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【江戸時代の男色・BL】
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「もうこれ以上言うの意味ねえし、ガキを引きずり出して帰ろうぜ!」
そう言って脅せば終了。
断る馬鹿な親もいるかもだけどさ。そういう場合は目の前でかわいい息子を手籠めにしちゃえばいいんだよ。そうなったら恥ずかしくて公儀にも届けられないって。
ま、ここで気の利いた親ならこう言うわけ。
「それは結構なお話ですねえ。私も若い頃はかわいい子と遊びましたし、気持ちはわかりますよ」と、酒を出してくる。
そうなったらこっちからつまみを指定したり、デリバリーでつまめる物なんか注文しちゃったりして、飲みまくるの。
でもまあ俺ら根に持たないから。一回やったらそれで終わり。翌日になったら街に繰り出すわけ。
もう、何なんでしょうね。
現代人から見たら言葉もないくらい危険なナンパゲーム……というかただの犯罪です。
しかもこうした男伊達は誇らしげに「やったところで情けなんかわかない」と誇らしげに語っているわけで、どうしようもありません。
親のところまで押しかけて脅迫する時点で、恋愛の類じゃないことは明白でしょう。
ボーイハントゲームとして、彼らは男色を楽しんでいました。これを比較したら、特定の相手とステディになっている戦国時代の方がよかった、という気がしてきます。
まぁ、戦国時代にこんなことしたら、殺されかねないですし。
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美少年を思いながら腕や股を脇差しで突きまくった
「あなたが好き。あなたのことを思いながら自分の体を切っちゃった♪」
もしも、そんな一言の添えられたラブレターと流血自傷写真が、アナタのお手元に届いたらどうします?
現代人なら、まず間違いなく「やべえぞ……」とドン引きし、場合によっては警察へ相談されることでしょう。
しかし、戦国や江戸時代は違います。
「俺を思うあまり傷までつけるなんて、こんなに好かれる俺って幸せだ!」
こうなるわけです。
誓いの印に指の腹をちょっとだけ切って血を流すというのなら理解できますし、現代でもそういうことをする場合もあるでしょう。
ところが昔の場合、街で美少年を見かけたりすると、
「美少年萌え~~~!!」
と興奮してタマラン気持ちを抱きながら、腕や指を切って血を流していました。
あの政宗さんも書状に……
有名なところではかの伊達政宗が「俺も若い頃は、酒を飲んで美少年を思いながら腕や股を隙間がないくらいに突きまくったんだよね」と書状に書き残していたりします。
男色の愛を誓いながら、「好き、もうたまらない、好き!」と腕や股を脇差でブサブサ刺しまくっていたわけです。おっかない。
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美少年を思いながら自傷行為をする。それが男色の愛の形であったようです。
時代がくだり男色が廃れてくると、好きな男の名前を刺青に入れる、指を切るといった手段は遊女の手練手管として残るようになります。
男色は血なまぐささや暴力行為をも伴うものでした。
傷をつけても平然としている、無理矢理相手をものにするといった行為からは「俺は強い」と見せ付ける心理もうかがえます。
刃傷沙汰にまで発展してしまう理由もわかる気がする――そんな過激な世界なのでした。
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文:小檜山青
※著者の関連noteはこちらから!(→link)
【参考文献】
氏家幹人『サムライとヤクザ―「男」の来た道 (ちくま文庫)』(→amazon)