですね。

 


「殿! 殿が立った!」クララモードの近藤は目の輝きも変わる

北条が武田を牽制すれば、信玄も当分は動けないはず。

これでなんとかなったと喜ぶのは、徳川家康です。

そんな家康ですが、妻の瀬名から井伊を見捨てたのかと厳しく詰め寄られ、たじたじ。

「駿府の姫様はよう口がお回りになること」

サラリと嫌味を言いつつ姿を見せたのが、家康生母・於大の方です。瀬名は姑に言い返せず、反省を口にするとそそくさと立ち去ります。

栗原小巻さんの於大は貫禄と迫力たっぷり。この姑嫁の関係が今後、影を落とすのでしょうか。

瀬名が立ち去ると於大はすかさず、お房という侍女を家康に紹介します。

これはお房を閨の相手にと、勧めていますね。この時代の姑は、こういうことができるのだから嫁は大変です。

近藤は直虎と励んだリハビリの結果、立ち上がります。

「殿! 殿が立った!」

『アルプスの少女ハイジ』で、クララが立ったみたいな感動的な場面です。

寝たきりになるかと思っていたと感謝する近藤。家臣も喜んでいます。

第33回で小野政次を罠に掛けた時とは、もう目の輝きが違いますね。

彼の回復を心の底から喜ぶ家臣もいるわけで、彼も彼なりに慕われているのだということがわかります。

橋本じゅんさんの人間味あふれる演技も光っていますね。憎しみを一身に集めた近藤ですが、名誉回復は早そうです。

近藤は、ここで何かを直虎に切りだしたようです。

 

虎松を松下家の養子に……それは常慶なりの償い

近藤の話とは、中野・奥山・新野らの井伊家臣召し抱えたいということでした。

直虎は相手の誠意ではなく、近藤が領地を増やしたのだから合理的であえるという理由で、罠ではないと見抜いています。

彼女の洞察力や人間的な成長が見てとれます。

そこへ松下常慶がやって来ました。

井伊の不遇は自分のせいだと頭を下げる常慶を、直虎は責めません。

「吾が未熟であったのじゃ。お前がそうと言うのならば私も」

本当に直虎は成長しましたねえ。

常慶は、虎松(井伊直政)の実母・しのからの書状を持参しています。

虎松を、子に恵まれない常慶の兄・源太郎の養子にするという案でした。

虎松を松下に寄越せということか、と戸惑う直虎。

そうではなく虎松に松下を捧げるということだと常慶は真摯に説明します。

彼なりの償いなのでしょう。瀬名にせっつかれて、家康が出した救済案かもしれません、

直虎は、答えを出すための猶予をもらいます。

 


「もう諦めちまえばいいじゃないですか」

直虎は、この件を龍雲丸相手にも相談します。

母と暮らせて家を継げるならいい話だと言う龍雲丸に、直虎は「井伊をあきらめたくはないのだ」と反論。

しかし、井伊にこだわればまた誰かが犠牲になるかもしれない……直虎は迷います。

ここで、龍雲丸は「もう諦めちまえばいいじゃないですか」と軽く言います。

「尼小僧様がやりたければやる、やりたくねえならやらねえ。好きにすりゃいいじゃないですか」

龍雲丸のこの誘導には下心があるかもしれません。

直虎の心に、あきらめるという選択肢が生まれました。

龍雲丸は、今度は南渓和尚と語ります。

直虎は幼い頃から竜宮小僧になることを心情として生きてきた、と。自分のやりたいこととしてそう生きてきたのだから、今更自分のためだけに生きられないのだ、と。

「あの人は、ずーっと人のために生きなければならないんですかね」

「わしは、あいつがそういう道を選んだと思うがのお……いや、選ばせたか」

南渓は、そう苦い後悔を口に出します。

彼女の人生を変えて、奪ってしまった苦悩を南渓なりに感じていたのです。

 

井伊家を終わらせる決断に対し、涙を流してキレる直之

その夜、南渓和尚は井戸端の直虎に語りかけます。

「もうやめじゃ、次郎。井伊はここで終わらせよう」

疲れ切った彼女では、もう家の再興なぞできない、と語る南渓和尚。

おとわを次郎にしたのは自分なのだから、次郎をおとわに戻すのも自分のつとめ。政次や直親には謝っておく、と。

「そなたはようやった」

「ご期待に添えず、申し訳ございません」

南渓に抱きつき、直虎は子供に戻ったように泣きじゃくります。

辛かったんですね。ずっと堪えてきた涙が堰を切ったようにあふれます。

がんばった、あなたはがんばったんだよ、おとわ。

直虎は川名の隠し里に行き、井伊谷の人々に井伊を再興しないという決意を語りました。

新たな仕官先を探すように告げる直虎に、中野直之らは怒りをぶつけます。

犠牲になった人はどうなるのか、と。

家を存続したら犠牲者が増える。まだ若い家臣たちが井伊家のために大事な時を無駄にして欲しくないと告げる直虎。

「所詮……おなごじゃの!」

第13回あたりで、直之はすぐそう叫んでいました。

「俺はそのおなごに、一生ついていくつもりだったんだ!」

目を赤く充血させ、本音を叫びます。

「ふがいない主で、すまなかった」

直虎にそう告げられた直之は、こらえきれなかったのか。刀を掴みどこかへ去ってしまいます。

 

