こんばんは、武者震之助です。
戦国版DASH村のような内政パートから一転、今週は人間ドラマ中心のようです。
元ネタはフランス映画という、なかなか凝った回の今週です。
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『おんな城主 直虎 完全版 第壱集 [Blu-ray]』(→amazon)
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直虎の味方になった中野直之がたのもしく
井伊直虎の鉄砲制作が小野政次に嗅ぎつけられ、謀叛の疑いがあるのではないか、と言われたのが今週。直虎は後見を降りることになるのか、というところからスタートします。
政次の態度に中野直之は激怒。
なんとか直虎や奥村六左衛門におさえつけられ、なだめられたものの、
「殿に手を掛けけようとしてみろ、その場で首が飛ぶぞ……!」
そう脅しつけます。キャンキャン吼えていた小型犬から、すっかり頼りになる番犬に変貌しましたね。反発していた頃はあまり感じなかったのですが、矢本悠馬さんは声がよいので、凄むとびしっと決まります。
直虎が政次らに駿府に向かったあと、瀬戸方久は五平が鉄砲を完成させていないことに失望します。
台座部分がどうしても完成しないそうです。これじゃ儲からないよ、投資した意味ないじゃん、というわけです。直虎を心配しているわけではありません。
ところがすぐにあることに気がつき、その場を立ち去ります。
六左衛門は直虎のことを南渓和尚に相談に行きます。
南渓は火縄銃を預けて欲しいと言うのですが、方久が既に持ち去ったあとでした。
「流石、銭の犬じゃなあ」
そう笑う南渓。どうやら方久と同じことを考えていたようです。
寿桂尼が倒れて氏真も直虎もピンチ!?
道中直虎は己の脇の甘さを反省します。
寿桂尼ならば話が通じるかもしれない、と直虎は考えているわけですが、その寿桂尼は危篤でもはや明日をも知れぬ命なのです。
寿桂尼の容態に動揺する駿府の今川氏真。その氏真の元に方久が火縄銃持参で面会に来ました。
銭の犬と自己紹介し、犬の鳴き真似を披露する方久。この時代の人にとって、物まね芸というのは現代人が想像する以上に面白い隠し芸です。方久の物まねの面白さに氏真はすっかり心を掴まれたようですが……。
駿府に着いた直虎は、政次から寿桂尼が危篤であると聞かされ衝撃を受けます。
何故伝えてくれなかったと怒る直虎に、
「私も種子島(火縄銃)のことを知らされていませんし」
そう嫌味を返す政次。その時、直虎らは方久の姿を見つけます。
なんと方久は、火縄銃を氏真に売りつけていたのです。
開発は今川のために直虎の指示で行った、火縄銃と五平ごと売りつけてきた、謀叛の嫌疑などもうない、と得意げに言う方久。彼の機転と嗅覚で直虎は救われました。
政次が氏真に面会すると、氏真はすっかり上機嫌で「あの尼虎もなかなか可愛げがある」とまで言います。
直虎を後見からおろすという政次はすっかり当てが外れたようです。
信玄が息子・義信を幽閉して今川にも激震が走る
そこへ家臣がやって来て、氏真に急を告げます。
武田義信が謀叛の疑いによって父・信玄(母は三条夫人)によって幽閉されてしまった、というのです。義信の妻は氏真の妹(嶺松院)。氏真と嶺松院の母・定恵院は信玄の姉ですので、いとこ同士の婚姻ということになります。それだけ今川と武田は血縁で結ばれているわけです。
れにも関わらず、武田は今川を見限り、同盟を白紙に戻す気になったということ。これは衝撃的なニュースです。
病床でもはや命が尽きようとしている寿桂尼に、氏真は義信が幽閉されてしまった、今後どうしたらいいのですか、と訴えます。
すると寿桂尼の眼が光を取り戻します。
「武田が……なんじゃと? 何をしたと?」
ここで地図が映し出されます。
わかってはいますが、改めて武田領の広大さに圧倒されます。
武田、北条、そして松平に圧迫されてゆく今川家。
