こんばんは、武者震之助です。
毎週にわたってレビューが批判的になり、サイトにご迷惑をおかけしているんじゃないか? と心配していたのですが、意外にも状況は真逆らしく、関連記事へのアクセスは悪くないようです。
ドラマの描写が西郷隆盛(吉之助)や島津斉彬、あるいは篤姫に偏っているせいなのか。
他の登場人物の経歴を調べたい視聴者さんが多いようで。
「毎回、主役が変わるようにアクセス急増するキャラがいます」
とのことです。ナルホド。
ただ、その一方で、早くもドラマから脱落してしまった読者さんもいるそうで……うーん、チョット複雑な心境……。
というわけで、今週も思うままに書かせていただきます。
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「一橋様と親密度をあげてこい!」
今日は、島津斉彬が西郷どんを「面白い」というところからスタートです。
やたらと褒め称えられる吉之助ですが、その説明が少ないので、どこかで補完して欲しいなぁ。
本当は、周囲が説明するようなものではなく、本人が行動で示すものなんですけどね。
斉彬はホメを続けます。
「一橋様と親しくなるとは面白い」
もう、このへん、無茶苦茶です。
本作は【身分制度がない】としか思えない平行宇宙ですので、もう、突っ込む方がバカみたいなのですが。
下級藩士が御三家(御三卿)で貴人に会っていたと知ったら、「無礼はなかったか?」と思わず心配してしまう場面ではないでしょうか。
ただでさえ西郷どんはいろいろアレですし。
斉彬からは
「よし、お前は一橋様と親密度をあげてこい!」
という新たなミッションをくだされます。
遊郭をウロついている御三家(御三卿)の貴人という時点で、藩や日本の未来を託してよいか、疑問になるところではあります。
前評判の高い一橋慶喜(徳川慶喜)様のはずですが。
篤姫宛の書状に書かれていたコトとは……
一方で篤姫は、今日も斉彬の子供相手に、こちらも西郷どんの魅力を語ります。
出てくる度に西郷どんの魅力をせっせとプレゼンしてくる篤姫様。
島津斉彬を土俵で投げ飛ばした相撲の印象だけで、ずっとホメ続けるんですかね。
その篤姫に、島津斉彬の妻・喜久が書状を渡します。
先週出てきた水戸藩邸といい、この薩摩藩邸といい、使用人ゼロでフランクに貴人が出てきます。
軽いんですよね……。雄藩の家にしては、ちょっと勘弁して欲しいスケール感の小ささ。
5年前の『八重の桜』の時は、VFXを駆使して、狭いセットを広く見えるように効果を出しておりました。
どうして今年はやらないんでしょう。
それ以前に使用人も出さないというのは何事だ。
細かいことにケチをつけるな、と思われるかもしれませんが、大勢の下々の者がいるからこそ浮かび上がってくる大名家の重圧というものもありましょう。
しかもこの書状の中身が、島津忠剛(しまづただたけ)死去ということで2度ビックリ。
篤姫が知る前に藩で把握しているのが当たり前だと思うのです。
愉快な仲間たちは品川宿ばかり
西郷どんはまた品川宿をウロウロしています。
ヒー様探索だそうで。
愉快な郷中フレンズの大山どんと有村どんも一緒だよ。
何が辛いって、大山格之助や有村俊斎の人間性が見えないまま、彼らの下半身事情ばかりに詳しくなっていくところです……。
こんな調子ですと、この先、寺田屋事件で殺陣のシーンがあった場合でも、
『えっ! 大山が強いって意外www ずっと女遊びしてたのにwww』
なんてバカげた印象が前面に来かねません。
せっかくの北村有起哉さんがもったいないなぁ。
品川宿の磯田屋には、八頭身美女のおタマさんがいます。
◆【西郷どん】田中道子、大河ドラマ初出演 時代劇のアドリブに苦戦(→link)
ちなみに昔は、あまりに背が高い、スタイルのよい女優は、時代劇ですと敬遠されたそうです。
朝の連続テレビ小説『ひよっこ』でもそんな話が出てきましたが。
スタイル以前に、こういうモデル、あるいはお笑い芸人といった別分野出身のキャスティングをする大河ドラマは危険ではないかと思います。
『花燃ゆ』でも同様のキャスティングがありました。
ニュースが途切れないようにして、話題性を稼ぐ戦略が、ドラマファンにとってマイナスであることは言うまでもないでしょう。
小手先の技に逃げる大河は、中身をおろそかにしがちです。
国が一大事を迎えているのに自分だけ何してんの!