「諦めなければ負けない」虎松は納得できない

直虎は次に、虎松を預けてある三河・鳳来寺に向かうのでした。

井伊家が再興されたから迎えに来たのだと、虎松は目を輝かせます。

奥村六左衛門から井伊家再興はあきらめたと聞いても、虎松は納得できません。今まで井伊家希望の星として育てられてきたわけですから、それはそうでしょう。

松下の子になるか、この寺で僧侶になるか。

しかし井伊家の再興だけは、ありえない。

残酷な言葉に虎松は食い下がります。

「殿はかつて言いました。あきらめなければ負けることはないと。あの言葉はどうなるのですか?」

「嘘じゃ! あきらめてこそ、得られるものがある」

虎松は直虎の言葉をそうきつく遮ると、立ち去ります。

号泣する虎松。そこで南渓が戻り、説得すると言います。

南渓はちゃっかりと虎松にこう言うのです。

「あれはもう殿ではない。したがって殿に従う道理はないということじゃ」

さて、虎松はどういう決断を下すのでしょうか。

 

逆境に強い高瀬姫 新しい生活に向けて活き活きと

隠し里で祐椿尼、高瀬、なつらがさばさばとした様子で今後について語り合っています。

高瀬は大事なものは失っていない、家名がなくなった今、一人一人が前向きに生きることこそ井伊を残すことになるはずだ、と語ります。

なんだかこの娘さんは、妙にたくましいんですよね。

着々と再スタートに向けて、井伊の残務整理に励む直虎。これでよかったのだと自分を納得させようとしています。

中野直之は、小野家他井伊家の家臣をまとめ、近藤の元に仕えることにします。

高瀬も弥助の孫という名目で近藤家に向かうことに。

あやめはどこかに嫁ぎ、なつは虎松のおともとして松下に行きたいとのこと。

虎松は松下に行くことを承知しました。六左衛門は守り役として虎松に同行します。

「身勝手なものですね、自分で決めたことなのに」

テキパキと作業を進めていた直虎であるのに、ここで言葉に詰まって涙ぐみます。

そして吉日を選び、虎松は松下源太郎の養子となります。虎松の聡明さはすっかり松下の人々に気に入られたようです。

 

「一緒になりてえ女がいるんですが、どうしたもんですかねえ」

直虎が井伊家当主としてつとめ終えた日。直虎が井戸端で祈りを捧げていると、そこに龍雲丸が顔を出します。

直虎は頭にこれからどうするつもりかと聞くのでした。

「俺ぁ、一緒になりてえ女がいるんですが、どうしたもんですかねえ。名前も知らねえんですよ」

「村の名とどんな娘かわかれば、調べておくが」

「……かわされてるんですかねえ」

龍雲丸のアプローチに気づかない直虎です。

そこでついに、直球。

「俺ぁ、あんたのそばにいたいんだ。いいって言ってくれれば、それでいいんですよ」

ええーッ、ここでその展開ですか!

「吾がそばにいると、ろくなことにならぬかもしれんぞ」

「死にそびれるのは俺の得意なんで、あんたを置いてったりはしませんよ」

「とわじゃ……吾はとわという」

直虎を抱き寄せ、頭巾を取る龍雲丸。

そしてそのまま、先週とは違って意識があるまま、口を重ねるのでした。

 

直虎にとっての井伊も、政次だったのかもしれない

その後、直虎は還俗し、龍雲丸とともに一農婦として土とともに生きる道を選んだのでした。

「地獄の底から井伊の行く末を見守ってやる」

そう告げて飛び去った鶴こと政次は、どんな気持ちでこの場面を見ているのでしょうか。

政次派は阿鼻叫喚かもしれません。

しかし、落ち着いてください。

彼も生き延びたらなつと夫婦になるつもりでしたしね。政次となつのラブシーンはそのためにあったのかな、と思ったりして。

それにやはり、直虎が井伊再興の望みを捨てたのは、やっぱり小野政次の死の影響が大きいと思うのですよ。

片翼を失い、もう飛べないと力尽きてしまったわけです。

龍雲丸は第33回で直虎に「(政次にとって)井伊っていうのはあんたなんだよ!」と言っておりましたが、直虎にとっての井伊も、政次だったのかもしれません。

井伊家が蘇る日が来るとすれば、政次の魂を受け継いだ者が戻って来た時でしょう。

 

信玄デスサンバは松平健さんのアドリブだと!?