思えば桶狭間の戦い以来(第9回)、本作は内政中心でした。
直虎が綿花栽培や人集めに奔走しいきいきと活動していた頃、狭い井伊谷の外ではこんなに勢力図が書き換えられていたのです。この周辺情勢からシャットアウトされて話を進行させいたことが、武田信玄の不気味さをかえって際立たせている気がします。
本作では桶狭間では織田信長の姿が見えず、キャストすら伏せられていました。信玄も出てこないはずがないとは思いますが、未だにキャスト情報が出てきません。
キャスト情報を出さない、信玄がどんな人物か視聴者にすら見せない姿勢が、不気味さを強めている気がします。この状況を起こしているのはあくまで人であるのに、存在が見えない、しかも影響が大きすぎるため、まるで信玄は天災であるかのようにすら思えます。
なつだけは気づいていた、小野政次の真意
今川の情勢をそっと聞いていた政次。自宅に戻ってからも政治情勢で頭がいっぱいのようです。
疲れた様子でぼんやりとした政次を気遣う義妹のなつ。優しい気遣いで政次を癒します。
なつと甥の亥之助にと駿府土産の菓子を渡す政次。彼の優しさが垣間見られる貴重な場面です。
井伊の屋敷では、直虎と家臣たちを前に方久が己の手柄を自慢げに吹聴しています。方久は氏真に技術提携を持ちかけていたのでした。技術を提供するから、人と鉄や原材料を融通して大量生産の道筋をつけて欲しい、と条件を提示したのです。
これは確かに双方にとってよい話です。先週懸念材料として示された火薬や弾が不足するという井伊の苦しい事情もこれで補えるわけです。方久は六左衛門から南渓も同じ策を考えていたと聞かされ、ますます得意になります。
年代からして、また情報や物資ルートからして井伊谷より駿府に鉄砲が伝わるのが遅いというのは考えられないのですが、それだけ氏真がぼんやりしているということかもしれません。氏真は悪い人物でも愚かでもない、とは思うんですけどね。尾上松也さんの愛嬌のある演技が憎めないですし。
兵法書でお馴染み、信玄も愛読したという『孫子』
直虎は南渓に、家臣の助けばかりで何とかなっていて情け無いと訴えます。
主君に力がなくとも、家臣の力を生かすのであれば、それはそれとしてよいことではありますけれどもね。
南渓はそこで直虎に、『孫子』を読むように薦めます。
南渓は直虎の個性重視で、型にはめたくないから今まで薦めなかったのだとか。ちゃんと中国渡来の書物を保管しているあたり、龍潭寺はなかなかしっかりしています。智の宝庫ですね。
「にゃんけい」こと南渓の愛猫も、愛嬌を振りまくだけではなく、書物を鼠から守っているのでしょう。
直之は『孫子』を読む直虎を面白がっています。
彼はおそらく既に読んでいるはずです。直之は「あまり考えずに気に入った言葉を拾うのがいいですよ」と、なかなか実用的なアドバイスをします。
直虎と祐椿尼のもとには、なつがやって来ます。アンチ政次だらけの中で唯一政次を支持するなつを、直虎は不思議がります。
あんな乗っ取り企み野郎戸同居なんてよくやるなあと不思議がる直虎。
そんな直虎に対しなつは彼を庇い、
「夜道を照らしてくれる秋の月ような人にございます」
そう言うのでした。
あまり義兄を悪く思わないでと続けたなつですが、ここではっと何かに気づいて、「今のは忘れて下さい」と土産を差しだし、帰ってゆきます。
なつが帰ったあと、直虎と祐椿尼とたけの三人で政次について語り合います。暗に「あんな性格のいいなつがよく根性の腐りきった政次なんか庇うよねえ」と語る直虎たち。ここで祐椿尼は「なぜ政次は妻子がいないのでしょう? 家を乗っ取りたいと思っているのに」と疑念を抱きます。
あぁ、ついに政次の狙いがバレ始めました。
こんなに早くわかってしまうとは。プロット的に意外でした。まぁ、政次の言動を観察すればバレそうなものですが。
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