さて、ここでヒー様再登場。
あやしいとか面白いとか、そういう意見もあります。それはそれでいいんです。
問題は、劇中で国が一大事を迎えているというところ。
自分の父親も幕政でいろいろと厳しい目にあっている最中に、品川宿で女に囲まれている一橋慶喜って、どうなんでしょう。
敢えて言おう、カスであると。
西郷どんとヒー様のやりとりは、若い男に聞かれているようです。
まぁ、筒抜けですわな。だって大声で、
「やはりあなた様は!」
「うるさいぞ西郷吉之助! 俺は将軍にはならん、迷惑している!」
とか堂々と喋っていますからね。
どうして斉彬は、こんな防諜概念もないスットコドッコイの西郷どんを、よりにもよって自身の懐刀のようなスパイにしたのでしょう。
ぜんぶダダ漏れやんけ。
と、ここで。
「お医者様はいませんか~!」
という声が聞こえてきました。
胸が苦しかったおタマちゃんが倒れたそうです。
瀉血って効果ないはずなんですが
ピクピクと苦しそうタマに、瀉血処理をする謎の医者。
タマはすぐに危機から救われます。
瀉血というのはドラマで見た通り【血を抜く】当時の医療技術の一つですが、実はあんまり効果がありません。
効果が期待できないというのは、当時の医者でも感じていたわけで。
むしろヤブ医者がすぐにやるイメージです。
もしも、この人物の有能さを演出するのであれば、よりにもよって瀉血は選ばないなぁ。
瀉血で劇的に治る症状なんて、ないんですよ。
ドヤ顔で残念な治療法をするこの男、大変残念な人ですorz
いや、それ以前に。
この謎の医者の行動は、矛盾だらけです。
彼は身分を隠している。
それならば、西洋由来の医療行為という、正体に関わる特技を披露したならさっさと立ち去るべきです。
それなのにドヤ顔。
しかも名前を聞かれて、気取って「名乗るわけにはいかない」みたいなことを言う。
ダサい……というか、それって自らを『あやしいです』と申告しているようなものでは?
なぜ偽名を使わん? 使え、偽名を!
というか、身分がバレバレの短刀を持ち歩く西郷どんも駄目だし。
そもそも西郷どん、堂々と名乗っているし。
どいつもこいつも、全く忍(しの)んじゃいない!
ニンジャスレイヤーのニンジャか!
篤姫が行方不明!? セキュリティ、どうなってるの?
斉彬は、そんなドン臭いスパイ西郷どんの報告を受けます。
スパイ時のドタバタっぷりがひどいせいか、吉之助を信用して起用している斉彬まで残念な人に見えかねません。
ハッキリ言いましょう。
品川宿でうろちょろしている慶喜なんて、将軍候補として担いだら駄目でしょ。
そこへ、急な知らせが届きます。
篤姫が、増上寺に向かう途中で行方不明になったそうです。
第1話、子供時代の吉之助たちがお菓子を盗もうとして島津邸宅に入って時点で諦めていたんですけど、薩摩のセキュリティ、ガバガバ過ぎて、もう……。
西郷どんは篤姫を探し回るわけですが、たった一人でモタモタと聞いて回るばかり。
町の中では
「姫様を探している」
とか平気で言ってしまうし。
まれに見る無能な西郷どんじゃないですか。
ただ、篤姫と着物を交換した町娘との会話はちょっと面白かったです。
町民や農民でも、武家に対してぞんざいな口調が気になったのですが……まあ身分制度がない世界なんでしょう。
なんと申しましょうか、毎週、西郷どんの【下手なおつかい】を見させられている気分です。
あっちへドタバタ、こっちへドタバタ。
不器用な西郷どん。
まさか西南戦争でも笑顔で走っていませんよね……。
篤姫と父親の関係は……
篤姫は浜辺で佇んでいるところを見つかります。
わざわざ着物を取り替えたわりには、すぐ見つかる場所にいる篤姫。
父の死がショックなんだそうです。
篤姫と父親の関係は、大河ドラマ『篤姫』を思い出して、各自脳内補完してください。
一体、こちらの篤姫は何がしたいんですかね。
真面目に父親の死を悼みたいなら、ちゃんと増上寺に参拝して、線香上げるなり、読経するなり、写経するなり、弔いをすればよい。
海が見たいからと大勢に迷惑をかけて、
「父上~父上ぇ~~~もう一度だけでも父上にあいた~い~~~」
と絶叫するためにここに来たんですか。あまりに幼稚ではありませんか?
父の死がショックだということを差し引いても、本当に残念な姫様だと思います。
こんなことをしたら、警備担当をしていた者の処分は免れません。
自分の感情を吐露するためだけに、迷惑をかけまくる無責任な人です。
江戸時代のお姫様というのは、大変な知性と教養の持ち主です。
幼いうちに亡くなってしまったお姫様の辞世を読んだことがありますが、大変しっかりしていて、貴人とはこういうものか、と感心したものです。
篤姫の言動は、せいぜい平成の小学校高学年レベルですね。
まだ幼い斉彬の子とさして変わらないように見えます。
これは鹿児島から出てきたばかりだから、という設定だとしても何か違和感が拭えません。
こんだけ切り替え早いんだから海に来なくても……
西郷どんは「こん海は薩摩につながっておいもす」とか、ベタな台詞を吐いてホメられます。
この調子で篤姫が江戸城を脱出して、江戸開城の打ち合わせをしたり、御礼を言ったりとか、かましそう……。
勝海舟との会談が2分、篤姫とのビーチデート15分なんて配分になったりして。
しかも理解できないのが、あれだけ泣き叫んでいた篤姫が嬉しそうに笑って、
「これは我らだけの秘め事じゃ」
とかニコニコしているところ。
切り替え早いっていうレベルじゃない。
西郷相手にトキめいているのであれば、本当に残念すぎるお姫様になってしまいます。美しいのに。
それにしても、コーラス入りのBGMをかけながら、ビーチサイドで叫ぶという、昭和の青春ドラマ感あふれる演出は……『ひよっこ』みたいに敢えて狙っているのであればよいのですが、本作は何がしたいのでしょうか。
あと、親が死んで悲しいね、と海辺でアピールする場面はついこの前見ました。
本作って何度も何度も似たような事を繰り返しますね。
まさかのネタ切れ?
というか面倒になってアイデアを放棄しちゃってる気がしてしまいます。でなければ、優秀であるハズの脚本家さんがおかしい……。
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