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【円空と一刀彫】
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一位(いちい)一刀彫
岐阜県飛騨地方の木工品で、主な生産地は高山市・飛騨市・下呂市です。
材料の「イチイ」という木の木目を活かすことからこの名がついたといわれています。
その昔、聖武天皇にこの木で作った笏(しゃく・公家が手に持っている巨大なアイスの棒みたいなやつ)を献上した際、質の高さを認められ、官位の「正一位」からこの木の名がついたのだとか。
イチイの木は内側の赤みがかった部分と、外側の白みがかった部分があり、用途によって使い分けるそうです。
一位一刀彫は色を塗らずに仕上げますが、空気に触れさせておくと、作ってから年数が経つごとに表面が飴色に変化していくのも楽しみの一つだとか。
19世紀の初め頃、松田亮長という職人がイチイの木で根付(江戸時代のキーホルダーのようなもの)を作り始めたことがはじまりとされています。
その後職人も増え、明治までの間に茶道具や置物なども作られるようになり、昭和五十年(1975年)に当時の通産省によって伝統的工芸品に指定されました。
平成十八年(2006年)には「飛騨一位一刀彫」の名で地域ブランド(地域団体商標)に指定されています。
最近では動物や花などをモチーフにしたかんざしを作る「一位一刀彫 かんざしプロジェクト」を立ち上げ、さらに身近な場にも使ってもらおうという試みがされているようです。
文房具など、もう少し日常の場で老若男女使えるものも作ったらいいんじゃないですかね。日用品こそ、ちょっとした細工や工夫がしてあると気分良く使えるものですし、女性の場合テンションが上がる人も多いでしょう。
多分かんざしプロジェクトを発足する際、文房具なども候補に上がったと思われますが、ぜひ再考をお願いしたいところです。日常で使えるものなら、買いやすくて応援もしやすいですしね。
笹野一刀彫
こちらは山形県米沢市の木彫工芸品です。
笹野観音堂(大同元年=806年開基)に伝わる火伏せのお守り・縁起物が発祥で、1000年以上の伝統を持つともいわれています。
さすがにその辺の信憑性は……ですが、上杉鷹山が農民に冬期の副業として奨励したことがきっかけで、江戸時代から盛んになったことは確かです。
コシアブラという木を「サルキリ」という刃物で削り、素朴に色付けをするという作風です。代表的な作品は「お鷹ポッポ」や「餅つきうさぎ」「恵比寿(大黒)」など、置物が多いようです。
米沢条の近くにある上杉伯爵邸にも立派な「お鷹ポッポ」が置かれています。
ワタクシ以前たまたま行ったことがありまして、写真が残っておりました。
これだけだと大きさがよくわかりませんが、床の間ごと撮るとこんな感じです。
鷹の部分だけでだいたい40~60cmはあったかと思います。立派なものです。
舶来品や最近のデザイナーのものも良いですが、やはり和室には日本の伝統工芸品が似合いますね。
和モダンな家や部屋を作る人も増えていますし、こうした工芸品を選ぶ人が増えたらいいなあと思います。
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長月 七紀・記
【参考】
国史大辞典
円空/Wikipedia
一位一刀彫/Wikipedia
笹野一刀彫/Wikipedia
荒子観音/Wikipedia
山城工芸(→link)
一位一刀彫かんざしプロジェクト(→link)