こんばんは、武者震之助です。
ノリノリで遠江を侵攻する武田信玄。
井伊谷から民が避難済みであると知った信玄は「ならば何も奪うまい。すべて焼き払ってしまえ!」と火を放つのでした。
先週のサブタイトルに
「なんだぁ、武田じゃなくて自分たちから火をつけただけじゃん」
とつっこんだ視聴者の顔面にいきなりきついパンチです。
武田軍団がおとなしいはずがありませんからねぇ。
南渓和尚は、ちゃっかり武田信玄のもとを訪れ
川名の隠し里には、近藤康用も逃げてきていました。
隠していた中野直之に少々ムッとしつつも、水に流して礼を言う近藤でした。
高瀬は井伊直虎から「あんなところで何をしていたのか?」と聞かれます。
なんとかごまかす高瀬。直虎たちに真相はいつわかるのでしょうか。
南渓和尚は信玄の本陣を訪れていました。
井伊の残党は武田に味方したいと考えている、と言いだす南渓。民百姓の逃散も、近藤を追い詰めるためだと続けるのは、どんな手を使ってでも井伊を再興したいからですね。
直虎にソノ気がない以上、虎松を連れ戻る気でしょうか。
南渓は、井伊の者は近藤の支配を望まない、井伊家を再興して安堵して欲しいと頼みこむのでした。
信玄もまんざらではない様子ですが……。
龍雲丸は直虎に言います。
高瀬の様子がおかしかった、死ぬ気に見えた、目を離すな、と。
直虎は政次の話していた「武田の間者説」を思い出します。
武田が強ければ井伊が 徳川が強ければ近藤が
その後、隠し里に届けられた書状には、近藤の首とひきかえに井伊家再興をする、という話が盛り込まれておりました。
近藤は当然「たばかられたか!」激怒します。
直虎は、これは策で、近藤の首を取る気はない、と力強く説明。
かつて直虎と小野政次がやっていたように、近藤と井伊で反目を装うのだ、と真意を伝えます。
要は、武田と徳川、そのときどきで強い方につきながら、大名の力関係に応じて難局を乗りきりたい、民百姓の暮らしを守りたいと訴えたのです。
図式にするとこんな感じですね。
◆武田が強い時→井伊
◆徳川が強い時→近藤
それぞれのシチュエーションに応じて、都合の良い方が井伊谷を治めるという案です。
「あいにく疑い深いたちでの」
しかし近藤にはあやしい話ですよね。
そもそも前回、井伊と小野の対立を装った結果、政次はあんなことになってしまったわけです(第33回)。
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『おんな城主 直虎』感想レビュー第33回「嫌われ政次の一生」
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ここは断られてしまいます。それはそうでしょう。そんな近藤でも、健気な高瀬は疑わないのですが。
武田は、借金のカタに高瀬を間者に仕立てていた
直虎は間者説を思い出し、高瀬の元へ向かいます。
ちょうど高瀬は、近藤に腰の薬を持って行くところ。直虎は自分にも分けてくれと言いますが、高瀬は断ります。
薬の入った椀をたたき落とす直虎。
「そなたは武田の間者か? 直親の娘というのは嘘だったのか!」
詰め寄られる高瀬。彼女は、直親の娘というのは真実だと言います。ではナゼ、近藤を殺そうとしたのかともうしますと、きちんと理由はありました。
母の死後、借金のために身を売るしかなくなった高瀬は、間者になれば借金を返すと武田に依頼された――と打ち明けるのです。汚い、流石武田汚い。
いやむしろ、直親……お前……契った女に養育費とか何も残さなかったと……?
そもそも相手が妊娠したことすら知らなかった?
お前さあぁ~~~もう! このスケコマシがぁああ!
