上野彦馬

坂本龍馬と上野彦馬/wikipediaより引用

幕末・維新

龍馬の写真撮影にも関わった上野彦馬~日本人初のプロカメラマンはどんな人?

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上野彦馬
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写真のちょっと気まずい使い方

こうまとめますと、写真は消えゆく日本の原風景や、江戸の人々を残したものと思えて来ます。

これも上野彦馬がパイオニアかつ、表舞台に残っているからこそ。名もない、あるいは残さなかった写真家もいます。

その使い道も、綺麗なものだけではもありません。

ちょっと困った使われ方も見てゆきましょう。

 

グロ画像をお土産に

証拠写真であればまだよいものの、生首がお土産写真になったというのですから、洒落になっておりません。

この困ったブームは、江藤新平の生首写真によって問題化し、やっと終止符が打たれたのでした。

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美女とエロ画像で一儲け

どうせなら美人の写真が欲しい!

そういう欲求は、当然ながらあるものです。

「お歯黒と眉剃りをした既婚夫人はどうかと思う。しかし、日本人女性の切れ長の涼しい目と黒髪はセクシー。お土産にちょうだい!」

そんな外国人の要望もあり、日本人女性を撮影したブロマイドも人気があったものです。

来日外国人はしょうもないな〜、と思いますか。

確かに、遊郭に入り浸る、覗きをする、そんな人もいました。

中には、外国からいやらしい写真を持ってきて、日本人に売り払うということも……お互い様です。

しょうもない交流は、幕末からありました。

明治時代も、美人コンテストの上位入賞者のグラビアは大人気でした。

陸奥亮子(1888年頃、亮子33歳頃の写真)/wikipediaより引用

 

なりきりや自作自演写真

幕末から明治の写真は、どう考えても顔が引きつっていたり、不自然なものが結構あります。

演出をしているからです。

お土産になるからと、お白州で裁いている場面を演じたり。美少女が集まっていたり。

緊張感や納得できていない表情にも味があるものです。

尻鞘を被せた太刀を佩く武士(撮影:臼井秀三郎)/wikipediaより引用

切腹の様子(明治時代の芝居)/wikipediaより引用

 

コラージュもあり

写真のコラージュや修正は、誕生と同時にありました。

これぞ元祖Photoshopです。カラーでないモノクロのぶん、ばれにくなったかもしれません。

アングルが気に入らないとか。もっと美形に見せたいとか。

割と気軽にコラージュはされていたようです。

肖像写真であれば大問題ですが、お土産ポートレイトではありとみなされたようですね。

時代がくだり明治となりますと、一発でバレるパロディコラージュもできました。

アスリートの体に、政治家の顔を組み合わせるようなものです。

風刺画ならぬ、風刺コラ写真ですね。

 

修正だってあり

修正で有名であるのが、土方歳三です。

彼に出会った人が揃って美男子と証言するトシさん。そのブロマイド写真はお土産として人気でした。

せっかくだからもっと美形にしちゃえ!

そんなノリで、皺を消して目をパッチリとさせた写真が流通したのです。

こちらは修正前の土方歳三/wikipediaより引用

現在は修正前が多いものですが、古い書籍では修正後を掲載していることがあります。気になる方は、ご確認ください。

確かに修正後の方がキラキラ感はアップしていますが、ちょっとわざとらしいものを感じます。修正前で十分美男子ですよ!

土方歳三
土方歳三35年の生涯まとめ~幕末を生き急いだ多摩のバラガキが五稜郭に散る

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あの顔とボディを合成して!

さて、コラージュですが。

それはあの禁断の欲求を叶える技術でもあります。

エロ画像も、どうせなら理想の顔と、肉体であれば言うことはないわけです。

明治時代には、顔は日本髪の日本人、肉体は西洋人というエロコラ画像が出回っていたとか。

人間の欲求は、明治もそんなものでした。

 

コスプレをしよう!

コスプレ写真も、幕末からあります。

甲冑姿でポーズを取る侍の写真は、ぎこちないものがあって味わい深いものです。

来日外国人が、武士のコスプレをした記念写真もあります。なかなか微笑ましくて、味わいがこれまたあるものです。

大物コスプレイヤーといえば、明治の徳川慶喜でしょう。

謹慎して駿河で楽隠居状態になってからは、趣味の写真をバチバチ撮りまくる日々でした。しかも、コスプレとしか言いようのないものも多いのです。

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幕臣は貧困で苦労したものですが、将軍ともなればそうでもありません。

明治時代をコスプレはじめ趣味に生きた慶喜こそ、究極の勝ち組という気がしない訳でもありません。

狩猟姿の慶喜/wikipediaより引用

写真に「いいね!」をつけて欲しい。

インスタ映えする写真を撮影したい。

コスプレ姿を写真で残したい。

コラ画像で楽しみたい。

エロい画像、グロい画像をこそこそ見たい。

こうした欲求は、現代人特有の病理のように思われがちです。

そんなことはありません。幕末明治、写真が伝来したころからありました。

当時の偉人の写真を見ていると、なんだか素晴らしい時代のように思えます。

が、いやいや、それだけではありません。

カチコチに緊張してカメラの前に立った人。

エロ画像を見て興奮していた人。

美人の写真を集めて喜んでいた人。

そういう無名の人も、大勢いました。

人間とはそういうものなんですね。

なんだか彼らに親しみを持てませんか?

そんな幕末や明治の写真を、ぜひご覧いただければと思います。

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文:小檜山青
※著者の関連noteはこちらから!(→link

【参考文献】
八幡政男『上野彦馬―幕末のプロカメラマン (1976年) (文明開化の先駆者たち〈1〉)』(→amazon
日本カメラ博物館『秘蔵古写真 幕末』(→amazon
後藤和雄・松本逸也『写真集 甦る幕末―ライデン大学写真コレクションより』(→amazon

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