どうする家康感想あらすじレビュー

どうする家康感想あらすじ

『どうする家康』感想あらすじレビュー第34回「豊臣の花嫁」

木村多江さんが美しい。

されど妙な衣装のせいで気が散ってしまう。

そして石川数正の出奔がナレーションで説明されますが、いつもの素っ頓狂な調子のため、とても劇中に入り込めません。

落ち着いたトーンで、一気に物語の世界へ引き込んでくれた前作『鎌倉殿の13人』から1年足らずで、どうしてこうなった。

 

どうする発声

三河岡崎城では、井伊直政がキンキン声で怒っています。

腹の底から声を出す発生法を、誰か指導しないのでしょうか。

これは家康もそうで、ボソボソ低い声で喋ればいいというものではないでしょう。

シリアス=ボソボソ口調

という風に思っていそうですが、そんなわけはありません。

特にセリフが長い家康と秀吉の滑舌が悪く、中身を正確に把握しようと思えば字幕が必須です。

 

どうするイキリ軍師

いかにもわざとらしいクセの強い声と演技の本多正信

常に皮肉っぽい調子ですと、いざという時に効果が薄れてしまいませんか。

これでは正信の賢さより、イキリ厨二病に見えてしまい辛い。本当にあんな人物が家康の知恵袋になり得たとは思えません。

扇子で直政を指す仕草もかなり挑発的です。

直政が本当にキレやすいキャラクターだったら、バカにされたと感じて取っ組み合いになっても不思議じゃないでしょう。

 

どうしちゃったの、えびすくい担当者!

えびすくいおじさんの目が虚です。

得意技を封じられると調子が落ちてしまうのですかね?

残念ですが、もちろん演じる大森南朋さんには罪がない。それどころか北野武監督『首』の公開が間近に迫っております!

大森さんの真骨頂でしたら予告編からにじみ出ています。

 

1分24秒ぐらいに登場する羽柴秀長

非常に風格があり、理想的な秀吉の弟が見られそうです。

もう、ビッグモーターの影がチラつかないだけで、その戦国の世界にスンナリと入っていけそうな……映画の公開日を指折り数えています。

 

どうした小道具担当者……

視力抜群、レーシックお愛がゆるかわ仏様を持ち込みます。

数正が作ったというもので、その出来栄えが……小道具スタッフもあまり気合が入っていないのでしょうか。

『麒麟がくる』の平蜘蛛や『鎌倉殿の13人』の仏像と落差が惨たらしい。

しかしフィギュア作り……もとい木彫りの像が好きなドラマじゃのう!

他にアイテムを思いつかないんでしょうか。

 

どうする夢オチ

家康が暗い室内で何かを並べています。

するとそこへ数正の姿が。

ピアノがピロピロと流れ、数正が家康の首に刃を突きつける。で、秀吉が「殺せ」と言う。

もうしつこいばかりの夢オチには、げんなりするばかりです。

本作は、何度こうした展開を用いるのでしょう。

三方ヶ原で死んだとか、本能寺は家康が起こすとか、史実からしてあまりにチャチな「そんなわけないでしょ……」と脱力するような話を引っ張るんですよね。

目先の刺激を求めて陳腐な妄想シーンでお茶を濁す――今後もおそらく登場しそうです。

 

どうした巨大地震

天正13年(1586年)11月29日に発生した天正大地震

ナマズがヌメヌメして地震を示すアニメがいささか無神経ではありませんか。

なぜ、こんなほっこりアニメで描かれるのか……というか、本作は常に先人への敬意が欠けているように感じます。

江戸時代のナマズ絵は確かにユニークです。そういう絵へのオマージュを感じさせない絵柄が辛い。

江戸時代に描かれた鯰絵/wikipediaより引用

なにより大地震は日本人にとって切っても切れない悲劇の歴史のはずなのに、そのショックよりも注目されるのがあの変な仏像とか、まるでリアリティが感じられないのです。

天正大地震はマグニチュード8.0前後と推定される凄まじいほどの揺れです。

しかも直下型地震。

◆岐阜県:天正地震(→link

濃尾地震と並ぶ過去最大規模の大地震なのに、注目すべきは数正フィギュアの話とは……。

こうした描き方から浮かび上がってくることがあります。

本作が大事にしているのは、家康と半径数メートルの出来事。

今回は数正がテーマにされているのであり、民なんてどうでもいい。

本当に家康の良さを見せるのであれば、被災者に炊き出しを提案するとかできたはずです。

『麒麟がくる』の足利義昭は、貧民救済が実現できるなら将軍になってもよいと考えていた。それを忘れ、戦をした己を恥じて、駒の前で己の首を絞めていました。

『どうする家康』には、人を救うための葛藤がまるでない。だからこそ、偽善的なドラマに見えるのです。

大河ドラマにおける大震災は、過去に問題ある描写も見られました。

特に『いだてん』は圧巻の迫力でしたが、ひっかかる要素もあった。関東大震災からちょうど一世紀ですので、振り返っておきましょう。

・瓦礫だらけの道を走る金栗四三。危険です!

・自警団らしき人物が金栗を尋問する場面はアリバイのようにある。しかし、そのあと金栗が「被災者は一致団結していた!」と自警団による虐殺などないようなセリフを断言する

・被災者の望みはオリンピック開催という、強引なこじつけがみられた

『青天を衝け』は相当悪質です。

・過激な政治思想の持ち主が渋沢栄一の命を狙っているというセリフがある。これは悪質な嘘。むしろ社会主義者が混乱に乗じて殺害された(亀戸事件等)

・そもそも渋沢栄一は、関東大震災を天罰だと大々的に主張した「天譴論」の提唱者代表。そんな人間と震災を絡めて歴史修正的な描写とは!

本当は怖い渋沢栄一 友を見捨て労働者に厳しくも人当たりは抜群

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自分たちの都合のいいように震災を描くのは、あまりに悪質であると思います。

公共放送でやってはいけないことでしょう。

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