「今、近藤殿を殺せば、母上のもとに井伊が戻ってくるではないですか!」
そう言いつのる高瀬を「左様なことを誰が頼んだ!」しかり飛ばす直虎。
そして抱きしめて、高瀬の話をもって聞いてやればよかったと反省。
「吾はもう井伊を再興しようとは思っておらん。だからもう物騒なことはするな。これからはただの娘として、ここにおればよい」
そう語りかける直虎。
普通の女の子でいられない高瀬を心から慈しんでいる様子です。
なんだこの戦闘民族 サイヤ人かよ……
南渓は信玄と、なかなかよい雰囲気で語り合っております。
南渓に「戦に飽きたり疲れたりしませんか?」と尋ねられる信玄。信玄は。
甲斐は山に囲まれた国で、ともかく隣に攻め込むしかなかった、疲れている暇もなかったしみじみ語ります。
なんだこの戦闘民族。サイヤ人かよ……。
さらに生まれ変わるなら何がいい?と尋ねられる信玄。
「わしは、そうじゃのう。お天道様がよいかのう。あちこちに睨みをきかせ、天地を調略し、どこもここも恵まれた土地とする」
「まことの天下布武にございますな」
信玄の天下取りの野望に、若干引き気味の南渓でした。
なんとなく、彼の来世は徳川将軍のような気もしますが。
家を焼かれても灰が肥料になってラッキー♪
直虎は高瀬の代わりに、近藤に薬を持って行きました。
近藤は直虎の頼みを聞くとここで返事をします。やっぱりそう悪い人ではないのですね。
武田は里を焼き払ったあと、西へと向かいました。
直虎は井伊の人々に里に戻れると告げ、頭を下げます。
たくましい民たちは「焼いたってことは灰が田畑に撒かれたから、かえってラッキー!」と強がります。
タフです。村の復興に盛り上がる井伊の民なのでした。方久とあやめの夫妻もラブラブっぷりを見せ付けています。
こうして井伊谷の復興が始まりました。
たくましく、まだ領主としての考えが残っている直虎。この逆境を生かして、武田に焼かれた他の里から人を呼び寄せるチャンスだと張り切っています。
そこで龍雲丸が堺の話を持ち出します。
中村屋も井伊谷まで来ていました。
「私は頭と堺に行く。頭と新しい暮らしをしてみたい」
「気賀に戻るのか?」
そう喜ぶ直虎ですが、中村屋は直虎と龍雲丸を迎えに来ているのです。
直虎は堺行きをスッカリ忘れていました。
復興の真っ最中なのに、去ってよいものかと気にしているのです。南渓はそんなことでは一生行けないぞ、と背中を押すのでした。
「よし、もう気にせん」
ところが肝心の龍雲丸が、直虎は残った方がよいのではないだろうかと言い出すのです。
井伊谷では直虎と龍雲丸が理想とした「盗み、奪わなくても生きていける土地」になりつつあるのではないか、と。
産業復興、民の啓蒙。
確かに井伊谷は理想を体現する土地になりつつあります。
「その先を見たくはねえのか」
直虎はにっこり笑い「見ずともよい。私は頭と堺に行く。頭と新しい暮らしをしてみたい」と返すのでした。
むしろ龍雲丸がとまどっています。
そこで龍雲丸は中村屋から聞いた堺の話をし出すのでした。
遊女の中に寿桂尼の顔を見た信玄が突如血を吐き!
その頃、徳川は武田の猛攻により遠江の城を奪われていました。
そんな中、笙を吹く空気の読めない今川氏真。
酒井忠次からあきれられても「おばば様の命日だから、好きな笙を吹きたい」と悪気はありません。
周囲の冷たい視線に気づかずに「おばば様型が助けに来てくれるかも」と透き通ったまなざしで言うのでした……ある意味大物、そしてとびきりチャーミングです。
一方の信玄は「三河を滅ぼし、このまま尾張まで攻め入って青二才の信長も大きな口を叩けんようにしてやるわ」と、ヒールの風格たっぷり。遊び女を寝所に呼び寄せ抱く余裕を見せます。
しかしこの信玄を待ち受けていたと語るひさという遊び女、何かがおかしいような。
「かわいいことを」
ふっと灯りを消すと、エロ親父そのものの声をあげつつ、女の顔を見る信玄。
「冥府よりお迎えに参りました」
なんとその顔は寿桂尼……。
信玄は悲鳴をあげ、突然血を吐いて倒れ、そのまま死亡してしまうのでした。
まさか氏真の笙でおばば様が冥府から蘇って助けに来たとか?
