殺し間

何処かぶっ飛んでいる光秀が魅力的な漫画『センゴク』表紙/amazonより引用

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光秀の必殺戦法「殺し間」は火縄銃で実現可能?漫画『センゴク』考察

掛け網(手描きの絵画技法)を多用し、戦国時代の雰囲気を高いレベルで再現していた漫画『センゴク』。

膨大な資料を丁寧に検証して、ほぼ史実準拠のストーリー進行というスタイルのなか、ひときわ異彩を放っていたのが明智光秀と、その必殺戦法「殺し間(ころしま)」であろう。

細長い地形の両側に鉄砲の射手を配置。

弾道が交差するように狙いを定め、誘い込んだ敵の部隊を一斉射撃で壊滅に追い込むという、恐ろしい戦法である。

マンガの話ではあるが、かつてこの作戦を【金ヶ崎の退き口】で目の当たりにしていた秀吉軍が、【山崎の戦い】でも警戒し、軍全体の士気が下がるほど脅威とされていた。

しかし、である。

長篠の戦い】における織田信長の「三段撃ち」でさえ疑問視される昨今、火縄銃による「殺し間」がそれほどの脅威になりうるのか?

 

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第一次世界大戦の頃に考案されていた

実はこの「殺し間」は「十字砲火」というれっきとした戦法の一つであり、第一次世界大戦の頃に考案されていた。現代でも攻略困難な恐ろしい戦法である。

なんせこの大戦で、ドイツ軍はたった2丁の機関銃で、ロシア兵の死体の山を築いたほど。

なるほど「殺し間」も理論的にはありえそうだ。

が、一つ考えなければならないことがある。

なぜ「十字砲火」という戦法は、第一次世界大戦まで登場しなかったのか。

実は、この作戦を成功させるためには連射機能が必要となる。

それを可能にした「機関銃」が投入されたのが第一次世界大戦の頃だったのだ。

では、もう一度、明智光秀の「殺し間」に注目してみよう。

火縄銃では、機関銃のように連射できない代わりに、射手を大勢配置している。片側にざっと20人~30人並べ、約60発の一斉射撃が可能となっている。

急所に当たる可能性、あるいは戦線離脱させるための負傷を与える確率は、高く見積もって40%ぐらいだろうか。

敵兵100人に対し、ざっと40人弱。まぁ充分と言えば充分だが、正直、微妙な数ではある。

例えばドイツ軍の機関銃MG42は一分間に1500発、つまり一秒で30発の発射ができる。2丁あれば一秒で火縄銃の「殺し間」と同じだけの弾丸をバラまける。

もちろん機関銃は、着弾を見ながら照準を変える事も出来るので、ホースで水を巻くように、侵入した敵兵をほぼ殲滅することも可能だ。

一方、火縄銃の「殺し間」では?

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