こちらは2ページ目になります。
1ページ目から読む場合は
【グリーンジャケット】
をクリックお願いします。
お好きな項目に飛べる目次
お好きな項目に飛べる目次
半島戦争で活躍する「グリーンジャケット」
1809年、イベリア半島に戦禍が及びました。
半島戦争の始まりです。
この戦いに参戦したイギリス軍は、ついに宿敵フランスと陸上で戦うことになりました。
第95連隊他兵士を率いたムーアもフランス軍と対峙。
フランスのニコラ=ジャン・ド・デュ・スールト元帥率いる軍に追われ、圧倒的な不利の中で撤退します。
中でも機動力を生かしたユサール(軽騎兵)の威力は圧倒的で、多くのイギリス兵が餌食となりました。
撤退戦を見事に指揮したムーアですが、敵の砲弾が命中、戦傷死してしまいます。
一方、総大将を討ち取り、勝利したフランス軍も、素直に喜べない不気味な兆候がいくつかありました。
ありえない距離から、コルベール将軍が狙撃されて斃れたのです。
まぐれ当たりではない証拠に、二発目の銃弾は横にいた将軍副官に命中しました。
トーマス・プランケットという、第95連隊所属の狙撃兵が放った銃弾でした。
プランケットの射程は、マスケット銃の80メートルはもちろん、ライフル銃の200-300メートルという射程をさらに越えるものだったのです。
コルーニャ撤退戦のあとも、第95連隊は半島戦争を転戦。
名将ウェリントン公爵アーサー・ウェルズリーの快進撃にも大きく貢献します。
彼らの、突如、予想もしない方向から飛んでくる銃弾は、フランス軍にとって恐怖そのものでした。
正確な狙撃は将官をなぎ倒し、指揮能力を奪ってゆきます。
1815年、ナポレオンにとどめをさしたワーテルローの戦いまで、グリーンジャケットの狙撃手たちは活躍します。
「訓練された狙撃兵というのは大変手強いものである」
そう世界に知らしめたのは、彼らの功績あってのものでした。
日本だと幸村レベル?大人気の第95ライフル連隊
第95ライフル連隊は、イギリス人にとってあこがれの対象であり、高い人気を誇ります。当時の装備で再現を行う人もいるほど(95th-rifles)。
人気となる要素はたくさんあります。
通常の歩兵とは異なる緑色の軍服。日本人にとっての「赤備え」のようなプレミア感があるうえに、デザインがシブいんですね。
更には、戦場での活躍ぶりがすごい。
ナポレオンを破った半島戦争やワーテルローでの勝利はイギリス人にとって誇らしいものですが、その中でも切り札として活躍したのがグリーンジャケットでした。
そして、何といってもフィクションでの人気作品が多い。
20世紀初頭、作家セシル・スコット・フォレスターは、狙撃手ドッドが主人公の『フランス人に死を』を発表しました。
さらに90年代になると、人気歴史作家バーナード・コーンウェルの狙撃手シャープを主人公とした『炎の英雄シャープ』シリーズが大人気を博します。
貧しい家の出である主人公が、ウェリントン公を救出したことをきっかけに出世し、イベリア半島からワーテルローまで転戦してゆく物語。
シャープシリーズはテレビドラマ化もされ、有名俳優ショーン・ビーンが主役をつとめました。
イギリスでは彼の出世作。
ドラマ放映当時、ショーン・ビーンは「全イギリス人の恋人」のような扱いだったとか。
英国内でのモテ要素を色々と見ていると、日本人にとっての真田幸村レベルの鉄板コンテンツかもしれません。
真田信繁(幸村)は本当にドラマのような生涯を駆け抜けたのか?最新研究からの考察
続きを見る
第95連隊は、ナポレオン戦争もののゲームでも、人気ユニットとして登場します。
『炎の英雄シャープ』は日本語化、配信もされています。
興味のある方は是非ご覧ください。
ショーン・ビーンといえば作中でよく死ぬことで知られた俳優ですが、このシリーズでは死にませんよ!
あわせて読みたい関連記事
イギリスの開発した「トンデモ兵器」の数々~あまりにマヌケで脱力してしまう
続きを見る
ネルソン提督の英海軍は世界最強~そのカリスマには男も女も惚れてまうやろ!
続きを見る
海賊行為で世界を制覇~イギリス海軍の歴史が凄まじくてガクブルです
続きを見る
グレンコーの虐殺が超凶悪!安心させて殲滅するレッド・ウェディングの元ネタ
続きを見る
ドイツ兵捕虜が映画さながらに大脱走! 第二次世界大戦末期に起きたホントの話
続きを見る
百年戦争はなぜそんな長期間も続いたのか? 英仏の複雑な関係と歴史まとめ
続きを見る
人がゴミのようだ!った英国「救貧法」地獄のブラック労働とは?
続きを見る
文:小檜山青
※著者の関連noteはこちらから!(→link)
【参考】
warlordgames.com(→link)
Rifle_Brigade_(The_Prince_Consort%27s_Own)/wikipedia
History_of_British_light_infantry/wikipedia