長いこと待ち受けていたというのは納得です。そりゃこの人が来たらショックで死んでしまう……。
南渓も猫のにゃんけいも、信玄の訃報に衝撃を受けます。
ここでにゃんけいが「ニャウッ!?」と驚きの声をあげたのが凄い。
「勝手について来るんじゃねえよ、ババア!」と心にもないことを……
いよいよ直虎と龍雲丸が出立という朝。
信玄の訃報を聞いたばかりの南渓も、見送りにやって来ます。
出立した直虎ですが、どこか上の空です。龍雲丸は「帰るんぞ!」と直虎を引っ張って行きます。
「勝手について来るんじゃねえよ、ババア! 前の男が忘れられなくいせに、迷惑なんだよ! そんなのうれしくもなんともねえよ。城も家もねえけどあんたはここの城主なんだよ。根っからそうなってんだよ。だからほれ、戻れ!」
龍雲丸はそう強い言葉で直虎を突き放します。
そうこうしているうちに転んでしまう直虎。慌てて駆け寄り、手をかける龍雲丸。
「今無理してから行かなくてもよ、やることやって終わってから来ればいいじゃねえか。待ってっから」
「その日など来るわけはないではないか。何も案ずることのない戦のない日など来るわけがないではないか。ここで行かなければ頭と生きる日など来ないではないか!」
「わからねえじゃねえか。あと十年、二十年でも」
それじゃあババアになってしまう、待っているわけがないと泣く直虎を抱きしめ、龍雲丸はさらに力を込めて言葉を紡ぎ出します。
「そんときぁ俺もジジイだ。待つって。あんたみてえな女が他にいるかよ」
奇妙でしたたかなおんな城主と、心のままに生きる盗賊
龍雲丸も、心からそう言っていたのでしょう。
しかし「ごまかすな」と返す直虎。
あと十年も、二十年も待てるわけがない。少し甘えるかのような、それでいて自分の判断を決めかけているかのような。
様々な感情が浮かび上がってくる彼女に対し、龍雲丸は更に続けるのです。
「あんたみてえな大人が他にいるかよ。普通の女なのに、そいつが何でか、兵一人使わず町を手に入れ、人一人殺さず戦を乗り切り、したたかに世を変えていくんだぞ。そんな女がどこにいるんだよ」
「頭……やはりな待たずともよい。頭にはやはり、心のままに生きて欲しい。なれど、あの約束だけは忘れんで欲しい。吾より先には死なぬ、と」
直虎はそうきっぱりと告げ、さよならのキスをしてから龍雲丸と別れるのでした。
さようなら、龍雲丸!
奇妙でしたたかなおんな城主と、心のままに生きる盗賊として、生きることを選びました。
それは互いに初対面の時と同じ、心ひかれた姿でした(第16回)。ある意味幸せな別れです。
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直虎は振り向きもせず、井伊谷に戻ってゆきます。
虎松たちが戻ってきたぞ、YAH YAH YAH
武田は、信玄の死によって勢いを失いました。
さて井伊はどちらに味方すべきか。悩ましいところです。
直之によれば、近藤は隠し里を出て、武田相手に野武士としてゲリラ活動をする息子の支援に向かったそうです。彼らしい武士としての生き方ですね。
そこに「袖にされました。未練たらたらのババアはうっとうしいだけだと」そう言いながら、直虎が井伊谷に帰って来ました。
家康は遠江西部を武田から奪還。井伊谷は再び徳川領になりました。
そして、天正2年(1574年)。
直親の十三回忌を執り行いたいと南渓が直虎に告げます。
しの、なつ、奥山六左衛門、亥之助。そして虎松が、龍潭寺に来るとのころです。
ここで小さなことではありますが、虎猫にゃんけいが引退、白黒ハチワレの仔猫になりました。
すっかり大きくなった虎松に、亡き直親の面影を見る直虎でした。
MVP:松下虎松
たくましく成長した井伊直親が戻って来た時も思いましたが、そのキラキラした笑顔だけでも「希望の星」という説得力がないといけません。
それがこのキラキラ感ですよ。
素晴らしい。
メイクの力もあるのでしょうが、虎松の面影を残しつつ、直親の爽やかさや「スケコマシ」的なチャラさもあるという。
しかも予告を見ると、さらに政次、しの、そして直虎のそれぞれの部分もあるようです。
これはもう「全部乗せ」ではないですか。すごいことになってきたぞ!
総評
第33回の小野政次刑死以来続いてきた、直虎どん底編も今週で終わりです。
この辛い時期を支えてくれた龍雲丸も無事に生きたまま退場し、次回へとつながってゆきます。
今回で出番が終わりという人も多い、お別れの回です。
あっさりと寿桂尼に地獄へと引きずられていった、信玄の最期には笑いながらも困惑しました。
出番はあまり多くなかった信玄ですが、存在感が強烈であっただけに、突然の死に驚かされた方も多いのでは?
近藤の武士としての生き方、直虎の身の処し方、傷つけようとしながら結局は傷つけない龍雲丸の別れ方。
それぞれの魅力が出ていました。
もう「ババア」と言われてしまうほどの直虎です。
龍雲丸はそういう若さではなく、彼女の生き方を愛していました。
兵を動かさずに城を手に入れ、戦わずして民を守る、そんな生き方が好きなんだと。
自分についてきたら、そんな唯一無二の女が魅力を失ってしまう、ということでしょうね。
政次も愛した美点を、彼もまた愛していました。
愛するがゆえの別れというのは、政次も彼も一緒ですね。
悲しいだけではないいくつもの別れを経て、いよいよ次章へ。
希望が芽を吹く、虎松→井伊直政の時代がいよいよ始まります!
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絵:霜月けい
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【参考】
NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』公式サイト(→link)
