そして場面が切り替わると、北条氏康が死んでおります。

思えば短い出番でした。

そしてその訃報を聞いて、文字通り小躍りする男が一人。

「死におった! 北条のじじいが! 死におった♪ 死におった♪」

武田信玄が妙に軽やかなステップで踊ります。

これが信玄デスサンバ……! 松平健さんのアドリブだそうです。凄いアドリブだ。

氏康の死をきっかけに、今川氏真夫妻は北条家を追放されてしまいます。そして、浜松城(旧曳馬城)に家康を頼ってやってきました。

どう見ても歓迎されていない二人ですが「瀬名殿はお元気ですか? 是非あって話がしたいです!」と空気も読まずに言い出します。ひきつる家康の顔がいいですね。

家康がこの二人を庇うリスクはあっても、メリットはありません。

氏真らを追い出したいと考えるのは当然です。

一応、織田信長の許可を取ってから追い出そうと考えるのでした。

 

もはや北斗の拳のモヒカン軍団にしか見えねぇ

元亀2年(1571)、進撃の信玄が赤備えとともにやって来ます。

私は昨年、武田家滅亡の場面で泣きました。

真田昌幸の「信玄公のような御方は二人といない」という台詞にもホロリと来ました。

しかし今年は「早く退場しねえかな、武田」、「信玄は一人で十分、二人もいらない」と強く思っております。

昨年あんなに胸を熱くした赤備え。

今年はもう『北斗の拳』のモヒカン軍団に見えて仕方ありません。

そんな武田の脅威が迫る中。

高瀬は何か思うところがあるのか、遠くを見つめているのでした。

 

◆MVP:武田信玄

「死におった♪ 死におった♪」

コミカルかつ悪夢のようなデス信玄サンバ。そして赤備えで粉砕する気満載の構え。

こいつらの嬉しそうな顔を見るたび、昨年の真田昌幸もセットで思い出されます。

『真田丸』の最終回で、家康が「おまえらみたいな戦で生き生きするような奴は絶対滅ぼす!」という決意表明にも納得。

こんな禍々しい連中を生かしておいては、とても太平の世なんて訪れません。

昨年の武田家滅亡時に流した涙すら一瞬で乾燥させる。そんな邪悪極まりない武田家。

最悪で最高です。

 

◆総評

ずっと家のために飛び続けた直虎。

小野政次という片翼すら失い、これ以上はもう飛べないと、ついに地面に降り立ちました。

「若い大事なときを、井伊のために費やして欲しくない」

という彼女の、家臣に対する思いやりは、自分の体験が念頭にあるのかもしれません。

が滅びたあと、武士はどうなるのかという悲哀がそこにはあります。

描かれていないだけで、井伊よりもずっと家臣が多い今川家でも、同じ事態が起こっているわけです。

そして日本全国各地で、滅んでいった小さな国衆たちのもと、今回のようなドラマがあったのです。

私たちの祖先も、武士であることをあきらめて、土とともに生きることを選んでいたのかもしれませんね。

あれだけ頑張っていた直虎がここであきらめてしまうことは、残念だけれども、挫折よりも安寧というかたちで決着をつけていたのでほっとしました。

まさかオリジナルキャラクターの龍雲丸と、あんなかたちになるとは。

創作でも直虎という一人の女性に、そんな安らぎを与えてくれた本作の優しさが胸にしみるなあ……。

と思っていたら信玄サンバですよ!!

やっぱり全然優しくなかった!

ハバネロぶちこんだ激辛鍋の前に、飴玉一個くれただけだった!!

考えてみれば龍雲丸がオリキャラというのも危ないわけで。

史実と整合性をあわせるためには彼との間に子供ができてはいけないし、夫婦として添い遂げてもそれはそれで問題があるんですよね。

来週、堺に向かう途中で龍雲丸が武田に見つかり散る……そんな展開になったらどうしようかとヤキモキし出しました。

小野政次は死のタイミングが読めたけれども、龍雲丸の場合はなあ……。

どう考えても嫌な予感しかしません。

来週を見るのが怖くなってきました……それでも見なくては!


あわせて読みたい関連記事

井伊直虎
井伊直虎の生涯|今川家や武田家などの強国に翻弄された女城主の生き様

続きを見る

井伊直政
井伊直政の生涯|武田の赤備えを継いだ井伊家の跡取り 四天王までの過酷な道のり

続きを見る

徳川家康の肖像画
徳川家康の生涯|信長と秀吉の下で歩んだ艱難辛苦の75年を史実で振り返る

続きを見る

本多忠勝の肖像画
本多忠勝の生涯|家康を天下人にした“戦国最強武将”注目エピソード5選とは?

続きを見る

榊原康政
榊原康政の生涯|秀吉に10万石の賞金首とされた“徳川四天王”の生き様とは?

続きを見る

絵:霜月けい

【TOP画像】
『おんな城主 直虎 完全版 第壱集 [Blu-ray]』(→amazon

【参考】
NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』公式サイト(→link

TOPページへ


 



リンクフリー 本サイトはリンク報告不要で大歓迎です。
記事やイラストの無断転載は固くお断りいたします。
引用・転載をご希望の際は お問い合わせ よりご一報ください。
  • この記事を書いた人
  • 最新記事

武者震之助

2015年の大河ドラマ『花燃ゆ』以来、毎年レビューを担当。大河ドラマにとっての魏徴(ぎちょう)たらんと自認しているが、そう思うのは本人だけである。

-おんな城主直虎感想あらすじ

右クリックのご使用はできません
目次