食・暮らし

ラーメンの歴史は明治維新後にスタート!日本の歴史と歩み、世界の食となるまで

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2017年に流された、イケメン出前坊やが壁ドンならぬ壁出前一丁をする広告は、日本の少女漫画風。
その戦略がいかに正しかったかを裏付けています。

 

そして、このラーメンの脱中国、和食化は現在進行形です。

前述の「ベイちゃん・ビーちゃん」が2016年(平成28年)に引退し、新たに応募で決まった現在のキャラクター「ホシオくん」は、現代的な日本人の少年をイメージした容姿です。

ホシオくん/公式サイトより引用

どんぶりについても思い出してください。

かつては中国由来の「雷紋」や龍の絵がついていることが一般的。
時代がくだるにつれ、そうした中国風のモチーフは減少し、高級感のあるシンプルなものが主流となりつつあります。

そして、その最たるものがサンヨー食品の「和ラー」でしょう。

ブランドコンセプトは日本産のこだわり食材を使用していること。

「日本中をラーメンにしてしまえ!」
という宣伝文句からは、もはやラーメンが和食化したということが伝わって来ます。

 

愛されて、憎まれる、一杯

一方で、ラーメンに対しては根強い批判も生まれていきます。

かつてスープは、栄養があるから飲み干すようにと勧められていました。

しかし、現在では、健康面でマイナスという見方が主流。
日本人の食生活が豊になり、健康やダイエットを気にする人が増えてからは否定的に見られるようになっています。

これはインスタントラーメンにおいても、同様でした。
チキンラーメンは販売当初、栄養価が高く妊婦にも適しているとされたほどです。

しかし、時代がくだると、栄養価が低いジャンクフードの筆頭としてあげられることとなります。

本当にインスタントラーメンやカップラーメンは、そこまで栄養的な意味で【悪者】なのでしょうか?

確かにこうしたものばかりを食べていては、栄養価が偏るでしょう。
ただ、それを言うのならばおにぎりと漬け物ばかりを食べていたところで、結果は同じです。

このあたりは、インスタントラーメンがあまりに調理を簡略化したため、悪役のレッテルを貼られた部分もあります。

インスタントラーメンからロボット掃除機まで。
家事の手間を省く製品は、反動的な人々から憎悪をもって睨まれるもの。

インスタント食品は、母親や主婦の手抜きを助長するとして、攻撃されたのです。

1960年代頃には「家族を崩壊させる」なんて悲観的な見方も出てきて、「そりゃ、イチャモンでしょ」とツッコミたくもなる風潮です。
おにぎりがOKでインスタントラーメンが駄目だという根拠が栄養学的な問題ではなく、要は【女性の手間】というジェンダー的な問題になっているんですね。

簡単に作られるからこそ、
【一人で食べる=孤食を助長する】
という意見も出てきました。

確かに偏食すれば栄養価の問題は大いにあるでしょう。
しかし、ラーメン、ことインスタントラーメンに対して、否定的な目線が送られるのは過剰な一面がある気もします。

これもあまりに爆発的に普及した余波なのかもしれません。

 

ラーメン! Ramen! 日式拉麺!

安藤百福が心血を注ぎ、試行錯誤を繰り返して作り上げたチキンラーメン。
この偉大な発明は、世界で愛されるために生まれてきた運命の食品でもありました。

もしもポークやビーフエキスで作られていたら、食のタブーがある地域では受け入れられなかったでしょう。

安藤はカップラーメンの製品化においても海外を視野に入れ、そして実際に拡大していきます。

※海外では映画『たんぽぽ』のラーメンシーンが有名なんだそうです

筆者は以前、中国で、とある大物映画監督の舞台挨拶を見たことがあります。
彼は映画のコンセプトについて丁寧に説明したあと、頭を下げてこう言いました。

「それでは私はこれから、美味しいラーメンを食べに行きます。日本のラーメンがとても好きなのです」

嗚呼、本場の人も、【日本のラーメン】を食べるのか!と、その時は少々面食らいました。
そして、その映画監督のあとに、別の中国の方が、大変熱心にラーメンへの思い入れを語るのを聞きました。

そこで私はやっと理解したのです。
中国語圏内では、日本のラーメンは「日式拉麺」と呼ばれており、もはや日本食なのだと。
彼らにとってラーメンは日本食であり、日本でのラーメンこそ本場なのだと。

そして更にこんなことも思い出しました。

以前、イギリスの方が、
「最近のイギリス料理はおいしい。カレー、タンドリーチキン等」
と書いておりまして。
私はこう突っ込んだのです。
「それはどちらもインド料理でしょ!」

私が浅はかでした。
【ラーメンは中国にルーツを持つ日本料理
【カレーはインドにルーツを持つイギリス料理】
なのだと。

歴史を経て、その国に根付き、
「それはもうあなたの国の料理だ」
と思われるのだとしたら、もう、その国の料理なのです。

ちなみに前述の日本ラーメン大好きな中国の方は、中国が本場だのなんだの別に言うことはなく、むしろ母国ルーツの食べ物がアレンジされていることを楽しんでいるようでした。

 

世界中でオリジナルができている

以下は、あくまで私の考えだと前置きします。

最近、海外の方がアレンジしている日本料理をぶった切るようなコンテンツを目にすると、とてつもなく哀しい気持ちになります。

ラーメンをアレンジして和食に、そして国民食にした日本人が、それを言うのは天に唾するものではないでしょうか。
美味しく愛されていれば、それでよいのではないでしょうか。

話を戻しまして。
ラーメン、ことインスタントラーメンやカップラーメンについて言えば、もはや世界中でその国のラーメンができています。

前述の通り香港で大人気、もはや国民食だという「出前一丁」は、【五香牛肉】や日本でも限定販売された【辛辣XO醤海鮮味】といった、現地の味を取り入れたものが売られています。
これは香港のみならず、世界各地で起きている現象です。

こうなってくると、もはやルーツをたどるのもややこしくなってきます。

【本来中国の料理だったラーメンを、日本人がインスタントラーメンとして販売、香港で現地にあわせた味を作る】
なんてことになっているわけですね。

これはもう、インスタントラーメンの小さな袋の中で世界が溶け合っている――そんな話じゃないですか。

食文化とはなんと豊かで、おもしろいものなのでしょう。

時々無償に食べたくなる。
私たちを惹きつけてやまない至福の一杯。

その歴史は、明治以降の日本の歴史とも密接に絡んでおりました。

大陸から海を越え、横浜の外国人居留地で店を開いた人々。
日本各地の工場で働き、その合間にラーメンをすすっていた、中国や朝鮮半島出身の人々。
いかにして小麦粉を食べさせるか考えたアメリカ政府。

ラーメンは日本食であり国民食。しかしそのルーツや普及に関しては我々日本人だけのものじゃないことは踏まえておきたいところです。

その歴史は、複雑で深い味わいのダシが染み渡ったものなのです。

※amazonにこんな魅力的なセットがございました^^

文:小檜山青

【参考文献】
『ラーメンの語られざる歴史』ジョージ・ソルト(→amazon
『安藤百福 ――即席めんで食に革命をもたらした発明家 (ちくま評伝シリーズ〈ポルトレ〉)』(→amazon

 



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