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【金瓶梅】
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エロパロ作品が中国文学史に残る理由
なぜ文学史にそんなエロパロが残されているのか。
当然の疑問でありましょう。
しかし実はこの作品、中国文学史においてかなり画期的な存在なのであります。
『三国志演義』、『西遊記』、『水滸伝』といったそれまでの作品は、講釈師画語り継いできた内容を小説家したものでした。
いわばドラマのノベライズですね。
ところが本作は、講釈ベースではなく筆者がはじめから小説として執筆した長編作品であるのです。
中国文学史において、画期的な転換点でした。
そしてこれだけ有名であるにも関わらず、いや有名であればこそ、本書はしばしば発禁対象とされました。
露骨な性や贈収賄描写が問題とされたのでしょう。
そのため他の作品と比較して研究は遅れ、限られた人しか読めない作品でもありました。
ところが、です。
腐敗した描写があればこそ、世相を鋭く批判する作品にもなりえます。
「その時代版『金瓶梅』」を描けば作品は腐敗しきった世相を皮肉り告発する内容になるのです。
腐敗を暴く本作の精神は、どの世相でも斬るだけの鋭さを秘めています。
ハーレムにいる個性豊かなヒロインたち
武松を追い払い、収賄で犯罪を隠蔽。いっぱしのパリピとなった西門慶はパーッと派手に遊びまくります。
彼の家はちょっとしたハーレムです。
色っぽいヒロインがずらりと居なければ話になりません。
このヒロインの描き分けがこれまた見事なんですな。
まずはメインの三人。タイトルにもなった金瓶梅からです。
潘金蓮:メインヒロイン。美人で気が強く、嫉妬深い。周囲に埋没しないメインヒロインにふさわしい存在感
李瓶児:病弱でおとなしく、儚げなヒロイン。スレンダータイプ
龐春梅:潘金蓮の侍女。男といるときより、主人に忠誠を尽くしている時の方が生き生きとして見える。実はプレイヤーの攻略キャラにならないヒロイン
呉月娘:西門慶の正妻。正妻のプライドがあり、常にお高くとまった優等生タイプ
李嬌児:元は遊郭の歌手。グラマータイプ。しっかり者で冷静なタイプ
孟玉楼:中肉中背で少しそばかすがある。性格に嫌味のないサブヒロインタイプ
この他にもたくさんヒロインは出てきますが、どれもさりげなく描き分けがしてあって、そのままギャルゲーになりそう。
しかも妄想ではなく、実体験に基づいているような堅実さがあります。
こりゃ、作者は相当遊んでいたな、と勘ぐりたくなるレベルです。
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