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【廃兵院から始まったフランス革命】
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球戯場の誓い
第三身分の議員は「それなら近くの球戯場に集まって、ひとまず団結しよう」と考え、一つ所に集まって誓いを立てます。
絵画でも有名な「球戯場の誓い」です。
「テニスコートの誓い」とも呼ばれますが、厳密にいえばこの「球戯」と現代のテニスは異なるため、意訳といえます。
彼らはあくまで平和的に動いていたのですが、王と特権階級側はこれを武力で制圧しようとするわ、民衆の希望とも呼べる立ち位置だったネッケルを罷免してしまうわで、一般市民の怒りは高まる一方。
関所のような役割としていたパリ市の門が市民によって焼き討ちされたり、武器を買い集めたりと、物騒な状況が続きました。
そして一向に状況が良くならない中で民衆の怒りがぶつけられたのが、廃兵院とバスティーユだった……というわけです。
フランス革命はこの後も「非常にややこしい上に死者が多発する」という経過をたどります。
いくつか考えられる理由を振り返ってみましょう。
・民衆が作った議会があった
・議会は当初立憲君主制を目指していた
・しかし議会が問題を解決する前に一般市民が我慢しきれず暴動に出た
・その矛先が王室に向いている状態で国王一家が亡命未遂事件(ヴァレンヌ事件)を起こしたため、一気に共和制への移行が支持されるようになった
・ルイ16世とマリー・アントワネット処刑により、周りの王政国家が「ウチでまで革命が起きたらたまらん」とフランスに攻め込んだ
・「やられる前にやれ」&「そろそろ特権階級たちが民衆に復讐してくるに違いない」(ほぼデマ)という価値観で対外戦争だけでなくフランス人同士での虐殺が始まった
・フランス国内で徴兵などを巡り「都市の革命政府」vs「地方の農村部」という対立もあった
前述の通り、王室もこれまで軍を使って民衆を威圧してきたので、
「何か起きそうなら武力で対抗するしかない」
という価値観が染み付いてしまっていたのでしょう。
この辺は、かの名作「ベルサイユのばら」の後半を読むとものすごくわかりやすいです。
革命中はそれまで存在していたいくつもの対立が複雑に絡み合ったため、殺害された人は旧特権階級(聖職者・貴族)だけでなく、それと同じくらい職人や商人などが多かったともいわれています。
商人の中にはあくどい人もいたでしょうけれども、職人を殺したら一般人の生活にも悪影響がありそうなものですけれどね。
その辺のパニックについては日本語で「大恐怖」と呼ばれています。フランス語の”Grande Peur(グラン・プール)”のほぼ直訳なのですが、「大混乱」とか「大擾乱」のほうが正しい気がしますね。
現在は建国記念日扱い
それでもこの革命はスバラシイということで、現在フランス国歌になっている『ラ・マルセイエーズ』が作られるなど、文化的な影響も残しています。
歌だけでなく、建国記念の日にも等しいということで7月14日は”革命記念日”と呼ばれていて、パリその他で盛大なお祭りになっているようですね。
各旅行会社でもツアーが組まれていますし、ここを狙ってフランス旅行をする人も多いとか。
ルーヴル美術館やオペラ・バスティーユ(劇場)が無料になったりしますし。
アメリカ独立記念日は商業イベント化しているきらいがあるそうですが、フランスの革命記念日はもう少し国家的なお祝いの意味が残っています。
軍事パレードだったり、消防士がダンスを披露するなど公務員が関わっているのですから、立派な国家イベントですよね。
なんで消防士なのかというと、あちらでは「カッコイイ職業」として認識されているからなのだそうで。江戸時代の日本で火消しがヒーローだったのと同じ感覚なんでしょうかね。
筋肉美を披露するため……ではないと思いますが、消防士のカレンダーとかポスターというのは欧米圏各国で作られているようですので、フランスだけに限った話でもないようです。
また、ロードレースで有名なツール・ド・フランスがこの日を挟んで開催されているので、フランス出身の選手が特に気合が入れる日でもあるのだとか。
ちなみに、廃兵院にはナポレオン1世とその息子・2世の棺が安置されています。
フランス革命が始まった場所と、それを収束させた英雄の墓所が同じというのはなんだか感慨深いというか、困惑するというか。
他にもナポレオンの親族や第一・二次大戦時の将軍のお墓もあるので、併せて訪れるのも一興かもしれません。
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長月七紀・記
【参考】
福井憲彦『教養としての「フランス史」の読み方』(→amazon)
柴田三千雄『フランス史10講』(→amazon)