テレビのクイズ番組でも歴史戦国ネタは鉄板。
年末には大きな城イベントが横浜で開催されるようになり、
◆『お城EXPO2020~パシフィコ横浜』(→link)
コロナ騒動が治まれば、外国からのインバウンドで再び各地の城郭や城址は賑わうことでしょう。
もちろん日本国内で、お城に興味を持ち始めた方もいらっしゃるはずです。
問題は、そのときお伴にするガイドブックではありませんか?
一般の旅行雑誌では何だか物足りない。かといって、お堅い歴史本は入り込めない……。
そんな方にオススメなのが『日本の城事典(ナツメ社)』(→amazon)です。
本書を監修しているのは、大河ドラマ『真田丸』の城郭考証を担うなど、一般の人にもわかりやすい解説でお馴染みの奈良大学・千田嘉博教授。
買おうか迷っている方もいるかと思いますが、敢えて背中を押させていただきます。
これはお城初心者にもマストバイの一冊です!!
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まるで千田先生と城巡りしているみたい
本書を開くと、まず千田先生が城歩きをしています。
『一体何を言っているんだ?』と思いますよね。これが本当なのです。
モンベルのジャケットを着用、しっかりと防寒対策をした千田先生が、笑顔で松本城を指さす写真がどーんとあるんですよ。
んで、フキダシは、“Lets’ go!”
まるで先生と一緒に城をめぐるように、ページをめくると城の説明が始まります。
親しみやすいフォントに、ふりがなもしっかりとついていて、初心者でもわかりやすい作りがポイント。親切な設計です。
では内容が浅いのかな、と思うとそれは間違い。
城マニアも納得の、細かい解説が読めます。
例えば石垣の色が違うなんてところは、慣れてない人ですと「そんなものか」と素通りしてしまいがち。
そういうポイントを千田先生は、付け足した所だと分析して解説します。
カラー写真と図でポイントがよくわかるのがいいですね。
巻頭カラーページで取り上げられている上田城は、本丸跡に何も残っていません。
それでも先生の解説で、そこに何があったか想像できるようになるのです。
城というのはそこにある遺構だけを見るのではなく、その先へ想像力を膨らませてエキサイティングを味わう場所なんですね。
デザインも秀逸 痒いところに手が届く
では、具体的に中身へ。まずはパッと見て秀逸な点をあげておきますと……。
レイアウト(デザイン)がイイ!
『なんじゃそれ?』と思われるかもしれませんが、これ、実は大事なことでして。一冊の本は執筆者だけで出来上がるものではありません。
①著者が書いた文字原稿
②写真やイラスト
このセットをデザイナーに渡し、執筆者や監修者、担当編集なども含めて「どうすれば見やすくなるか?」と色々意見を交わしつつ、文章や絵を配置するわけです。
特にお城本は、これが難しい。
一枚の写真に多くの情報が詰まっており、何をどう説明すればよいのか。そのバランスに腐心するんですね。
本書は、それが直感的にわかる構成となっていて、初心者にも優しいのです。
たとえば、城の仕組みの中には、攻防を担う足軽たちが出てくるのですが、彼らが城の仕掛けを工夫して敵を防ぐ様子や、あるいは罠にかかって苦戦する様子が、デフォルメされて描かれていたり。
お城の仕組みを文字だけで理解しようとしても「映像が浮かばない……」とか「実際どういう仕組なの……」という疑問が先に立って、なかなか呑み込めませんよね?
痒いところに手が届く――本作をそう評したのは、まさにそういったところをカバーしてくれている点であります。
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