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【伊達忠宗】
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総検地と共に買米制を導入
難しい引き継ぎの時期を無事に乗り切った後、藩主となって四年目の寛永十七年(1640年)から、四年かけて領内の総検地を行っています。
仙台藩と他藩で土地の単位が異なっていたため、全国基準に合わせる面もありました。
それから、検地に伴って「買米制」を始めています。
「領内で余った米は、一度藩が買い上げて江戸で売り、その利益を農民にも配分する」というものです。
少なくとも忠宗の代には非強制的・先払いだったため、農民の懐を潤わせ、さらに新田開発へのやる気を出させる……という効果をもたらし、仙台藩は豊かになっていきます。
人を動かすのは「やりがい」という名の妄想ではなく、”生活に困らず安心できるだけの”お金なんですよね(´・ω・`)
食うや食わずの収入では、結婚も子供を産み育てることもできませんし、そもそも前向きに生きていくことすら難しいのですから。
「領民の雇用創出」と「藩の収入確保」
忠宗は、建築も熱心に行いました。
仙台城に二の丸を作り、政務や日常生活の場にしています。
本丸はもちろんありましたが、政宗も生前「山城はこれから不便になる」と言っていたことがあるので、その遺志を反映したものでしょうかね。
忠宗以降の仙台藩主は、基本的に二の丸で生活と仕事をしていました。
他にも父を祀る瑞鳳殿(仙台市青葉区)・瑞鳳寺(同)、白山神社(仙台市若林区)、仙台東照宮(仙台市青葉区)など、多くの寺社を造営しています。
白山神社は古くから地元で信仰されていた神社ですし、東照宮はもちろん家康を祀っています。
父・地元・幕府をまんべんなく尊重する姿勢を見せた、ともいえますね。
忠宗の政策からすると、「領民の雇用創出」と「藩の収入確保」を常に念頭に置いていたのでしょう。当たり前といえば当たり前ですが、これができない大名はわんさかいました。
仙台は政宗の代に5万人ほどが住む都市になっており、スペイン領メキシコの大使であるセバスティアン・ビスカイノに「江戸と同じくらいの規模だが、建物は仙台のほうが素晴らしい」と評されていたほどです。
江戸は急激な人口増で「とりあえず住めるところをたくさん作れ!」という地域もあったでしょうから、大名屋敷と庶民街の落差が大きく見えたのかもしれませんが。
つまり、忠宗は代替わり早々(お膝元だけでも)5万人を食わせていくための工夫をしなければならなかったことになるわけです。
そりゃ収入と雇用創出を大事にするわけですよね。
母の実家(田村家)を復活させ
また、政宗の晩年にあたる慶長年間には、東北でいくつかの大きな地震が起きていました。
慶長十六年(1611年)の慶長三陸地震では、仙台藩の領内で数千単位の死者が出たとされています。
地震大国・日本では過去に何度の大地震が起きたか?地震の歴史まとめ
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忠宗が藩主になった頃には落ち着いていたでしょうが、父や家臣たちから当時のことを聞いたりして「戦はなくなったが、これからは別の備えが必要だ」と感じていたのかもしれませんね。
異母兄・秀宗が江戸城で上座に座ったときも忠宗は抗議しておりませんし、かなり空気が読めるというか、背後や前後関係を考えて行動する人という感じがします。
また、母・愛姫の「私の実家(田村家)をどうか再興させてください」という願いが父の代に叶わなかったことを気に留め、三男・宗良に田村氏を名乗らせて再興させました。
これだけデキたトーチャンの息子なのに、なぜ息子の伊達綱宗があんな大騒動(伊達騒動)を引き起こしたボンボンになってしまったのか、不思議でなりません……。
綱宗は六男でしたから、藩主としての心構えなどを教育されていなかったんですかね。そういうときに限って家督がまわってくるのですから、
詳細は、以下の別記事にございますので、よろしければ併せてご覧ください。
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長月 七紀・記
【参考】
国史大辞典
佐藤憲一『伊達政宗謎解き散歩 (新人物文庫)』(→amazon)
佐藤憲一『伊達政宗の手紙 (新潮選書)』(→amazon)
伊達忠宗/Wikipedia