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【第七師団】
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鶴見と愉快な仲間たちは、それでいいのか!
こうした他の師団にはない特徴を振り返って来て、私なりの結論に達しました。
【鶴見中尉は極悪非道、許されない】
まったくもって鶴見のしていることは酷いの一言。
鶴見の陰謀によって連れ回され、犠牲にすらなっていく――そんな第七師団の兵士には、故郷で待つ妻や母がいるのかもしれません。
日露戦争が終わったのに、あの人はいつ帰ってくるのか。そう思いながら、畑を耕す……って、気の毒すぎるでしょう!
鶴見はさっさと彼らを故郷に戻らせるべきです。
あいつのしていることは、許されないことですよ!
※面白いけど許されんぞぉ!
そしてそんな鶴見が好きすぎて気持ち悪い人物、鯉登少尉。
彼がおかしな存在であることも、歴史的経緯を考察すると見えてきます。
・戊辰戦争負け組が多い中で、薩摩という勝ち組ど真ん中
・開拓や屯田兵のゴタゴタにも、当然、薩摩は関与している
・開拓なんて知らない苦労知らず
・日露戦争の経験もない
・第七師団からすれば、存在そのものが不愉快といってもいいかも
そんな浮いている彼を救ったのが、鶴見かもしれません。
しかし、鶴見は花沢幸次郎を謀殺し、鯉登をまんまと騙しているわけでして。
歴史的経緯からみても、鯉登はあからさまにおかしい、浮いている。
変な存在だということは、今後の展開に影響を与えるのかもしれません。
第七師団はなぜ悪役なのか?
ここで最初の疑問に戻りましょう。
第七師団は、なぜ敵なのか?
本拠地である軍都・旭川が、アイヌの収奪の上で成立していることも考えられます。
アシリパと杉元からすれば、敵で当然と言えるのです。
そして、もう一つ。
鶴見のしていることは極悪非道ではありますが、その動機の根底には第七師団が受けてきた仕打ちへの反発があります。
鶴見は悪い。
しかし、鶴見が告発しているからこそ、北海道の歴史と第七師団の持つ暗いものが見えてくる。
そこを暴く鶴見という人物は、『ゴールデンカムイ』もう一人の主人公とも言えるのでしょう。
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文:小檜山青
※著者の関連noteはこちらから!(→link)
【参考文献】
金倉義慧『遥かなる屯田兵 もう一つの北海道民衆史』(→amazon)
鈴木常夫『北海道に渡った仙台藩士たち』(→amazon)
加藤博文/若園雄志郎『いま学ぶ アイヌ民族の歴史』(→amazon)